岡本工作機械製作所の安中工場(群馬県安中市)。大型研削盤などを生産する同工場で2010年に導入した「配膳生産方式ライン」が実績を上げている。一部部品の生産リードタイムは14年に入って約25%短縮。同時に人時(1人1時間当たりの)生産性も向上しており、現在もさらなる効率を目指して日々改善を続けている。「安中モデル」は主力生産拠点となる海外にも導入を進めており、競争力の強化に生かしていく方針だ。 配膳生産方式ラインはベッドに垂直に固定されて機械本体を構成する柱「コラム」の生産現場で運用している。配膳生産方式と呼ぶのは作業台を食堂のトレーに見立てて、台車の上に作業員1人が1時間の作業に必要となる部品をそろえているためだ。作業現場では、組立作業者と部品をセットする作業者(セッター)に分かれており、セッターが1時間分の作業部品を組み立て順に並べていく。工具や治具を台車上で整然と並べることによって、組立作業者の作業効率を大幅にアップさせる。 4年前に初めて導入する前はそれぞれの作業者が棚から部品を探し、包装をはがしてから組み立てを行っていた。また、工具も各自の工具箱で管理しており、決して生産効率がいいとはいえなかった。 効果は着実に表れつつある。14年1月時点の組立時間は目標値より30%ほど長かったが、3月には目標値に到達。さらに、6月には目標値よりも20%短縮させる方針で、大幅に改善が進んでいる。また、生産量が増える場合は総組みとユニット組みに分けてさらなる時間短縮を目指す。 例えば、全部で8工程あった総組み工程を総組みと六つのユニット組みに分けるなどの改善に取り組んでいる。営業部営業管理課の清水悟氏は「品ぞろえに不備があると作業が止まったりして遅れてしまうことがある。職制と現場担当者が一体となって改善を進めている」という。 将来的には組立工数が大きい大型研削盤について横展開を図る。また、海外拠点にも導入を進めており、タイ工場では主力機のDXシリーズに、シンガポール工場では内面研削盤・円筒研削盤に展開して効果を測定している。「なた豆茶の生産する機種が違うため、簡単に横展開できないが、日本をモデルにして競争力強化につなげたい」(櫻井英之製造部業務課長)と力を込める。 台湾や中国メーカーの台頭で、研削盤の価格競争は激しさを増している。一方、新興国需要は低価格モデルを中心に今後も拡大が見込まれ、同社はタイを中心に生産能力拡大を図る。石井常路社長は「競争は厳しいが、ボリュームゾーンはしっかりとがんばる」と強調。全社をあげて生産効率化に力を注ぐ。工場見学で良い会社と思う時の視点はさまざまだろう。例えば、整理・整頓(2S)ができており、決められた場所にルールに基づいて物が置かれている。また、口臭予防の標準が決められており、それに基づき作業者が仕事をしている。すると、整然とした工場に見える。 自社をより良く改善するために、ベンチマーキングの評価基準を持つのが良い。工場診断では、評価項目を順にチェックして評価点を出す。そうすると工場の強み、弱みが分かる。 この工場診断をする以前に、経験のある人は、おおよその工場を見た段階である程度のことは分かる。私は、A.管理以前のレベル、B.目的とする管理レベルにない、C.一応の管理レベル、D.高度な管理レベル、∞.あるべき姿(理想的な会社)―の5段階で大まかにとらえている。 特にトヨタ生産方式(TPS)を導入している会社は分かりやすい。TPSレベルという言い方で、かんばんの管理を尺度に評価できる。マクロ的にTPSレベルを評価する話だが、そこにはいろいろな評価指標があり、改善すべき各項目をレベルアップするための地道な活動が伴う。 ここでは、かんばんを基準として見るが、生産のしくみレベルでも改善レベルでも良い。具体的な生産性指標などでもできる。生産活動は、いろいろな仕事の結果だから、どれを捉えてもレベル判定に大きな差は出ない。評価基準が明確になると、工場を良くしようという会話がしやすい。 自分たちの工場を見て、どのレベルにあるのかを理解する。自社工場間や競合とのベンチマークに役立つ考え方だ。チャンスを捉えて同業他社を見ることができれば、自社の評価ができる。 TPSの改善活動では、いつも「あるべき姿」を描こうという話から始まる。理想の姿だ。現状把握で問題点を抽出し、それを解決して、ある時期に到達する姿となる。この狙う姿が目標である。また、TPSの指導者は人によって言うことが違うとよく言われる。短い期間を意識した人と長い期間を意識した人とでレベルを上げる方法・時期の差があり、着地点が同じであるのならば良いだろう。
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