畑と家族とお天道様と要相談。~北海道十勝清水で農業を営む3代目農家のブログ~

農業ネタを中心に、日々感じたことを綴ったブログです。


テーマ:

FB上では報告させてもらってましたが、

先月末、農協青年部の十勝大会の「青年の主張」なる意見発表にて、

ちょいと大風呂敷を広げてきました。

 

正直、内容に自信をもっている訳ではないし、

「そったらこと言ったってよ~」ってきっとなるんだろうな~、と思っていたので、

当日はガッチガチに緊張していたのが恥ずかしい限り(^^;

 

こういうホラ話を誰を相手にしても、もっと堂々と話せるようになりたい。笑

 

んで、FB上では、数人から内容が気になるとのコメントをもらったので、

拙い文章ではありますが、ここに公開したいと思います。

 

十勝の畑作農業の未来を見通したとき、

究極の理想としては、こうあるべきじゃないの?という

議論のたたき台であり、問題提起です。

 

 

 

===以下、原文===

 

 皆さん初めまして。私は清水町の約40haほどの畑で、畑作4品を栽培する畑作農家の3代目です。

 地元青年部の部長から、今回の「青年の主張」で日頃思っていることを、ぶつけてみないか?と話をもらって以来、この場で何を話そうか、正直悩みました。ありきたりなことを話しても面白くないので、今回、夢物語のような、でも現実味のある、ホラ話をしたいと思います。

 

その前に、十勝農業が置かれている現状について話したいと思います。 皆さんもご存じのとおり、十勝農業が置かれている状況は、キビシイキビシイとよく言われています。

 

それ以前に、今年は春から終始、踏んだり蹴ったりの散々な作柄でしたよね。これに加えて、TPPはどうなるか不透明になりましたが、貿易自由化交渉は各方面で着々と進んでいます。また、国家財政がひっ迫していることから、農業予算の査定も年々厳しくなっていると聞きます。

 

 つまり、我々が置かれている状況は一体、どのような状況か。

 

 私は大きく以下の2点に集約されるものと考えています。

1つは、貿易自由化の流れによって、畑作物も国際競争の波にさらされるということ、

もう1つは、これまで通りの国による保護・支援は期待しにくいこと。

 

 これらの点を踏まえて、少し未来の話、私たちがおじさんになる頃には、こんな風に語られるようになっているといいなと思う、そんな未来の話をしたいと思います。

 

 題して、 「2050年、十勝の畑作農業は今。」

 

 

 かつて、十勝の畑作農業は、農場1件あたりの経営面積が約40ha、経営コストは欧州の畑作農業に比べて数倍であり、農産物の販売収入のみで経営を成り立たすことは困難で、国家による保護と多くの支援を必要としていた。それがこの30数年の間に大きく変わった。

 

 貿易自由化交渉が順次妥結・発効に至り、畑作農業を巡る環境は激変した。農家は淘汰の波にさらされ、当時から懸念されていた離農に拍車がかかった。その中で生き残った、当時2030代の農家はかつての家族的農場経営から、企業的農場経営にシフトし、1農場当たりの経営面積は500haを超える規模となった。そこに5名ほどの常勤スタッフと、数名の非常勤スタッフ、合わせて10名弱のスタッフが勤務している。

 

 栽培されている作物は十勝農業の代名詞、畑作4品。馬鈴薯、小麦、甜菜、そして豆類。これらに加えて、野菜類を手掛ける農場も多い。これらの作物を輪作することで、土壌病害の起こりにくい、持続可能な畑作農業を展開している。

 

 農場スタッフの多くは、かつて個々人で家族と共に農業に携わっていた青年たちだ。彼らは厳しい環境の中で生き残りを図るべく、規模拡大・経営統合をすすめ、今の形になった。もともと、農家を指す言葉の百姓は「100の仕事をするから百姓なのだ」と言われるほど、多くの作業を一人で行う必要があった。

 その青年たちは現在、経営、機械、作物、土壌など、各分野に精通するエキスパートとして、自分の得意な分野で他のスタッフの不得意な分野を補い合う、チームとしての農場経営に携わっている。

 

この30年で、GPSなどを利用した自動操舵技術が発展・普及し、それまで多くの時間を費やしていた機械の操縦を行う必要がなくなった。機械の操縦から解放されたスタッフたちは、ドローンによる圃場モニタリングシステムの普及もあり、より多くの圃場を観察できるだけでなく、よりこまめに圃場を管理することが可能となった。

これに伴い、100L散布でなければならないといわれていた薬剤散布も、今では25L散布が当たり前となり、農薬、肥料の使用量がかつての半分以下になるなど、栽培管理技術が大きく進展した。

 

 さらに、彼らの農場経営にとって大きな課題であった、トラクターをはじめとした農作業機の稼働効率の低さも大きく改善した。

 それまでの家族経営では、トラクターのオペレーターは1農場一人、後継者がいる農場では2人ということが一般的であり、1つのトラクター・作業機が稼働している間、他の作業機は格納庫の中で眠ったまま、ということが多かった。それがオペレーターの複数名体制が当たり前となり、自動操舵技術の普及もあり、同時に複数作業を行うことが可能となった。

 また、規模拡大に伴い、300間区画への区画整理も進み、それまで作業幅3mの体系が一般的だったものが、6mの体系へと移り変わり作業機1台当たりの年間稼働面積は4倍以上となった。

 

 また、収穫作業に多くの時間を必要としていた馬鈴薯と甜菜の収穫体系も大きく変わった。

 生食・加工用馬鈴薯は機上選別を前提とした収穫体系が採用されていたが、1日あたり1ha前後の作業効率に留まること、また選別の作業員の確保が困難であることが課題とされていた。それが今では、各農場は圃場条件が良い時に1日に5ha前後の馬鈴薯を掘りあげ、トレーラーで各農場が所有する選別施設に移送されたのちに、選別されるという体系になった。

てん菜は、それまで各農家が収穫機械を個別に所有し、各々によって収穫作業が行われていたが、製糖会社と農協の共同出資による収穫コントラクターが台頭し、製糖会社によって決められた地域別の収穫ローテーションに合わせ、自走式の大型収穫機が順次、各地域の圃場を移動し、収穫作業が行われるようになった。

 

 これらの取り組みを通じて、十勝の畑作農業は、輸入農産物との価格競争にも負けない低コスト化に成功し、国家財政、関税による保護をほとんど必要とせずに、農場経営が行われるようになった。

 

 2050年、十勝農業の今は、ヨーロッパの畑作農業に匹敵する生産効率を実現した。そして、十勝独自の、先人たちが試行錯誤の中で築き上げ、代々受け継がれてきた畑作4品という持続可能な輪作体系を採用する彼らのもとには、土壌病害、地力の低下に悩む世界各国の農業関係者からの視察が絶えない。

 

 

 これで夢物語は終わりです。

 

 皆さん、どう思いましたか?今、話したことは、おそらく、皆さんが途中から気付いた通り、いわゆる先進的な取り組みと言われているものを羅列しただけに過ぎません。すでにやっているよ、という人もいるでしょう。そう、できるはずなのです。私たちは、食糧自給率や地域の大切さに訴え、国による保護を求め、消費者に理解を求めるだけではいけないはずです。

 今、夢物語に挙げたような取り組みを、農業者の組織である農協組織全体として、実現に向けて取り組んでいったなら、きっと、ヨーロッパに匹敵するような生産効率での畑作農業を実現することができるのではないでしょうか。

 十勝の畑作農業を守るのは、国でも消費者でもなく、私たち自身であるはずです。私たち自身の手で、我々の畑作農業のあり方を根本から見直し、変えていかなければならないのではないでしょうか。

 

 以上をもって、青年の主張としたいと思います。

 ご清聴ありがとうございました。

 

 

===原文、終わり===

 

 

最近、本州の稲作事情に触れる機会があって、驚きました。

本州の水田専業農家って、

100ha規模の法人経営が続々と出てきているようですね。

 

しかも、全国的には基幹的農業従事者のうち、65歳以上が65%を締めており、

このままいくと離農ラッシュで、若手にどんどん土地が集まるそうな。

 

なので、これからの10年で、一気に本州の稲作農業は変わって、

今までの、これでもかというくらい品質面で競争力が磨かれたところに、

コスト競争力も加わってくるんじゃないかと思います。

 

もしかしたら、「ジャパニーズ・ライス」が世界を席巻するかもしれない。

 

そうなったときに、十勝の畑作4品が今のまま、いつまで経っても、

「欧州とは違う、地域はどうするんだ?」とか言いながら、

相変わらずの状態でいていいんですか?というのが率直な想いです。

 

小豆だって現状、品代だけで成り立つ作物の一つだけど、

生産コストが半分にできれば、和食文化の広がりに乗っかって、

和菓子屋さんと手を組んで、

ガシガシ海外マーケットを開拓できるようになるかもしれない。

 

「美味しい!を十勝から世界へ」

 

そんな野心的な取り組みがあったって、いいじゃない。

きっと面白い未来が待ってる。

 

高品質・高価格で売れる、一部の国々に向けた取り組みで終わらさずに、

どんな国でも相手にして勝負できるようになったら、きっと面白い未来が待っている。

 

そんな未来を信じてみてもいいんじゃないだろうか。

 

それを形にすることが、今の一番の夢ですね。

 

 

めっちゃ、長くなりましたが、おわり。

 

AD
いいね!した人  |  コメント(1)  |  リブログ(0)
最近の画像つき記事  もっと見る >>

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。