俺様が、警察から実家に連行されたのが、夏休みの終わり。
その前に、俺様にハネムーン期があった事を思い出し。
ちょうど俺様の夏のボーナスの時期。
私たちの結婚記念日の6月頃だったと思う。
娘を連れて、少し離れた場所のデパートに行った。
私の手を握り歩くのは俺様。
娘と俺様と手を繋いで歩くの私。
俺様が握る私の手は、恋人握り。
ニュメっとした俺様の掌が気持ち悪かった。
この頃は、私がちょうど、女弁護士先生と会い、生活安全課に相談に行っていた時期。
俺様の体温さえ、私は受け付けなくなっていた。
娘は、スキップして楽しそうだったのを覚えてる。
いつも喧嘩ばかりしてる、パパとママが仲良くしている、
それが嬉しかったんだと思う。
でも、その時は、浮かれる娘の気持ちも分からず、
俺様に握られた右手、右半分の身体が、麻痺したように気持ち悪くて、全神経が、右半分に集中していた。
俺様は、娘に服や靴を買っていた。
私は、そんな2人をジーと見てるだけ。
笑うことも、楽しそうにすることもしない。
こっちと言われたら、こっちに行き
あっちと言われたら、あっちに行く。
俺様が言った。
「悠月ちゃん、何か欲しい物ないの?」
ハネムーン期、俺様は、私をちゃん付けで呼ぶ。
「いや、私は何も欲しい物ないよ」
1度、欲しい物ない?と聞かれ、
通勤に使うシックな鞄が欲しいと言い、買って貰ったことがある。
その時は、「はい、喜んで!」なんてスキップして買ってくれたのに
爆破時期に、この鞄の事も、その火種にされる。
「出来た嫁はなー
慎ましく、遠慮するもんなんだよ!
図々しい女だ!」
繰り返し言われた。
だから、私は、俺様から同じセリフを言われても、慎ましく遠慮し、絶対に買ってもらうことはなかった。
「可愛げがないなー」
俺様は、そう言いながら、私のホッペをツンツンする。
「気持ちだけで、充分だよ」
そう言いながら、後退りして、
俺様のエリアから抜け出す。