大阪市の「組合」騒動に思う(3)

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 延々と大阪市の「組合」騒動について書いているわけですが。

 地方自治体の「労働組合」というのは、実は「職員団体」でした、というのがこれまで書いたことです。

 

 こんがらがってきたので、ここで濱口桂一郎氏の「日本の雇用と労働法」から引用します。

158ページ~
…戦後労使関係法制が想定する団体交渉とは、あくまでも個別労働者の企業との取引を集団的に行う"collective bargaining"であり、企業の外に企業から独立して設立された労働組合と企業や企業の団体との間で行われるものですし、その想定する労働協約とは、やはり企業を超えて同じ職業や産業の労働者に適用される規範のことでした。…

159ページ~
 今日に至るまで、日本の集団的労使関係法制は本来のジョブ型の性格を維持し続けており、日本型雇用システムの構成要素である従業員代表機関的性格との間で大きな乖離を示しています。

163ページ~
 チェックオフ協定は、企業別組合の組合費を企業が賃金から天引きして組合に渡すもので、やはり従業員代表機関としての性格に適合的です。
 大変皮肉なのは便宜供与です。労働組合法は企業から独立した労働組合を前提に、「団体の運営のための経費の支出につき使用者の経理上の援助を受けるもの」を労組法上の労働組合として認めず(第2条第2号)、その行為を不当労働行為としています(第7条第3号)が、従業員代表機関であればむしろ企業からの便宜供与が不可欠です。


 なお、ここで出てくる「ジョブ型」とは、欧米のように職務によって労働条件が決められる形式で、日本型雇用システムの「メンバーシップ型」とともに濱口氏によって示されている用語です。詳細は「日本の雇用と労働法」にて述べられています。




 以上を見ると、「職員団体」とは「従業員(地方自治体なので職員といったほうが良いかな)代表機関」であって、労働組合ではないから、便宜供与はなされてもおかしくないのではないかと思うのですが。

 とすると、橋下市長は「職員団体」を「労働組合」とみなして、「労働組合には便宜供与をしてはいけないから」という論理でシメツケてきたということでしょう。

 とはいえ、そもそものきっかけは「職員団体」である「労働組合」が、労働組合法の「労働組合」のように橋下市長には見えた、ということでしょうから、そこはちょっと考えたほうがいいかもしれません。

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