現在、この国で漫画に言及することは“あの方”と同類項にくくられる危険を冒す行為と受け取られかねない。
あの方?そうあの方。
そんなことは忘れて、一時手に取ってみよう。
■村上もとか『JIN~仁~』

スーパージャンプに連載中で、単行本は現在14巻まで出ている。
現代の脳外科医が幕末の江戸にタイムスリップして、勝海舟や坂本龍馬、緒方洪庵にヘポン、新門辰五郎や沢村田之助やら様々な人間と関わりを持ちながら、当時の限られた医療環境の中で奮闘する物語。
刀による斬り合いでの急性硬膜外血腫の外科手術から始まり、麻疹(はしか)、コレラ、痩毒(梅毒)、皮膚移植、脚気、乳癌、帝王切開などに立ち向かい、その過程で青カビからペニシリンを精製したり輸血を導入したり。
さらには当時の水準を超えた医療技術(当たり前)ゆえに幕府対薩長の歴史のうねりに巻き込まれていく。
14巻では勝海舟夫人、民のくも膜下出血の手術を行い、スーパージャンプの最新号では当時最も人気があった女形、沢村田之助の足の切断出術に立ち会うことになる。
沢村田之助のエピソードなど歴史的事実を踏まえながら、空想を活かす部分は活かし、リアルな手術場面を織りまぜた良質な大人のファンタジーになっている。
さて、そんな『JIN~仁~』のテレビドラマ化が先日発表されたが詳細はまだのようだ。
しかし、大河ドラマもだけど、現在のテレビドラマの状況ではハッキリ言って期待していない。
一読者として、今以上に原作を愛でることになるのだろうな、と溜息をついている。
■宮尾岳『アオバ自転車店』

『並木橋通りアオバ自転車店』で20巻、『アオバ自転車店』で8巻、現時点で発売されている。
自転車漫画は星の数ほどあれ、ママチャリからフルオーダーのハンドメイドまでありとあらゆる自転車をカバーする漫画はこれしかないのではないかと思う(間違っていたら申し訳ない)。
時々思うのだけど、自転車の時速20キロから30キロ前後のスピードは速すぎず遅すぎず、実は人間の生体にあったものではないだろうか。確かな根拠はないけど。
この漫画にはそんな「体が喜ぶスピード」が描かれているように思う。
読んだ後は、普段自転車に乗らない人も「あのママチャリ動かしてみるか・・・」なんて気になるかもしれないし、今普通にママチャリを使っている人はそのママチャリに特別な感情が生まれるかもしれない。
自転車を“足”ではなく“パートナー”にしてくれる漫画だと思う。
オマケで本日の「帯買い」と「表紙買い」。

■城山三郎『官僚たちの夏』
未読だった城山三郎の代表作。ああ、ドラマになるのか・・・、TBSで・・・。
キャストはいいけど一抹の不安が。佐藤浩市、高橋克己がどれだけやってくれるか。
■忌野清志郎『忌野旅日記』
『瀕死の双六問屋』、『サイクリング・ブルース』に続いてゲット。
今しばらく沈殿する日々が続くか。
■杉浦日向子『杉浦日向子の食・道・楽』
表紙を見て「この若旦那、菊之助にやらせてぇ」と手に取ってしまった。
なんか蕎麦が食いたくなったな。
最後のオマケのオマケに“あの方”にご登場願おう。
それでは良い夜を。