雪の街に | YOU-HEY!!(ユウヘイ)のブログ

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フラフラと、たまに気になったことを書く感じ。

やる気十分、勉強十二時間。

俺は両親と妹が他界してるせいか葬式ってもんが好きじゃない。
普通のヤツでも、葬式なんか好きじゃないだろうけど、俺はあの日の自分の辛さをまた思い出すようで、葬式に顔を出してもいつも名前を記帳だけして帰ることにしている。

三日前の夜中に妹の旦那、久志の父親が亡くなり、葬儀に顔を出さねばならなくなった。
俺は、葬儀に行くことに別の意味で凄い罪悪感があった。

それは亡くなった妹の息子、勇樹に会うのが嫌だったからだ。

三年前の葬儀の後、いつまでも亡くなった母を忘れらない勇樹は当時まだ四歳だった。

大人の俺が、自分の両親の死に対しても辛かったのに、まだ四歳の子供には受け入れられない現実だろう。妹の四十九日が終わってもまだ、勇気は毎日泣いてばかりだった。

当時流行っていた、ハリー・ポッタの本をいつも母親に読んでもらっていたのか手にはずっとその本が握られていた。

父の久志は最初、息子の持つ本を離そうとしていたが、何度言っても離さない姿にどこか不憫さを感じたのだろう。いつしか、そのことも許していた。

涙に濡れた手で何度何度も最初のページを読もうとしていが、四歳の勇樹には読めるはずもなかった。

そんな泣いてばかりいる子供に俺も何を言っていいのかも分からなかった。

「勇樹くん、何か欲しいものないか?」「お母さん」

いくら泣いたって自分の母親は戻らない。俺も痛いほど気持は分かる、でも大人と子供では同じ死でも受け止め方は違うだろう。まだまだ母親と一緒にいたい時期だろうに。

俺は、とっさに勇樹に嘘をついた。

「勇樹くんは、魔法って信じるか?」
「うん。」
「おじちゃんは、魔法使えるんだけど誰かに言ったらこの魔法は効かなくなるんだ。おじちゃんと二人だけの秘密にしてくれたら、魔法を使ってあげるよ。」
「本当なの?」
「本当だよ。」
「どんな?」
「これから、毎日泣かないで3年間過ごしたらお母さんを生き返えらせてあげるよ。
でもね、たった一回でも泣いたり弱音を吐いたら、この魔法は効かないんだ。」
「泣かないと、お母さん生き返るの?」
「うん。」

俺は、子供に口からでまかせの言葉を言っていた。でも、どこかでそんな魔法があるんじゃないかとも思っていた。

<続く>