今回の句会は同得点の句が多く、その差も開きが少なくなっていたように感じました。皆さんの熱心な習得ぶりに感動しました。

 

悠人選を書かせて頂きます。

 

5.沈丁花夢の出口に匂ひけり まるちゃん2323

お庭に沈丁花を植えておられるのでしょうか?寝覚めにふと香りが漂ったのでしょう。夢の甘さ・・・もう少し陶酔していたかったでしょうか?

 

6.夕浜のしづかなりけり松の花 マミーエリ

穏やかな春の夕暮れの浜辺です。風除けの松に花が咲いていました。心を落ち着かせる時間、「松の花」が作者の心理を上手く描いてくれたように思いました。

 

8.山桜暮れゆく空に映りけり すなみ

「山桜」にしたことで句が引き立ったように思います。「夕」という言葉を使わないことで暮色の翳、と桜の淡い色がよく見えました。

 

13.花ミモザグラスに泡のあふれけり ねこじゃらし

「花ミモザ」の咲く窓辺での会食。グラスの泡はシャンパンでしょうか?

ビールでないことを願います。

 

16.老桜の風を待たずに散りにけり さるぼぼ

老桜ということで、かなりの年季の入った樹でしょう。風を待たずに散る桜というのもとてもきれいな景でした。因果関係とは違う散り方がよかったですね。

 

20.花篝おやき売る声響きけり あ~すけ

地名を出さずに「おやき」という郷土食によって「花篝」の大きさ、城址公園の桜の見事さも伝わりました。如何に余分な言葉を削って僅かな言葉でしっかり描くか・・・その辺りが句に重みを添えたと思います。

 

34.青き踏む三角点に触れにけり sona

「踏青」という季語は、個人的にも春の季語の中で好きな季語です。

そのようにちょっと出掛けた先で「三角点」を見つけた、触れた・・・俳人の好奇心を満たしてくれた一コマかと思いました。

 

39.花吹雪家人少なくなりにけり ゆみこ

花吹雪の桜はご近所でしょうか?庭木でしょうか?子供たちの成長と共に一人減り、二人減り・・・。みな新居を築いては出て行く寂しさを「花吹雪」に感じました。

 

以上、8句選。

それ以外の気になった句を以下に記します。

 

2.りんだうの花待たず妻逝きにけり ウロ

奥さまは竜胆がお好きだったのでしょうね。ご愁傷様です。

 

14.天と地に桜咲き敷く日なりけり なか

まさに桜満開のいい一日を過ごされましたね。

 

15.若草に遺失の時計隠れけり ひょうたん機

題材は好きです。ただ「けり」でいいのかな「をり」とか、あと隠されていたものを見つけた・・・という表現の方が不自然さがなくなるのかな?

 

25.朝桜古き聖堂囲みけり みなみ

朝桜の気持ちよさと聖堂・・・きれいな景です。「囲みけり」が作者の位置関係が見えづらくなったように思いました。

 

26.蒲公英の絮になるまで笑ひけり ねこじゃらし

蒲公英の花が絮に変化するまで笑った・・・大げさな表現ですが、そのくらい面白いことがあったのでしょうか?思わず貰い笑いをした句でした。

 

33.風ありてバスに乗り込む桜かな がね

風と一緒に桜も乗り込んできたよ・・・いい景色を切り取りました。擬人法が効いたのか否か・・・が争点になったかも。「舞い込む」でも良かったかもしれません。

 

37.花辛夷新居群棟建ちにけり 重太郎

建て売り住宅のニュータウンの中、花辛夷が咲いています。まだ人が入っていない新築群。ここに子供の声や人の行き交いが生れるのか・・・というちょっとした感慨ですね。

 

46.つちふるや白頭山の動かざる 笑い仮面

「白頭山の動かざる」このフレーズはとっても良いと思いました。季語が動いてしまうかな・・・?

 

・・・と、勝手ながら感想を書かせて頂きました。