よしお てつ のブログ

SF ジュブナイル好きの絵描き男。様モノ和モノ何でも描きます。

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「確かにそうだな。だが、残り百丁の銃をお前が用立ててくれるのか? だったら好きにしていいぞ。

しかし、それができなかったら黙っていろ。指揮官は俺だ」

 

 ジェイと呼ばれたリーダー格の男は、騒ぎ出した仲間を押しとどめた。

どうやら彼らは、名前の頭文字で呼び合っているらしい。

リーダー格の男は、再びパティの脇にしゃがみ込んだ。

 

「博士、わかったよ。十分間だけ時間をやろう。しかしそこまでだ。

万一、ドイツ兵どもがやってきたら、我々はあなたを射殺してここを立ち去る。

それでもかまわんよな」

 

 パティは黙ってうなずいた。

男たちの中には、小声でブツブツと愚痴を言うものがいる。

パティは男たちを睨みつけた。

 

「十分間でじゅうぶんだ! 奇跡を起こしてやる。

なぜ、この国の殺戮者やアメリカが、ぼくを欲しがるのか見せてやろう。

脳細胞の一部と数個の体細胞で、人間は再生できるんだ。神のみが成しえる仕事を、ぼくはできるようになった。

銃二百丁だと? なんて安い買物だ! ぼくの研究を手に入れた者は無敵の軍隊を手に入れることができるのに、その代金がたかだか銃二百丁とはな! 

アメリカはすでに、原子力を使った超強力な爆弾の作成に着手している。一度に数千人、いいや、数えきれないほどの人間を殺せる爆弾だぞ。

そして彼らは今、ぼくの研究も欲しがっている。ぼくの研究が完成すれば、永遠に死なない兵隊が手に入るんだよ! 

何十回……いいや、何百回殺しても復活する、神の軍隊が完成するんだ!」

 

 パティが精一杯に毒づくと、銃を握った男たちの間にどよめきが起こった。

「こいつは悪魔だ」と、地面に唾を吐く者もいた。

パティはそれを無視して作業を続けた。なんとしてもケイトリンを復活させる。

パティの頭にはそれしかなかった。

 

「博士よ……。どうやら我々は、あなたを見くびっていたようだ。

確かにあなたには、銃二百丁以上の値打ちがあるようだな」

 

 リーダー格の男は、パティに一枚の写真を差し出した。

数日前に、自宅近くの公園で撮影したものだ。暖かそうな日差しの中、ベンチに座って微笑んでいるベンヤミン・ゴーディッシュと妻のマリア、そして一人娘のケイトリンが写っている。

 

「これは大事なものだろう? この写真に写っているあなたと、今のあなたは別人だな。

まあいい……。我々は仕事を片づけるだけだ。アメリカ行きの貨物船に乗せてやるよ。

なあ、博士よ。俺は、いつの日かあなたが自分の所業について後悔することのないように、そして将来アメリカまでもが我々の敵にならないように、神に祈っていてやろう」

 パティは唇を噛み締めた。唇が切れて口の中に血の味が広がった。

 

「後悔だって? 彼は、何とばかなことを口にするのだろう。

誰が後悔などするものか。後悔とは、正常な心を持つ者がすることだ。

指輪をかわし、永遠の愛を誓った妻のマリアは死んでしまった。そして最愛の娘、ケイトリンまでも……。

もはやぼくの中には御子は存在しない。ぼくの心はここで死んだのだ。

ぼくの心は悪魔の手にゆだねられ、数個の細胞と共にアルミ製の瓶に封印されてしまったんだ」

 

 

 

 パティは、渾身の力をこめてパイプを振り下ろしたはずだった。しかしながら、突然目の前に現れた映像に彼の動きはにぶり、パイプは空を切っていた。

パティはしくじったことに気づくと、傷ついた獣のようにうなり声をあげた。

 

パティは再び鉄製のパイプを振り上げた。ところがパイプは空中で何者かに受け止められ、それ以上ピクリとも動かなかなくなった。

 

「ここで何をしている。ケイトリンを破壊するつもりか? そうはさせんぞ」

 

 パティの背後で、鼻にかかった低い声が響いた。クイントだ!

 パティの身体はパイプごと持ち上げられ、ものすごい力で振り回された。身体がフワリと宙に浮く感じがして、そのすぐあとにすさまじいショックが襲ってきた。

パティは、まるで羽根枕のように振り回されて、地下室の床に叩きつけられてしまったのだ。

 

明日に続きます。

 

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もしも良かったら、観てあげてください。
(*^▽^*)
 
ちなみにですが、こんな絵です。
 
官女と猫
 
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