様々なブロガーが語られているのを拝見して、私もちょっと乗り遅れそうなので、6日にリリースされた報告書について、通読してみて気になったことを数点コメントしていきたい。


さすがにスキームものの詳細な理解は時間をかけて読み込まないとできないボリュームである。スキーム図はエンロンの時に出回っていたSPC連関図やライブドア事件のときを彷彿させる、非常に複雑なものである。


①委員会構成

まずは人数。第三者委員会は弁護士・会計士の6名だが、その補助者の数がすごい。弁護士で20人程度、会計士で40人程度との記載がある。作業の量や質、密度を考えると軽く数億~十億の調査費用になっていると思われる。含み損失の後始末としてのスキーム維持費用や関係者労務費等々を考えると、おいおい数字は出てくるが千億単位の損失(当初の純粋な投資損失を除いて)が発生することになる。


ちなみに会計財務周りの補助を行ったのはトーマツ系。当然あずさと新日本系は無理なので、PwC系とコンペになったのかと思われるが、東電に続いて今年の2大案件目を受注していった(採算は知らないが)。来期ぐらいからの監査業務の受注も見えているかと思うが、大リストラ後なので彼らにしてみれば嬉しい特需だろう。


②第三の会社

軽いネタから。


いきなり、報告書の別紙20 に目を移してもらいたい。アルティス等3社の株主構成推移であり、オリンパス及びGC(グローバルカンパニーというオリンパスの息の掛かったファンド運営会社)が99%を占めるのだが、わずか0.5%程度がその他になっている。これは、群栄化学という上場化学メーカーの持分がそれである。どこですっぱ抜かれたか分からないが、会社側も11/14にリリースを出す羽目になっている。参考記事 を掲げておく。


単なる投資好き会社で、ちょっと手を出した程度であればいいのだが、真相は不明。そのうち追いかけてみたいが。



③井坂俊達 公認会計士

報告書の別紙11 に井坂案件がリストアップされている。世に算定書が絶賛公表されているアルティス以外にも数多くの価値を算定していらっしゃる。委員会で尋問されているようだが(報告書P92)、依頼者の言いなり人形になっていた姿が断罪されている。


この方の経歴はネットを検索すれば簡単に分かるのだが、あずさ監査法人・メリルリンチを経て独立されている方で、現在は40台前半の非常に優秀な方とお見受けする。オリンパスを食い物したアクシーズや外資系証券との絡みでこの方にもネットワークが張られて、独立会計士として業務を依頼されていたのだろうか。監査とは違うビジネスであるが、超大口顧客の意向を無視できなかったエンロンを彷彿とさせる、プロフェッショナルとしてしてはならない仕事だった。