参議院、衆議院で森友学園理事長籠池氏の証人尋問が行われましたね。

 

何人もの質問者が「偽証になるぞ。」という趣旨の発言をして、恫喝しているように感じました。

 

それでは、籠池氏の証言は、本当に偽証罪に問われるのでしょうか。

 

議員における証人の宣誓及び証言等に関する法律

第6条 この法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、3月以上10年以下の懲役に処する。

 

としています。

 

ここで、「虚偽の陳述」というのが何かが問題となります。

 

今日の質問では、「安倍晋三記念小学校」という名前を使って寄付を募っていた期間が「一瞬」なのか、それとも数年にわたっていたのかの追及がありました。

 

偽証罪で「虚偽」というのは、自分の記憶に反することを意味する、というのが裁判では圧倒的多数の見解です。

 

ですから、自分の記憶に従って証言をしていれば、それが客観的な事実に反していたとしても、偽証罪にはなりません。

 

籠池氏の「一瞬」というのがご本人の認識通りだとすると、たとえそれが数年に亘っていたのが客観的事実だったとしても、偽証罪は成立しません。

 

また、午後の衆議院の質問、最後の方では、籠池氏が「松井知事の意向が私学審議会への圧力になったと思っている」という自らの内心を述べたのに対して、「偽証だ、偽証だ」と大声を出している場面がありました。客観的な事実に反することですらなく、質問者の意向に沿わない主観を述べただけです。それを「偽証」というのは、法律家から見ると、およそ的外れと言わざるを得ません。

 

偽証罪は、「証人の記憶はAのはずなのに、嘘をついてB」と証言したということを立証しなくてはならないのです。「記憶はAのはず」という部分を証明するのが大変なのは容易に想像がつくでしょう。

平成27年の司法統計年報でも、偽証罪で有罪判決を受けた数は、1つの項目としてあげられておらず「その他の刑法犯」に括られています。

 

籠池氏を偽証罪で立件するのは、籠池氏が偽証だ偽証だと騒ぎ立てた方々が考えておられるほど、簡単ではないと思います。