僕の毎日 そして過去

ちょっと気になる僕の一日の出来事や過去の思い出なんか話します。


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月

外では月が白く微笑んでいました。

『あっ!  わたしのお月様.....』

チイちゃんが空を見上げて大声で

叫びました。

『ちがうよ! あれは僕のお月様だぁい...』

『ちがうよ!  チイちゃんのよ!』

『僕のお月様だってば!』

二人で お月様のとりっこです。

『ウァ~ン!! お兄ちゃんが わたしのお月様

取っちゃったぁ~.....』

チイちゃんは勝ち目がなくなると泣き出しました。

お母さんがその声を聞いてとんできました。

ヨッちゃんも半べそです。

『こらっ! 二人とも何やってるの! ケーキは

母ちゃんが一人で食べちゃうぞ!』

お母さんは泣いている二人に笑って言いました。

『いや~ん』

『いやだ~い』

二人は甘えてお母さんの腕に抱きつきました。

――― ああ 思い切ってよかった ―――

お母さんはそっと心でつぶやきました。

その時 目を輝かせて月を見ている二人には

それは決して高価な物ではなかったが

結婚記念の大切な指輪が

無くなっているのに気が付きませんでした。

              

  おわり


  

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家の近くまで来ると、家に灯りがともっている

のが見えました。何か無性になつかしく、

救われた様な気持ちがこみあげ、二人は走り

だしました。

そして、家に飛び込むとミカン箱の飯台の所

に座っていたお母さんのふところに飛び込み

大声をあげ、肩を振るわせ泣きました。

今、町で受けた目に見えない屈辱を訴えるか

のように....。

『どうしたの ふたりとも...』

お母さんはびっくりして言いました。そして腕の

中で泣いている子供達の頭をやさしく、やさしく

なでました。

その手は、まるで男の様にごわごわで、ごつい

手でした。

『かあちゃん  今日はクリ....』

そう言いかけて ヨッちゃんは口をつむりました。

――――  言ってはいけない  言って

お母さんを悲しませてはいけない ―――――

ヨッちゃんはそう思ったのでした。

『ううん   なんでもないよ...』

涙をふきふき 言いました。

『なんでもないの?  そう?』

お母さんがやさしく、そしていたずらっぽく微笑み

言いました。

『ヨッちゃん、チイちゃん 今日は何の日か

知ってる?』

二人は顔を見合わせました。そしてためらいながら

『ク ・ リ ・ ス ・ マ ・ ス ?』

とおそるおそる言いました。

『そう! 今日はクリスマス!だからね

母ちゃん お前達にプレゼント買って来たんだよ!』

二人の前に小さな包みが差し出されました。

二人はおどおどと... それでも顔には笑みが

隠しきれずに包みを開けました。

『わぁー! く・つ・し・た  新品のくつ下だ!』

『それからね...』

その時、お母さんが少し声を高くして言いました。

『これは....ね...』

そう言いながら飯台の上にあった小さな包箱を

開けたのです。二人は呆然としました。

『あっ!』

『あっ!』

『ケーキだ!!』

それは 小さな 小さなクリスマスケーキでした。

でも、たとえそれが小さくても 二人にとっては

さっき町でショウウインドの中で輝いていたやつ

より もっと もっとすばらしく、おいしそうに見え

たのです。

『さあ 二人とも手を洗っといで!

今夜は三人でクリスマスパーティーよ!』

二人はいつもより明るいお母さんの声に

ハッと我にかえり、元気よく外の井戸へ

かけだしました。

二人の胸は幸福でいっぱいでした。



                          つづく

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今日は12月も半ばに近づき

そろそろクリスマスの季節なので

昭和47年1月10日の日付けになってますが

『みちくさ』にのせたお話があるのでそれを

載せます。

少し色々な事から目をそらせてみます。

《小さなクリスマス》


冬がやって来ました。寒い北風を引き連れ

遠い遠い山の彼方から冬がやって来ました。

チイちゃんとヨッちゃんの大嫌いな冬が

とうとうやって来たのです。

二人はは近所の子供達から

『やぁ~い やぁ~い 乞食の子!魚のしっぽ

をめぐんでやらか?三回 回ってワンと言え

言わなきゃ しっぽはおあずけだぁい!』

と はやしたてられたり、いじめられる事には

負けません。しかし 冬の寒さだけは

薄い洋服をすかして 二人を突き刺すのです。

『お兄ちゃん チイちゃん寒いよう...』

チイちゃんは穴の開いた靴下を見つめながら

ヨッちゃんに言いました。

『お兄ちゃんだってさむいんだぞ! 

我慢しろよ なっ チイちゃん!ひょっとしたら

母ちゃんが何か買って来てくれるかも知れない

じゃないか...ネッ!我慢しろよ』

『母ちゃん 何買って来てくれるの?』

『何だかわからないけど...でも

買って来てくれるかも知れないじゃないか』

ヨッちゃんは言葉に困ってしまいました。

まだ小学一年生のヨッちゃんだけれど

ちゃんと 知っているのです。

お母さんが一日中、古新聞やぼろ布を集めて

歩き回っても、親子三人が食べて行くのに

どんなに苦しいかと言う事を...。

だから お母さんが何か買って来てくれるなんて

ありえない事なんです。

しかし ヨッちゃんはチイちゃんにこう言いました

『チイちゃん 何がほしい?』

すると

『チイちゃん きれいなリボンのついたお洋服が

欲しいなぁ~』   と

目を輝かせて言いました。

『とっても暖かくって きれいなお洋服がほしい!

だって この洋服つぎはぎなんだもん。

ねえ お兄ちゃん ひょっとすると母ちゃん

チイちゃんのお洋服買って来てくれるんじゃない?

ねえ  お兄ちゃんてば...』

ヨッちゃんはその時黙っていました。

後で傷つき悲しむ妹の姿が

そっと頭に浮かんだからでした。

すきま風が頬をなでる ストーブもコタツも

無い部屋で、二人はしばらくの間黙って

寄り添っていました。外はもう日が落ちて

宝石の様な星が夜空を飾っていました。

『母ちゃん おそいね...』

ポツリと独り言のように

チイちゃんがつぶやきました。

そして また 沈黙が流れた後

今度はヨッちゃんが口を開きました

『チイちゃん  母ちゃん迎えに行こうか』

ヨッちゃんはお母さんが引いている

リヤカー が動かなくなって困っているのでは

ないか心配だったのです。

『うん チイちゃん 行く...』

二人は手をつないで飛び出しました。

―――寒い―――

まるで針でさされる様です。

でも 二人は風の中を町に向かって

どんどん 走り出しました。

町の大通りには人々が忙しそうに

歩いていました。

デパートからは 暖かそうな光がもれ

お菓子屋さんからはおいしそうな

それこそ 臭いだけでもほっぺが落っこちそうな

香りが流れ出ています。

二人はお母さんも、寒さも忘れて

ショーウィンドの前に立ち

大きな 大きなケーキを

しばらくの間見つめていました。

もちろん 今まで食べた事のない

大きな 大きなケーキ...

『ジングルベル ジングルベル

鈴がなる...』

その時 二人の後ろをお父さんとお母さんに

手をひかれた子供がうれしそうに歌いながら

通り過ぎて行きました。

その時 二人は何かを思い出したかの様に

顔を見合わせました。

―――今日はクリスマスなんだ―――

でも、チイちゃんとヨッちゃんにはクリスマスなんて

関係ないんです。

食べて行くのに精一杯の生活なので

そんな贅沢は許されないのです。

しかし、今二人の後を歩いていった幸せそうな

子供を見たとたん 泣きたい程みじめな気持ちに

なるのでした。

どうして 貧乏人はクリスマスができないの?

同じ人間なのにどうして?

神様は不公平だ!

幼い二人の胸に。ぶつけどころの無い

怒りがこみあげて来るのでした。

『チイちゃん 帰ろう。

母ちゃん もう帰ってるかも知れない』

ヨッちゃんは力の無い声で言いました。

『うん...お兄ちゃん いっぺんでいいから

あんなケーキ食べてみたいね...』

二人は痛いほどのみじめさと

冷たい風を受け、疲れた足を引きずりながら

家に向かいました。

                   つづく...

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