なんで貯蓄で比較するかね! | 知財業界で仕事スル

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知財業界の片隅で特許事務所経営を担当する弁理士のブログ。

最近は、仕事に直結することをあまり書かなくなってしまいました。

本人は、関連していると思って書いている場合がほとんどなんですが…

若手ビジネスパーソンで、最も貯蓄している職業
Business Media 誠 2009年08月20日
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0908/20/news036.html


「若手ビジネスパーソンはどのくらい貯蓄しているのだろうか」「最も貯蓄しているのはどの職業だろうか」と貯蓄額を比較してどうしようというのか?「上の年代になるほど貯蓄額は着実に増えている」「貯蓄額の格差が広がっている」と結論付けてどうしようというのか?

資産総額で比較しないといけない。

我々は資本主義社会の中で生きていることをしっかりと認識する必要がある。資本主義社会では、自らの体を働かせるだけでなく自らのお金にも働かせることを考えるのが正しい生き方だ。片方だけでは不十分。そんな中で、まともな人は貯蓄よりお金の運用を考えるのだから、貯蓄額が小さいからといって消費してしまっているとは限らない。



資本主義社会では、労働だけでなく資本もお金を生む。このシステムが“主義”と名づけられているのは少し変な気がするが、たぶんマルクスがこのシステムを批判する論文を書き(資本論)、このシステムに取り代わって将来発生していくべき別の社会体制を提示したからではないかと思う。その別の社会体制は“共産主義”である。

マルクスによって、資本が資本を増殖させる機能を持つ資本主義社会に対抗する概念として、その増殖機能を有さない共産主義社会というコンセプトを人類は手に入れたが、残念ながら共産主義システムはうまく機能できずに終わっている。その結果として、現在の人類のほぼすべては、“主義”というにはあまりに普遍的過ぎる、資本が資本を増殖させる機能をもった社会システムの中で生きている。

この事実を、日本の若者は教えてもらえる機会がない。逆に、そのシステムを覆い隠し、若者をミスリードするすような情報に満ち溢れている。引用記事は、その典型例といってよいと思う。



お金は貯金するものとしか教えてもらえない日本の若者の将来は暗いと思う。

「若手ビジネスパーソンで、最も“資産”を保有している職業」というタイトルの記事が書かれるようになる時代が日本にやってくることはあるのだろうか?