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日本左衛門は日本の泥棒で、ナンバーワン?

2017年04月25日(火) 00時06分57秒 テーマ:鬼平犯科帳

『歴史を探る・人生を探る』



▼「日本の泥棒で、ナンバーワンは誰でしょうね?」

 池波正太郎は、この質問に間髪を入れず答えた。

「日本左衛門でしょう」

(『歴史を探る・人生を探る』)


▼「問われて名乗るもおこがましいが・・・・・」。

 河竹黙阿弥の歌舞伎『白浪五人男』で一味の頭領を務める、日本駄右衛門の名台詞(せりふ)である。

 モデルとなった日本左衛門は江戸中期、遠州を中心に強盗を重ね、街道では諸大名が運ぶ千両箱を襲った。


▼狙いを定めると、家内の様子を時間をかけて調べ上げる。

 数十人の手下とともに屋敷に押し入り、家中の全員を縛り上げて金品を強奪した。

 金糸銀糸で縫い取りした豪華な衣装をまとって指揮を執ったという。


▼用意周到で大胆不敵な犯行という点では先週、福岡・天神と東京・銀座で続けて起きた現金強奪事件も共通している。

 犯人は、被害に遭った男性らが多額の現金を所持していると、あらかじめ知っていたとしか思えない。

 犯行現場はいずれも、人通りの多い白昼の繁華街である。


▼日本左衛門は、火付け盗賊改めの急襲を受けて逃走する。

 その後観念して京都町奉行所に自首して、処刑された。

 池波によると、日本左衛門には尾張藩の後押しがあったとの説がある。

 当時の尾張藩には徳川幕府に含むところがあり、お膝元の治安を攪乱(かくらん)する目的があったらしい。


▼現金強奪事件の背景にも、大きな謎が潜んでいそうだ。

 4人の韓国人が福岡空港から国外に持ち出そうとした約7億3千万円は、事件とは無関係なのだろうか。

 何より解せないのは、キャッシュレスが当り前になったご時世に、大金の持ち運びを命じられる人たちの存在である。

 千両箱を積み上げた大八車が、高層ビル街を通りすぎる、そんな違和感が残る。


ー2017年4月24日の新聞よりー









 





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43.≪第4シリーズ≫ 第15話 女密偵・女賊

2017年04月07日(金) 00時38分12秒 テーマ:鬼平犯科帳

おまさのむかしなじみで妹分のお糸は、

 

             来ない恋人を待ち続けてーーー

 ある日おまさは、茶店で人待ち顔の女を見かけてはっとした。その女は、おまさの盗賊時代の妹分・お糸だった。お糸が待っていたのは、押切の駒太郎という名の錠前破り。ふたりはその茶店で落ち合う約束をしていたが、お糸はもう何日も待ちぼうけをくらっていたのだ。おまさは平蔵に事情を打ち明け、お糸を休ませると同時に、駒太郎の属する一味の頭目・鳥浜の岩吉一味に探りを入れる。お糸はいったん火盗改メに捕縛されるがーーー。



鬼平図解帳 女密偵・女賊


猫どの「鬼平」料理帖


火盗改メの料理番


 江戸情緒たっぷりに描かれている食のシーンは、「鬼平犯科帳」の大きな魅力。その食のシーンに欠かせないのが、”猫どの”こと、火付盗賊改方同心・村松忠之進だ。猫どのは、火盗改メという危険な役目に就きながらも、剣術はからきしダメという不甲斐なさ。しかし、料理の腕は天下一品。味がわかる長官(おかしら)・平蔵が「道楽もあそこまで行くと本職はだし」と絶賛するほどだ(第1シリーズ第4話「血頭の丹兵衛」)。


 ドラマの中で猫どのがつくる料理は、入手しやすい食材をシンプルに調理したものばかり。ともすれば何の変哲もない料理になりがちだが、そこにひと手間かけて”逸品”に昇華させるのが、猫どのの身上(しんじょう)だ。


 例えば、本作で女賊・お糸のためにつくった「あさりのむき身と大根千六本(せんろっぽん)の煮物」。お熊が「むき身かい」と悪態をついたことからもわかるように、あさりはありふれた食材だった。しかし、猫どのは出汁(だし)に自ら「秘中の秘」というほどの工夫を凝らして、あさりと大根の煮物という月並みな惣菜を、見事、お糸の心を慰める料理に仕上げている。



おいしさの秘訣は”心”


 献立を考える際は、相手の嗜好(しこう)や体調への配慮を忘れないのも猫どの流。それをよく表しているのが、第1シリーズ第10話「一本眉(まゆ)」だ。


 平蔵の妻女・久栄は、夜食に白粥を用意していた猫どのに「殿さまには煎り卵もつけて」と頼む。すると猫どのは「ただの煎り卵ではなく、刻み葱をたっぷり入れた煎り卵でないといけません」と主張。そのせりふからは、白粥と葱入り煎り卵という平蔵お気に入りの料理を供することで、長官(おかしら)の疲れと空腹を少しでも癒そうという心遣いが伺える。


 工夫を凝らし、心を尽くしてつくられた猫どのの料理が、おいしくないはずがない。食べてみたいと切望するファンも多いだろう。


 そこで、猫どのの手料理のなかから、再現しやすい献立を厳選。猫どののつくり方をベースにしつつ、現代の素材でもおいしく仕上がるよう調整したレシピを4つ紹介する。ぜひ江戸の味を試してみていただきたい。



あさりのむき身と大根千六本の煮物


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第1シリーズ第4話「血頭の丹兵衛」

【材料:2人分】あさりのむき身・・・200g

大根、昆布、濃口醤油・・・各適量

①大根は皮をむいて、繊維に沿って千六本に切る。

太さはせん切りの2倍くらいが目安。

②鍋に水と昆布を入れて火にかける。

沸騰(ふっとう)直前で昆布を取り出す。

③醤油と、好みで酒を加えて味をととのえる。

あさりを入れ、火が通ったら①を加えて完成。

好みで山椒(さんしょう)をふってもよい。


猫どのメモ

調理のポイントはあさりの煮加減。火を通しすぎたあさりは、本作の猫どのの言葉を借りれば「ゴミ」同然なのでご注意を。なお、②のあとに出汁用のあさり(分量外)を加え、味が出たところで取り出し、それから③を行うと、あさりの風味をよりいっそう楽しめる。



鮎飯


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第1シリーズ第4話「血頭の丹兵衛」

【材料:2人分】鮎・・・2尾 

米(研いでおく)・・・2カップ  塩・・・小さじ1

①鮎を素焼きにする。

②炊飯器に米を入れ、指定の水量線まで水を加える。

塩と、好みで酒と醤油(各少々)を入れて、全体をかるく混ぜたら炊く。

③炊き上がる直前に①の鮎をのせて蒸らす。

炊き上がったら、鮎の頭と尾、骨を取り除き、ほぐした身をご飯と混ぜる。


猫どのメモ

「香魚(こうぎょ)」とも呼ばれる鮎の風味が溶け込んだ鮎飯は、まずはそのまま味わって。そのあと、猫どのに倣(なら)って葱、しそを加える。猫どのいわく「この世のものとは思えぬ美味」の完成だ。養殖ものの鮎を使う場合は、②の醤油を多めにすると臭みがとれる。



白粥~葱入り煎り卵


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第1シリーズ第10話「一本眉」


【材料:2人分】米(研いでおく)・・・1カップ  卵・・・2~3個

葱(刻んでおく)・・・適量  塩、濃口醤油・・・各少々

①白粥をつくる。

鍋に米、水10カップを入れてふたをし、強火にかける。

②葱入り煎り卵をつくる。溶いた卵に葱、塩、濃口醤油を加えて混ぜ、油を引いたフライパンでスクランブルエッグをつくる。


猫どのメモ

白粥は3分粥、7分粥など種類があるが、ここでは5分粥(米1対して水10)のレシピを紹介。好みによって水の量を変えて。ご飯からつくる場合は、ご飯1に対して水3~4が適量。どちらも鍋は土鍋がおすすめだ。煎り卵は、「刻み葱をたっぷり」が平蔵好み。



寒しじみ汁


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第7シリーズ第15話「見張りの見張り」


【材料:2人分】しじみ(砂抜きをしておく)・・・100g

昆布、合わせ味噌・・・各適量

①鍋に水2カップと昆布を入れて火にかける。

沸騰したら昆布を取り出し、合わせ味噌を加える。

②しじみを入れ、みそ汁が煮立たないように気をつけながら弱火で煮る。しじみの口が開いたらできあがり。


猫どのメモ

しじみを水から煮て、貝の口が開いてから味噌を加える方法もある。猫どのはどうやら、こちらでつくったようだ。なお、しじみは8月頃に出回る「土用しじみ」と、1~2月の厳寒期にとれる「寒(かん)しじみ」が特においしいとされている。




猫どの名店マップ


 猫どのは、おいしい料理屋を見つけだす名人でもあった。そして、ここぞという店には火盗改メの関係者を連れて行った。


 第3シリーズ第3話「馴馬の三蔵」の主要舞台となる「萬亀(まんがめ)」もそのひとつ。大川端に建つ同店でご相伴にあずかった同心・木村忠吾は「酒はよし、料理もよしで結構づくめ」といたく気に入った様子で、2人で看板料理の「けんちぇん汁」に舌鼓を打って、たいそうご満悦だ。


 第4シリーズ第3話「盗賊婚礼」では、墓参の帰り道に平蔵とともに「瓢箪屋」へ。


 わけぎと木くらげの白味噌和えや鱒(ます)のみりん漬けなど、豪華ではないが念の入った料理に平蔵も大満足。さらに猫どのは、さまざまな店を食べ歩きながら、店主に料理を教えてもらうこともあったらしい。第2シリーズ第19話「春の淡雪」で猫どのは、「”小さか”という料理屋の亭主の直伝」だと喧伝(けんでん)しながら、あじのなめろうをつくっている。こうした食へのあくなき好奇心と情熱が、数々の絶品料理を生み出す秘訣だったのだ。



原作を読む!


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「鬼平犯科帳」24 第1話「女密偵女賊」



平蔵の妹が登場!

       おまさの苦悩を描いた好篇


 浪人・森七兵衛は、おまさが妹のように思っていたお糸の恋人を殺した張本人。その居所を平蔵に告げるのは、ドラマでは鳥浜の岩吉だが、原作ではお園という女性になっている。作中で火盗改メ同心・小柳安五郎の後妻となるお園は、実は平蔵の腹違いの妹。結婚前は居酒屋を営んでいて、森は何とその店の客だったという。妹のおかげで森を見つけた平蔵は、ドラマと同様に、無事、お糸の敵(かたき)を取っている。


ー鬼平犯科帳 DVDコレクション 43-









 













 












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43.≪第4シリーズ≫ 第13話 老盗の夢

2017年03月16日(木) 00時26分56秒 テーマ:鬼平犯科帳

なじみの女のために、江戸で最後の

   お盗めをくわだてた喜之助はーーー

 隠居して京にいる老盗・簑火の喜之助の、おちよという若い女ができた。喜之助は彼女のために、火盗改メ長官・長谷川平蔵が守る江戸で、最後のお盗めをくわだてる。喜之助は、三ヶ条の掟を守り通した伝説の本格盗賊。さっそく、前砂の捨蔵の口利きで、4人の助けばたらきが集められた。だがこの4人、実は黒雲の龍蔵という兇賊の手先で、龍蔵は喜之助の盗めを横取りしようとたくらんでいたのだ。そうとは知らない喜之助は、盗めの手はずを整えるがーーー。





江戸の食を支えた

   「雑魚場」「やっちゃ場」

 


格式の日本橋、鮮度の芝


 

 密偵・小房の粂八は、老盗・簑火の喜之助に、ある日突然声をかけられる。このとき粂八は籠を背負い、魚市場を歩いていた。火付盗賊改方の探索拠点を兼ねて経営する船宿「鶴や」で客に出す料理の仕入れのために来ていたのだろう。


 江戸には数カ所の市場があり、魚介類を扱う市場を魚河岸という。百万を超す人口を抱えた江戸では、魚は貴重なタンパク源だった。そのため、毎朝の魚河岸では千両もの金が動いたといわれる。

 江戸で最大規模を誇る魚河岸は日本橋にあった。現在の築地市場の前身だ。徳川家康に呼び寄せられた大坂・佃村の漁師たちが、幕府に献上する魚の残りを橋のたもとで売り出したのが始まりと言われ、幕府御用達の高級魚である白魚や鯛をはじめ、マグロやアワビといった全国の魚介類がここに集まった。


 一方、江戸で最古の魚市場は、落語「芝浜」で有名な芝の魚河岸だ。別名を雑魚場(ざこば)といい、アジやキス、アサリなど江戸前の小魚を主に商った。魚場が近いだけに鮮度は抜群。魚好きの江戸っ子はここの魚を「芝肴」と呼んで重宝がった。

 本作で粂八のいる魚河岸は、小魚が多く見受けられることから、芝ではないかと思われる。




三大やっちゃ場と大根河岸


 一方、野菜を扱う青物市場をやっちゃ場といい、大根、カブ、ウド、小松菜などが売買された。幕府御用達をつとめた神田・千住・駒込の青物市場を三大やっちゃ場と称し、京橋と本所を加えて五大やっちゃ場とすることもある。重い野菜を運ぶには陸路より水路が便利なため、川沿いに設けられていた。


 日本橋川と神田川のある神田界隈は特に水運の便が良く、古くから青物市場として発展していた。神田多町(当時は田町)に青物問屋組合詰め所が設けられたため、「多町(たまち)やっちゃ場」とも呼ばれた。

 やっちゃ場の「ヤッチャ」とは、競りのかけ声が起源と言われるが、実際に競りを行ったのは千住だけ。日光街道の出発点・千住大橋のたもとにあって大いに栄えた。近在の農民が寺の境内に集まって野菜を売ったのが始まりとされる駒込市場は、江戸でもっとも歴史が長い。


 京橋のやっちゃ場は、日本橋魚河岸からもほど近く、繁華街の中にあるためとても繁盛した。特に大根を多く扱ったことから「大根河岸」の愛称で呼ばれ、江戸の庶民たちに親しまれた。



「鬼平犯科帳」三大本格盗賊

             ~簑火の喜之助~


 火盗改メ長官・長谷川平蔵が指折り数えた三大本格盗賊ーーー簑火の喜之助夜兎の角右衛門代・狐火勇五郎(第3シリーズ第19話「密偵たちの宴」)。本作のメイン・簑火の喜之助は、この三大本格盗賊のひとりだ。


 原作によれば喜之助の出身地は京都・五条橋。 

8年前に盗賊を引退してからは、前妻の故郷である武州・蕨(現・埼玉県)で宿屋を営んでいた。


 「血頭の丹兵衛」事件が発生したのは、宿屋の後を娘夫婦に托した喜之助が、一旦江戸に出てきた頃。そこからさらに京へ向かう途中の東海道で平蔵と出会ったエピソードが描かれている。

 喜之助は、丹兵衛が兇賊になり下がったことを知らなかったので、急ぎばたらきの汚名をすすぐため、丹兵衛になりすまして盗みに入った。そして盗んだ金子(きんす)を、後日そっくり返しておくという、本格のしゃれっ気を見せ付けたのだ。


 この遊び心や粋な振る舞いも、喜之助の大きな魅力。本作で、自分を張り込む沢田同心に「ご酒を振る舞う」のも、そうした洒落のひとつだ。

 一方、恐ろしいもうひとつの顔も。手下には威厳をもって睨(にら)みを利かせ、自分の名を汚す裏切り者は絶対に容赦しない。本作のラスト近く、助っ人たちを皆殺しにする場面には、実に鬼気迫るものがある。


ー鬼平犯科帳 DVDコレクション43 「老盗の夢」よりー




原作を読む!


鬼平犯科帳(一) 第5話「老盗の夢」


大盗賊の運命を狂わせた 

         見果てぬ夢の悲壮な末路 


 原作は初期の作品。以後、簑火の喜之助の名は、伝説の大盗賊として何度も登場することになる。
 

 その喜之助、ドラマでは粂八に危ういところを救われるが、原作ではむしろ逆。というのも、原作の助っ人たちはもと粂八の仲間で、一味を裏切った粂八を殺しに行く途中で喜之助に刺殺されるのだ。

 また、喜之助の運命を狂わせたおとよ(ドラマではおちよ)は豊満な体の大女。池波作品に共通する「理想の女性像」だ。




















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42.≪第4シリーズ≫ 第12話 埋蔵金千両

2017年02月05日(日) 00時18分04秒 テーマ:鬼平犯科帳

死期を悟った万右衛門は下女兼情婦の

    おていに秘密を打ち明けるがーーー 


 浪人・太田万右衛門は、急病に襲われて、死期が近いことを悟った。彼は、下女兼情婦のおていに、自分がかつて盗賊であったこと、隠し金が千両あることを打ち明けて、半分をおていにやると約束した。その条件として、万右衛門の息子の行方を知る、むかしなじみの加納屋利平に連絡をつけることを命じた。利平のいる上州・上田に向かって、おていはさっそく江戸を出発する。しかしその直後、万右衛門の病気を治すと言う医者が現れーーー。




桜で有名だった小金井村


名勝・小金井桜のはじまり


 江戸市民の生活費が1年で約十五両という時代に、千両もの金を貯め込んでいた太田万右衛門。その金は、武州・小金井村(現・東京都小金井市)にある小金井八幡宮そばの雑木林に埋められていた。


 武蔵野台地に位置する小金井村と、江戸との距離は約28㎞。徒歩で6~7時間はかかる。江戸時代の初期には、ススキが生い茂る原野だった。その風景が変化するのは、三代将軍・家光のとき。承応3年(1654)に、武蔵野台地を全長43㎞にわたって東西に貫く玉川上水が完成し、新田開発が始まったのだ。

 しかし、玉川上水周辺の土地は養分が少なく、水田に向いていなかった。そのため凶作が続き、農民たちの暮らしはとても貧しく、餓死する者さえいたという。


 そんな中、八代将軍・吉宗によって武蔵野新田世話役に任命された川崎平右衛門定孝が、享保の改革の一環として、さらなる新田開発に着手。天文2年(1737)、小金井橋を中心とした玉川上水の両岸およそ6㎞に、奈良の吉野から取り寄せたヤマザクラの苗を植樹する。その数およそ2000本。この場所を桜の名所にすることで花見客を呼び込み、地域経済の活性化をはかろうという平右衛門の狙いは、それから約半世紀後に実を結ぶ。


文人墨客を魅了した桜並木

 

 寛政年間(1789~1801)になると、五日市街道を行き来する馬子たちによって、小金井桜の噂が江戸市中へと広まっていく。文化元年(1804)に当時のお花見ガイドブックである「玉花勝覧」に紹介されるや一気に知れ渡り、花見客が殺到。農民たちは茶店や料理屋を出して山菜、鮎などで客をもてなし、その時期だけで1年分の収入を稼いだという。


 富士山を背景に、玉川上水の清い流れを足もとに抱いた桜並木の光景は、芸術家たちの美的センスを刺激した。「玉花勝覧」を書いた俳人・露庵有佐のほか葛飾北斎、歌川広重、谷文ちょう、太田なんぼなど多くの文人墨客が見物に訪れ、錦絵や書物で小金井桜を紹介、絶賛している。


おていも花見に行っていた


 そんなわけで、江戸はもとろん関東全体でも一、二を争う桜の名所となった小金井には、1800年代前半を通して、想像を絶する数の花見客が訪れた。特に小金井橋から眺める風景は絶景とされ、あまりに多くの人が集まったため、橋の損傷が激しかった。修狸を繰り返したあげく石橋に架け替えられたというから、その賑わいぶりがわかるだろう。本作のおていが「小金井村に花見に行ったことがある」と言うのもうなずける。もっとも、役宅の牢内で大盛りの飯を平らげるおていのこと。花より団子だったに違いない。そんな彼女がもし、埋蔵金の千両をそのまま手に入れていたら・・・・・いったい何に使ったことだろう。



埋蔵金を諦めきれない 強欲な盗賊

太田万右衛門役・・・中丸忠雄・・・1933年、東京市出身。57年の本多猪四郎監督作品「別れの茶摘歌姉妹編」で本格デビュー。精悍で知的な風貌で「独立愚連隊」(59年)、「電送人間」(60年)、「日本のいちばん長い日」(67年)などの軍人役、悪役で人気を博す。その後、活動の場を舞台にも広げ、シェイクスピア劇での活躍では英国政府から”SIR”の称号を授与されている。09年、鬼籍に入った。



原作を読む! 


鬼平犯科帳(2) 第7話「埋蔵金千両」


平蔵に気に入られた 謎の指圧師・宗仙

 

 原作によると、平蔵が万右衛門の噂を聞くのが12月30日。おけい(ドラマではおてい)が捕まるのは翌年の1月8日だ。その間、火付盗賊改方は休みなし。平蔵も自ら万右衛門の尾行におもむき、そのために風邪を引いてしまう。

 

 

 

 一方、注目すべきは中村宗仙。原作では本作がきっかけですっかり平蔵のお気に入りとなり、次の「麻布ねずみ坂」にも引き続き登場。ラスト、風邪気味の平蔵が宗仙に治療を願うのは原作・ドラマともに共通だが、平蔵らしい「卵酒」の所望は、ドラマオリジナルだ。

 




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42.≪第4シリーズ≫ 第11話 搔堀のおけい

2017年01月23日(月) 00時08分21秒 テーマ:鬼平犯科帳

引き込み女・おけいに囲われる

 もと五郎蔵配下の鶴吉はーーー

 

 

 掻堀(かいぼり)のおけいは、商家などの主(あるじ)をたらし込んで屋敷に入り込み、引き込みをはたらく女賊。1年前、紙問屋・伊勢屋が廃業に追い込まれたのも、おけいが引き込んだ盗賊一味のお盗めが原因だった。平蔵の命でおけいを張り込んでいて、かつての配下・砂井の鶴吉に再会した大滝の五郎蔵は、彼がおけいの囲われ者となっていることを知る。鶴吉をおけいの魔手から救おうと動き出した五郎蔵だったが、おけいは和尚の半平という急ぎばたらきの兇賊と新たな盗みをくわだてていてーーー。



鬼平図解帳 掻堀のおけい


本所二ッ目、「五鉄」界隈


現在とは違う「本所」の範囲


 江戸時代の本所は現在よりも随分広い。北は北十間川(きたじっけんがわ)、東は横川、西は大川(現・隅田川)、南は竪川(たてかわ)あたりまでがその範囲で(古地図参照)、現在残る「本所」の地名はほんの一部だ(現代地図参照)。もともとは下総国(現・千葉県)の一部だったが、万治2年(1659)の両国橋の完成にともない江戸に組み込まれ、有数の繁華街へと発展していく。両国橋のたもとには芝居小屋、見世物小屋、茶屋などが建ち並び、近くは勧進相撲で知られる回向院もあったために、大層賑わったという。




「鬼平」主要舞台の中心


 そんな遊興の地・本所において、「鬼平」ファンならお馴染みの”某所(ぼうしょ)”が存在した。本作にも登場する軍鶏鍋屋の「五鉄」だ。「五鉄」は、竪川に架かる二ッ目之橋(現在の二之橋)の北側に建つという設定だが、ここは、本所と深川のほぼ境目。ちなみに、本所の南側に広がる深川には、平蔵も頭があがらないお熊婆さんが営む茶店「笹や」や、密偵・小房の粂八が主人を務める船宿「鶴や」などがあった。ほかにも、本所・深川にある「鬼平」ゆかりの地を挙げればきりがない。いわば、本所・深川は「鬼平」シリーズの主要舞台。本所二ッ目にある「五鉄」は、「鬼平」シリーズを縦断する舞台の、ちょうど中心あたりに位置していたことになる。


 最適な立地条件に加えて、主の三次郎は、平蔵とは親の代からの付き合い。火盗改メの仕事もよくわきまえている。そのうえ、2階には彦十やおまさが起居していたこともあって、密偵たちはさまざまに「五鉄」を訪れている。本作のように平蔵との会合に使うにはもちろん、仲間同士で連絡(つなぎ)をつけたり、むかしなじみの盗賊を誘って探りを入れたりする際にも利用した。時には、第3シリーズ第19和「密偵たちの宴」のように酒宴を開くこともあった。




「五鉄」に集う密偵たちの涙


 「五鉄」に集う密偵たちは、いずれも平蔵が心から信頼している者ばかり。普段の働きは実に頼もしい。そのうえ、平蔵が「これ」と見込んだ人物たちだけに、人情にも厚く人柄も良い。そんな彼らが紡ぐ人間模様も、「鬼平」の見どころのひとつだ。


 本作のメインはなんといっても女賊おけいのしたたかな行動の裏に隠された悲哀の過去だが、もうひとつの隠れた見どころは、「五鉄」に集う密偵たちが、人の世の情けに触れた時にこらえきれずに見せる涙だ。本作では五郎蔵が、その感動的な”泣き”を披露している。五郎蔵は他にも第1シリーズ第21話「敵」で落涙しているし、伊三次は、第2シリーズ第9話「猫じゃらしの女」で目を潤ませた。また、粂八は第1シリーズ第4話「血頭の丹兵衛」では平蔵にすがりついて慟哭し、第3シリーズ第3話「馴馬の三蔵」、第4シリーズ第13話「老盗の夢」でも、男泣きに泣いている。


 一方、男たちがこれだけ泣いても、紅一点のおまさはあまり泣かない。落涙したのは第3シリーズ第11話「夜鷹殺し」などが思い浮かぶが、あまり泣かないぶん、内にどれほどの思いを秘めているのかと思わせる。


 本所の「五鉄」は、密偵たちの涙や思いも飲み込んで、江戸の下町に静かにたたずんでいたのだ。


 



若い情夫に 亡くした息子の影を見ていた女賊

掻堀のおけい役・・・三ツ矢歌子・・・1936年、大阪府出身。56年の新東宝作品「君ひとすじに」で女優デビュー。清純派女優として人気を得たが、新東宝倒産後はテレビドラマに活躍の場を移してメロドラマ路線で絶大な視聴率を誇り、”昼メロの女王”と呼ばれた。新東宝出身の小野田嘉幹(よしき)監督は三ツ矢の夫で、本作はひさびさの夫婦共作ということになる。04年、間質性肺炎で死去した。






原作を読む! 


鬼平犯科帳(7) 第4話「掻堀のおけい」


非情で冷酷な女賊の背景に 

        ストーリーをもたせた秀作

 

 ドラマ、原作ともに、ストーリーも登場人物もほぼ同じだが、女賊・掻堀のおけいの描写に違いがある。

  ドラマのおけいは、おまさいわく「かわいそうな女」。亡くした息子のことが忘れられない、愛情深い一面が描かれているが、原作にはそうしたエピソードはない。  

 原作のおけいは、砂井の鶴吉の弱みを握り、いいように弄(もてあそ)ぶ非情な女。ドラマのように捕縛前に自害することもなく、市中引き廻しの上、死刑となった。


ー鬼平犯科帳 DVDコレクション 42-













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41.≪第4シリーズ≫ 第10話 密偵

2016年12月07日(水) 02時27分16秒 テーマ:鬼平犯科帳

もと盗賊の密偵・弥市は

    盗賊仲間に手伝いを頼まれーーー


 かつて荒金の仙右衛門一味だった青坊主の弥市は、平蔵のキツい拷問に屈してしまった。仲間を売り、佐嶋配下の密偵となった弥市。3年後には一善飯屋の亭主となり、女房、子供をもって、堅気の幸福な生活を満喫していた。そんな時、昔の同業で顔見知りの乙坂(おとさか)の庄五郎と再会し、仙右衛門一味の生き残り・縄ぬけの源七が江戸に入ったことを告げられた。源七は仲間を売った弥市を恨み続けており、復讐のために戻ってきたのだった。




江戸時代の錠前


職人気質の鍵師たち


 ドラマ「鬼平犯科帳」に登場する盗賊一味は、さまざまに役割分担されている。仕事を成功させたいなら最初が肝心なのは、盗めとて同じこと。そういういみで、押し込みの際に一味の者を屋敷内へ招き入れる「引き込み」と鍵を開ける「錠前破り」は、どちらも負けず劣らず重要な役割を担う。錠前破りとは、すなわち、金蔵の錠前を開けるため、本物と寸部分違わぬ合鍵を作成する「鍵師」である。本作の主人公・弥市は、もと青坊主の弥市と呼ばれた盗賊で、荒金の仙右衛門配下で鍵師を務めていた。


 本来、錠前と鍵(和錠)をつくるのは鋳物師(いもじ)という職人だが、時代が下がるにつれ、太平の世に戦がなくなり、仕事の減った刀鍛冶が転職することも多かった。そのせいか、個性豊かな盗賊たちのなかでも、鍵師は特に職人気質が強いように思われる。


 たとえば、第1シリーズ第18話「浅草・御厩河岸」の松吉。本作の弥市と同じ本田博太郎が演じているが、彼の表稼業は飾り職人だ。また、第2シリーズ第9話「猫じゃらしの女」に登場する卯之吉は、鍵師としての絶対的な自信と誇りを抱いているが、かえってそれが命取りになる。本作の弥市にしても、まるで人が変わったように合鍵づくりに打ち込む姿から、一流職人ならではの厳しさと風格がひしひしと伝わってくる。




和錠の構造 


 鍵師が合鍵をつくるには、その鍵の型が必要だ。ドラマでは、粘土や蝋(ろう)を用いて錠前の鍵穴を写し取るようすが描かれる。第1シリーズ第3話「蛇の眼」では彦の市という座頭がこの役目を果たしている。


 もっとも、本物の錠前は、そう簡単にはコピーできない。重要なのは鍵穴の形そのものではなく、かんぬきに施されたバネの仕掛けと、鍵の凸部とのコンビネーションだ。


 この仕組みは非常に古くからあったもので、和錠に限らず、中国や朝鮮半島、西洋にも見られる。日本に現存する最古のものは東大寺(奈良県)の正倉院に収められている。


 最も基本的な構造としては、まず、かんぬきに2枚一組の板バネが付いている。これがハの字に広がることで錠前の内部に引っかかり、引き抜くことが出来なくなる。開けるときには、合鍵に付いた2つの出っ張り(爪)でバネを挟んで締め付ける。つまり、ハの字に開いたバネを一文字に閉じてしまうというわけだ。理論的には単純な仕組みだが、それだけに、精巧さが物をいう。職人の腕の見せどころでもあっただろう。




さまざまな工夫


 和錠の仕掛けには大きくわけて4種類あり、先述した2枚バネのほか、上下を加えて計4枚の十字型、角度の違う6枚のバネを組み合わせた矢蔵(やぐら)型、さらに、錠前のなかにもうひとつバネを仕込んだ土佐錠がある。いずれも、錠としての実用性を高めるための工夫だ。構造はシンプルだが少しでも位置がずれれば決して外れないという点で、知恵の輪に通じるものがある。


 また、当時の和錠には富の象徴としての意味合いが強かった。そのため、実用性ばかりではなく見た目の立派さや美しさも重要で、海老や太鼓、船などをかたどったデザイン重視の和錠が各地でつくられた。先述の土佐錠(高知県)の他、からくり仕掛けを施した阿波錠(徳島県)、表面に丸みをもたせた因幡(いなば)錠(鳥取県)、鍵穴部分をヒキガエルの腹のように膨らませた安芸錠(広島県)が、日本の四大錠と呼ばれている。


 




青坊主の弥市役・・・本田博太郎・・・1951年、茨城県出身。劇団青俳を経て、映画、テレビドラマ、舞台と幅広く活躍。舞台では、70年代後半の蜷川幸雄演出作品で頭角を現し、80年代には時代劇などにも出演し、個性的な役柄を多く演じた。ホームドラマではユーモラスな父親、アクション物では狂喜的な犯罪者、SF物では現代に蘇った”北京原人”を演じたこともあるなど、並々ならぬ幅広い演技力をもつ。




原作を読む! 


鬼平犯科帳(2) 第5話「密偵」


弥市最期の壮絶な見せ場は 

           ドラマだけのオリジナル

 

 原作はシリーズ初期の作品。弥市は平蔵の前任者・堀帯刀のときに佐嶋与力直属の密偵となっており、平蔵とは最後まで顔を合わせることがない。その最期もあっけなく哀れなもので、這ってでも家族のもとへ帰ろうとする感動的な死にざまはドラマ独自のアレンジだ。

 

 また、弥市の女房おふくも人物像が少し異なる。弥市の浮気を疑って自ら尾行に乗り出す原作のおふくはいかにも江戸の女房らしく、落語のようなユーモアがあり、ほのぼのとした笑いを誘う。











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41.≪第4シリーズ≫ 第9話 霧の七郎

2016年11月16日(水) 02時14分53秒 テーマ:鬼平犯科帳

七郎は平蔵への恨みから辰藏殺しを

      浪人・上杉にもちかけるがーーー


 兄・小川や梅吉を平蔵に捕縛、処刑された霧の七郎は、数名の手下を率いて江戸に潜入、虎視眈々(こしたんたん)と復讐の時を狙っていた。ある日、七郎は浪人・上杉周太郎と出会う。上杉の剣の腕を見込んだ七郎は、平蔵を苦しめるため、辰藏殺しを依頼した。しかし上杉は、辰藏が平蔵の息子であることを知らなかったうえ、腹を下して苦しんでいるところを助けてしまった縁で、殺害を断ることに。その後、辰藏の紹介で上杉と手合せをした平蔵は、七郎の盗人宿を教えてくれと頼むがーーー。





長谷川家を狙った盗賊たち


辰藏、久栄も標的に・・・・・


 時に温情を見せることもあるが、流血沙汰を厭(いと)わない兇賊にはどこまでも苛烈で容赦がない・・・・・。そんな火付盗賊改方長官・長谷川平蔵に恨みを抱いたり、疎(うと)ましく思ったりする者は多い。なかには実際に報復行為をもくろむ輩もいて、「鬼平」シリーズにも度々登場する。本作の霧の七郎もそのひとりだ。


 盗賊・霧の七郎には、小川や梅吉という実兄がいた。梅吉も盗賊で、過去に、密偵・相模の彦十の活躍により火盗改メが捕縛に成功(第1シリーズ第2話「本所・櫻屋敷」)。後日、磔刑(たっけい)に処せられている。原作によると、幼い頃に両親を亡くした七郎と梅吉は、その分大層仲の良い兄弟だったという。


 それだけに七郎は、兄を死に追いやった平蔵を激しく憎んでいた。が、同時に、平蔵の怖さは身にしみている。直接やりあっては、返り討ちにされかねない。そこで、これはと見込んだ浪人の上杉周太郎を使って、平蔵の子息である辰藏の殺害を思い立ったというわけだ。ちなみに辰藏は、第6シリーズ第9スペシャル「迷路」でも、平蔵に復讐を誓う裏世界の顔役に命を狙われている。


 また、第1シリーズ第19話「むかしの男」では、盗賊に雇われた近藤唯四郎という浪人が、平蔵の妻・久栄を、役宅に捕らえられている盗人仲間を破牢させるよう、脅迫している。


 幸い、霧の七郎のたくらみも近藤唯四郎の強請(ゆすり)も失敗に終っているが、火盗改メ長官という職務は、本人だけではなく、身内にとっても大変危険な役目であることがよくわかる。




平蔵を襲う兇刃(きょうじん)の数々


 身内ではなく、平蔵本人に兇刃を向けた不適な輩もいた。その代表例が、第1シリーズ第26話スペシャル「流星」の生駒の仙右衛門と、鹿山の市之助だ。仙右衛門と市之助の2人は平蔵暗殺を共謀して殺し屋を雇う。殺し屋は、火盗改メの同心・小柳安五郎の妻、見廻り中の同心、門番を次々と斬殺し、最後には平蔵本人にも襲いかかった。平蔵と、平蔵を暗殺しようと躍起になる盗賊たちとの攻防は他に、第1シリーズ第9話「兇賊」や、第5シリーズ第1話「土蜘蛛の金五郎」でも観ることができる。


 このように、標的が身内か本人かという違いはあるものの、平蔵への恨みを晴らすための計画が描かれた作品を挙げればきりがない。盗賊たちにとって「鬼の平蔵」は、それだけ目障りな存在だったのだ。




兄の仇を討つため 平蔵を狙う兇盗

霧の七郎役・・・片桐竜次・・・1947年、山口県出身。東映作品の殺陣を担当する東映剣会に所属して映画デビュー。悪役が集まったピラニア軍団の一員として人気を得、時代劇やヤクザ物といったドラマはもちろん、バラエティ番組でも活躍した。もとはアクションシーンを得意とする肉体派悪役であったが、近年では、刑事ドラマの警察側の上役など、さばける役の幅広さを披露している。




原作を読む! 


鬼平犯科帳(4) 第5話「霧の七郎」


平蔵も実力を認めた 

        風変わりな浪人が活躍

 

 ドラマの上杉周太郎は剣の腕はほどほどで、平蔵の評価もあまり高くない。ところが、原作の上杉は平蔵の長男・辰藏が通う道場の当主の兄弟子に当たり、剣の腕前は、平蔵をして「真剣で斬り合ったら五分と五分」と言わしめるほど。

 

 また原作では、久栄の”むかしの男”である近藤勘四郎(ドラマでは唯四郎)を使って久栄を脅した黒幕も、霧の七郎という設定になっている。霧の七郎と平蔵には、浅からぬ因縁があったのだ。


ー鬼平犯科帳 DVDコレクション 41-







 


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40.≪第4シリーズ≫ 第8話 鬼坊主の女

2016年10月07日(金) 17時53分03秒 テーマ:鬼平犯科帳

大盗・鬼坊主清吉は辞世の

  歌の代作を隠し金で依頼するがーーー


 大盗・鬼坊主清吉がついに捕まった。牢名主を気取り、思うままに振る舞う鬼坊主は、処刑の日が近づくと、自分の情婦・お栄に連絡を取る。確かに、自分の辞世(じせい)の歌をつくらせろというのだ。その歌をつくる代金・六百両は、何とお栄の家の床下に隠してあった。ばかにされたと怒ったお栄は、食いつめ浪人に、安く辞世の歌をつくらせ、残った金を独り占めしようとたくらむ。一方、清吉の手下は、お栄を殺して隠し金を奪おうとしていてーーー。



鬼平図解帳 鬼坊主の女


盗賊たちの辞世の歌


 辞世(じせい)とは、死に臨んで遺す詩歌や言葉のこと。本作で鬼坊主清吉が「浅野内匠頭(たくみのかみ)でいきたい」と言ったのは、当時浅野内匠頭の辞世の歌が有名だったからだ。



市中引き廻しで朗々と


 鬼坊主清吉(安永5年〈1776〉~文化2年〈1805〉)は、平蔵とほぼ同時代を生きた実在の兇賊だ。江戸中を蹂躙(じゅうりん)した神出鬼没ぶりが評判となり、のちに歌舞伎や浄瑠璃、落語にまで取り上げられた。」


 「武蔵野に~」の辞世の歌は、「武蔵野(関東平野西武)一帯に名をはせた自分だが、(磔(はりつけ)となる)今日を迎え、少し元気をなくしている」といった意味。これを市中引き廻しの際に、何度となく馬を止め、ふてぶてしく大声で吟(ぎん)じたという。


 清吉の墓がある東京・雑司ヶ谷霊園には、現在も辞世の歌の碑が建立されている。だが、「嵐」は「厚さ」、少し萎れる」は「枝葉しほるる」と記されるなど、原作・ドラマ・歌碑で少しずつ違っている。


 そもそもこの辞世の歌、当時から本人の自作とは信じられていなかったようだ。


 本作で描かれているように清吉が誰かに頼んでつくってもらったか、のちの粋人が戯(たわむ)れに詠んだものではないかと考えられていた。


 盗賊の辞世の歌といえば、何といっても有名なのが、安土桃山時代に出没した石川五右衛門(生年不詳~文禄3年〈1594〉)の「石川や~(左参照)であろう。「盗人」という言葉に、「私服を肥やす腐敗した為政者」と「盗賊」の2つの意味が掛けられた秀作といわれる。



さまざまな盗賊たちの辞世の歌


 歌舞伎『白浪五人男』のモデルになった大盗・日本左衛門(享保4年〈1719〉~延享4年〈1747〉)も、「おし鳥の~(左参照)」ではじまる辞世の歌を残している。「おし鳥」には「押盗り」の意味が掛けられ、「青あみ」は罪人用の唐丸籠にかける青網を指している。


 さらに、鼠小僧次郎吉(寛政9年〈1797〉~天保3年〈1832〉)にも辞世の歌がある。「天が下~(左参照)」だ。


 「古き例」とは石川五右衛門など盗賊界の大物先人たちのこと。「自分も大物盗賊と肩を並べるほどの盗人になった」という意味の歌だ。


 盗賊の辞世の歌には、自分が”並”の盗賊ではないところを見せようとする、強烈な見栄が込められている。



実在の人物の辞世の歌


◆石川や 浜の真砂は 尽きるとも 世に盗人の 種は尽きまじ

[石川五右衛門] 没・1594年


◆おし鳥の 人の思いは かさなりて 身に青あみの 

かかるかなしさ  [日本左衛門] 没・1747年


◆天(あま)が下 古き例(たとえ)は しら浪の 身にぞ鼠と 

現れにけり  [鼠小僧次郎吉] 没・1832年


◆風さそふ 花よりもなほ 我はまた 春の名残を いかにとやせん  [浅野内匠頭長差矩]


◆弓取の 数に入るさの 身となれば おしまさりけり 夏夜月

[明石義太夫]



磔の日も 見栄を捨てきれない 盗賊の頭目
鬼坊主清吉
役・・・ガッツ石松
・・・1949年、栃木県出身。もとボクサーで、WBC世界ライト級チャンピオンシップ載冠者。スポーツ選手引退後、俳優・タレントに転向した草分け的な存在で、「北の国から」(81年)「おしん」(83年)など話題作にも多数出演。S・スピルバーグ監督作品「太陽の帝国」(88年)R・スコット監督作品「ブラック・レイン」(89年)といったハリウッド映画にも出演し、引く手数多の俳優となった。





原作を読む! 


にっぽん怪盗伝 第8話「鬼坊主の女」


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実在の盗賊にまつわる ”噂”に材を取った好短編
 

 原作は「にっぽん怪盗伝」に収められた同名小説。江戸の当時から清吉の辞世の歌は別人の作と噂されていたことに材を取り、お栄という女をつくり出して小説化したもの。清吉ではなく、お栄のしたたかさにスポットライトを当てた、ひねりの効いた好短編だ。

 

 原作では辞世の歌をつくった浪人の名は明らかにされず、孝行娘のおふゆは登場しない。清吉の手下の浪人・高坂左門も登場せず、辞世の歌をつくった浪人が殺されることはない。


ー鬼平犯科帳 DVDコレクション 40-



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40.≪第4シリーズ≫ 第7話 むかしなじみ

2016年09月23日(金) 01時44分22秒 テーマ:鬼平犯科帳

彦十は、むかしなじみへの同情から

     盗めに手を貸そうと決心してーーー


 年甲斐もなく食べ過ぎでお腹を壊した彦十は、心弱くなり、昔の女・おりんを思い出していた。そんな時、偶然にもむかしなじみの盗賊・網虫の久六と再会する。一度は久六のことを平蔵に知らせた彦十だったが、久六が病の息子のために盗みをすると打ち明けたことから同情してしまう。おりんと自分とのことに久六を重ね合わせた彦十は、平蔵に内緒で盗めの手助けをする決心をした。しかし、彦十のことを心配する平蔵は、すでに彦十を見張る手はずを整えていてーーー。




相模の彦十・その幅広い交遊録


顔の広さは密偵随一


 年甲斐もなく飲み過ぎ食べ過ぎで寝込んだり、網虫の久六の身の上話に同情したとはいえ密偵のくせに盗賊稼業を手伝おうとしたり・・・・・。本作を見る限り、お調子者でお人好しの相模の彦十は、密偵としてはいささか頼りない。が、彦十には、大滝の五郎蔵や小房の粂八などの、他の密偵たちに負けない”強み”がある。それが顔の広さだ。


 香具師上がりの無頼者だった彦十は、流ればたらきの盗人として、各地の盗賊一味を渡り歩いた過去をもつ。本作の平蔵の言葉を借りれば、往時の彦十は「脂がのりきっていて、諸国の盗人からひっぱりだこだった」のだ。この時に築いた広大なネットワークが彦十の強み。事実、むかしなじみである網虫の久六に声を掛けられたことから話が始まる本作のように、彦十がかつての盗賊仲間と再会したことが発端となって、盗賊一味の捕縛に至るケースは決して珍しくない。



本格から兇賊までを網羅


 そんな彦十のネットワークは、本格派の盗賊から、兇賊、チンピラ・無頼者までと幅広い。特に、本格派の盗賊との人脈は厚い。これは、彦十自身が、お盗めの際に人を殺めたことがない本格派だったため。彦十と親交の深い本格派には、第2シリーズ第10話「盗賊二筋道」の高萩の捨五郎や同第21話スペシャル「熱海みやげの宝物」の馬蕗の利平治のように、のちに密偵となった者もいる。


 一方、兇賊やチンピラ・無頼者には”本所の銕”こと若き日の平蔵とつるんでいた頃に出会った者たちが多いようだ。第2シリーズ第15話「密告」のお百や第6シリーズ第9話スペシャル「迷路」の猫間の重兵衛はその典型ともいえる。捜査線上に過去に付き合いがあった人間が浮かぶと、平蔵はすぐさま彦十を呼び、自身の記憶を確認している。平蔵とこうしたやりとりができる密偵は、平蔵とかつての人間関係を共有している彦十ただひとりだ。


 いずれにせよ、身分や世代を超えてこれだけ多くの人間と関係を築いてこられたのは、ひとえに彦十の”人徳”だろう。持ち前の愛嬌と人好きのする笑顔で、どんな相手の懐(ふところ)へもすっと入っていく。顔の広さもさることながら、この親しみやすいキャラクターこそが、老密偵・相模の彦十の最大の武器なのかもしれない。



彦十、平蔵、共通のむかしなじみ


 彦十と平蔵の共通の”むかしなじみ”は、他にもいる。例えば、所・深川に茶店「笹や」を構えるお(通称・笹熊)は、若き日の平蔵に酒や一夜の宿を提供した相手。彦十とは、「爺い」「婆あ」と言い合う仲だ。


 第2シリーズ第20話「下段の剣」の松岡重兵衛は、彦十が盗賊だった頃に”江戸一”と評された用心棒。平蔵にとっては、盗みに手を染めようとする自分を止めてくれた恩人でもある。


 第3シリーズ第14話「二つの顔」に登場する夜ぎつねの富造は、彦十いわく「箸にも棒にも引っかからない悪」。平蔵に喧嘩を売ったことがあるという。


 例え盗賊ではなくても、いずれも、ひと癖もふた癖もある人物ばかり。彦十と平蔵の、当時の放蕩三昧(ほうとうざんまい)ぶりがうかがえる顔ぶれだ。



兇賊→栗原の重吉

上方~北陸道で暗躍する盗賊・須(す)の浦(うら)の徳松の手下。

彦十が徳松一味を手伝った際に知り合う。

第4シリーズ第2話「うんぷてんぷ」



チンピラ・無頼者→猫間の重兵衛

裏世界の顔役。平蔵、彦十が出会った当時は木村源太郎を名乗っていた。父親と自分の右腕を切った平蔵を深く恨んでいる。

第6シリーズ第9話スペシャル「迷路」


チンピラ・無頼者→矢野口の甚七

平蔵が本所で暴れていた頃の知り合い。彦十いわく、平蔵に金をせびったり、悪い遊びを教えていたりしたらしい。

第6シリーズ第9話スペシャル「迷路」


チンピラ・無頼者→殿さま小平太

彦十、平蔵の無頼時代の仲間。平蔵が妹のように思っていたお百に乱暴をはたらいたため、平蔵と仲違(たが)いする。

第2シリーズ第15話「密告」


チンピラ・無頼者→お百

彦十、平蔵の知人。彦十が「銕っつぁんからの餞別(せんべつ)」だと言って渡したかんざしを終生大事にしていた。

第2シリーズ第15話「密告」


チンピラ・無頼者→伏屋の紋蔵

”殿さま小平太”とお百の子。紋蔵を見た平蔵は、すぐに彦十に顔を確認させて、紋蔵を密告したのが誰かを看破(かんぱ)する。

第2シリーズ第15話「密告」


本格→蓮沼の市兵衛

お盗(つと)めに短くて3年、長くて6~7年の歳月をかける本格派。「自分とは格が違う」と、彦十も一目置いている。

第4シリーズ第1話「討ち入り市兵衛」


本格→松戸の繁蔵

伝説の老盗賊・蓮沼の市兵衛の右腕。20年ぶりに再会するも、兇賊にやられた繁蔵の死を悼み、彦十は男泣きに泣いた。

第4シリーズ第1話「討ち入り市兵衛」


のちの密偵→馬蕗の利平治

高窓一味の嘗役(なめやく)。彦十が平蔵の熱海湯治に同行した時、17~18年ぶりに再会。彦十とは気心の知れた仲。

第2シリーズ第21話スペシャル「熱海みやげの宝物」


のちの密偵→おまさ

鶴(たずがね)の忠助の娘で、もと盗賊。自ら志願して密偵となり、平蔵にとってもなくてはならない存在となっている。


のちの密偵→高萩の捨五郎

彦十が盗人だった頃の知り合い。身寄りがなく、平蔵のためなら命も惜しくないと思っているなど、彦十との共通点は多い。

第2シリーズ第10話「盗賊二筋道」

第3シリーズ第8話「妙義の團右衛門」


 

 

彦十をだまそうとした かつての盗賊仲間

網虫の久六役・・・草薙幸二郎・・・1929年、東京都出身。大学中退後、劇団民藝などを経て、「夜明け前」(53年)で映画デビュー。今井正監督作品「真昼の暗黒」(56年)の主演で、第1回製作者協会新人賞を受賞。その後、日活アクション映画の個性的な悪役を多く演じ人気を博した。時代劇、現代劇を問わず活躍し、知的なイメージを生かした脇役で存在感を示した。07年、肺炎のため鬼籍に入る。




原作を読む! 


鬼平犯科帳(10) 第5話「むかしなじみ」


平蔵との絆を描く 彦十ファン必読の作品
 

 密偵・相模の彦十の”女性関係”が明かされる。ファン必読の一篇。かつて、女房を他の男に”売った”ことがある彦十は、同じような経験をした網虫の久六に同情を禁じ得ない。そのためずるずると久六の盗みを手伝うことに・・・・・。

 

 もちろん、それに気付かぬ平蔵ではない。おまさ、五郎蔵、「五鉄」の主人・三次郎とともに、何としても悪友・彦十を守ろうとする。ドラマは、そんな彦十を大切に思う平蔵の気持ちからストーリーまでを、ほぼ忠実に再現している。


ー鬼平犯科帳 DVDコレクション 40-











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39.≪第4シリーズ≫ 第6話 俄か雨

2016年08月05日(金) 17時44分24秒 テーマ:鬼平犯科帳

情けない同心・細川峯太郎。

    結婚して一時は落ち着いたがーーー


 市中見廻りの途中、雷雨い見舞われた平蔵は、雨宿りのため廃屋に飛び込んだが、そこで、同心・細川峯太郎と女の密会を目撃する。細川はその時、外出先から戻って来た手配中の浪人に気絶させられるという失態を演じた。そのふがいなさを平蔵は叱り、とある同心の娘との縁組を取りもつ。一時は落ち着いたかに見えた細川だが、そのうちに密会を重ねていた女・お長(ちょう)への浮気心がわき、お長のいる茶屋のある目黒に、再び足を向けてしまう。



鬼平図解帳 俄か雨(にわかあめ)

江戸の生活に浸透していた算盤


算術の得意な勘定方同心


 本作の主人公・細川峯太郎は、火付盗賊改方の同心。物語の前半では木村忠吾や沢田小平次のような探索方ではなく、内勤の勘定方(勝手方ともいう)。現代の会社でいえば経理に担当し、会計・出納(すいとう)を担当する。


 細川の父もやはり勘定方をしており、息子である峯太郎に算術を仕込んだ。父亡きあと、お役目を引き継いだ彼は、火盗改メの勘定方をたった1人でやってのけ、ただの一度も間違いをしたことがない(原作より)。


 算術の得意な細川が、お長(ちょう)に対して身分を偽るに当たって、読み書き算盤(そろばん)を教える「寺子屋の先生」を選んだのは、自然なことと言えよう。


 寺子屋とは個人経営の学校のことで、江戸では手習(てならい)指南所などとも呼ばれた。当時、武家でない子供が通う公的な教育機関は存在しなかったが、商家の子供などが将来、大店で出世しようと思ったら、基本的な読み書き、計算ぐらいはできなければならない。寺子屋の需要は全国的に見ても大変高く、江戸だけでも1000軒を超える寺子屋があったと記録されている。



算盤は都市生活の必需品


 寛永4年(1627)、日本独自の数学である和算学者・吉田光由(1598~1673)が書いた数学書『塵劫記(じんこうき)』が、ベストセラーとなった。基本的な加減乗除をはじめ、日常生活に必要な算術を楽しくわかりやすく解説したもので、この本の普及に伴い急速に広まった算盤は、早速寺子屋の授業にも取り入れられた。地方の寺子屋では、読み書きだけしか教えないところが多かったが、商売人の多い江戸や大坂などの大都市では、算盤教育が非常に重視された。


 百年程前まで、算盤は下に5つ、上に2つの珠がある形だった。東海道五十三次の最後の宿場である大津(現・滋賀県大津市)が、算盤の産地として全国的に名を馳せていた。


 算盤自体の歴史は古く、その起源はメソポタミア文明にまでさかのぼる。中国で発明された算盤が日本に伝わったのは室町時代末期頃。それが江戸時代になって急速に庶民の間に広まった背景には、先に述べた『塵劫記』の影響や商家での需要だけではなく、金本位制と銀本位制、十進法と四進法が入り交じった複雑な通貨制度があった(本紙25号「春の淡雪」参照)。そのため、火盗改メの財布を預かる細川の仕事は、忠吾が言うほど気楽なものではなかっただろう。細川が頭のいい男であることは間違いないと思われるのだが・・・・・。


 いかんせん、算術の道と色恋の道はまったく別のものである。計算通りにはいかない、といったところなのかもしれない。




荒物屋の女房を誘惑し 捕縛された色男の盗賊

鳥羽の彦蔵役・・・柴田てる彦・・・1943年、東京都出身。俳優座養成所(15期)を経て、主にテレビドラマを中心に活動。数々の作品で悪役を演じた名脇役である。また、声優としても知られており、海外ドラマ「大草原の小さな家」(75年)の父親チャールズ役や、宮崎アニメの劇場版「名探偵ホームズ」(84年)のホームズ役でも強い印象を残した。現在は時代劇の舞台公演などでも活躍している。






原作を読む! 


鬼平犯科帳(18) 第1話「俄か雨」 

                第6話「草雲雀」


木村忠吾のライバル 

      同心・細川峯太郎が初手柄

 

 原作では妻女を迎え、すっかり大人になった木村忠吾と入れ替わるように登場する細川峯太郎。気が弱く女好きという忠吾のよく似た性格の持ち主で、平蔵にも目をかけられて、原作シリーズ後半において欠かせぬ存在になっていく。

 

 ドラマの脚本は細川が初登場する「俄か雨」と、その後日談である「草雲雀」とを合体させたもの。盗賊に女房を寝取られる亭主も実は盗賊だったという設定を割愛した一方で、お長の人物像には、原作以上の深みをもたせている。


ー鬼平犯科帳 DVDコレクション 39-


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