2005-12-03 18:37:18

「童夢」 大友克洋

テーマ:漫画

日本漫画史における記念碑的な作品。70年代、少女漫画というカテゴリーでは早々と手塚治虫の呪縛から逃れた作品が次々と発表されてたが、少年誌で完全に抜けたのがこれ。もちろん、他にも様々な作品があったし、それなりの路線があったけれど、この漫画の突き抜け方は当時、尋常ではなかった。


この作品、日本SF大賞と星雲賞(コミック部門)を受賞。特に日本SF大賞をとったときは話題になった。海外で言えば「ヒューゴー賞」と「ネビュラ賞」を同時に受賞する「ダブル・クラウン」みたいなものだ。


「童夢」(83年)を読んだのは、実は最初立ち読みだった。覚えてる。いつも行ってた隣町の本屋で、半分壁にもたれながらむさぼりつくようにページをめくった。当然、ひきこまれたのは描写。誰もがあの団地の壁にめりこんでいく絵に驚いた。


その後しばらくしてから「童夢」を買って、それから順に他の作品も買った。たぶん、家にあるのはこんなところ。


「ショート・ピース」(79年)
「ハイウェイ・スター」(79年)
「さよならにっぽん」(81年)
「気分はもう戦争」(82年)
「童夢」(83年)
「AKIRA」(全6巻、84年~93年)
「彼女の想いで…」(90年)


「AKIRA」は映画も観たよ。もちろん映画館で。これ、原作の連載中に公開された。だから原作と映画ではストーリーどころか、最も重要な部分のキャラクター設定が異なってる。


「AKIRA」は「童夢」の延長上にある作品。その規模も、絵の作り込み方も「AKIRA」の方がひとつ上。場所が団地と近未来都市では違いすぎて当たり前なんだけどね。でも、影響を受けたという点では個人的には「童夢」の方が上。


それと、


物語の締めくくり方が「童夢」の方がいい。最後の1ページで物語がある一点に収束していく感じがする。「AKIRA」は連載中から結末がどうなるんだろうって思ってたせいもあるけれど、どうもあの終わり方は気に入らない。あれだけ破壊していて、未来を建設的な方向にするのはなんか今までのベクトルと食い違ってるようで、ラストに至る数ページで物語の矢印が放散してるように感じる。


だから「童夢」。


大友 克洋
童夢


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といいつつ。映画の「AKIRA」に出てくる金田がのってるバイク。かっこいい。で、これ、今実際につくってる。完動品として開発中らしい。2019年には完成するのかな・・・・。赤い革ジャンだけでも欲しいな。
http://www.neo-fukuoka.com/
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大友克洋。研究本。ユリイカの臨時増刊号「総特集 大友克洋」(88年)。もちろん持ってる。


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2005-11-23 20:38:05

「絶対安全剃刀」「おともだち」 高野文子

テーマ:漫画

この2つは同点。同率一位。


はじまりはこの記事 にも出てきた「別冊奇想天外 No.9 SFマンガ大全集 Part4」に載せられていた「方南町経由新宿駅西口京王百貨店前行」。


それからしばらくして「絶対安全剃刀」(82年)を買った。いちばん好きなのは最後の「玄関」。作品に流れるやわらかな時間がとても心地よい。「田辺のつる」あたりが評価としては高いのだろうけどね。


完成度という点では「おともだち」の方が上。手に入れようと思ったときにはすでに絶版(綺譚社)でいろいろな古本屋にもなかった。だから手元にあるのは筑摩書房の方。箱入りの単行本サイズでまるで一昔前の本のようだ。特に「春ノ波止場デウマレタ鳥ハ」の世界なんて美しすぎて、言葉が出てこない。


あくせくした毎日を送ってたりして、ふと、こういう本を読んだり、こういう本のことを思い出したりすると、ときどき自分の価値観なんてちっぽけなものだなって改めて思ってしまう。その場所、その場所にはそれぞれの一見強固にみえる規範があって、その場所に自分がいるときにはそんな疑問なんてムダなことだし、考えないようにはつとめてるけど、たまにはこうやってN(ニュートラル)に戻すことも必要だなと感じる。埋没したままだと身体に悪いからね。身体の虫干しみたいなものかな。生活していくためには今の場所から完全に逸脱することなんてできないもん。


この記事、もう少し前に・・・と思ってたのだけど、どこを探しても「絶対安全剃刀」がない。他の本はぜんぶあるのに。たしか一回買って、誰かに貸してそのままで、もう一度、大阪の小さな古本屋で手に入れた記憶があるのだけど、どこにもない。もしかして、貸したきり、そのままなのかな・・・。


高野 文子
絶対安全剃刀―高野文子作品集
高野 文子
おともだち

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高野文子。この業界では有名な寡作家。研究本としてはユリイカ「特集高野文子」(2002年7月号)。大友克洋との対談があって、なかなか峻烈なコメントで、作品からみると意外な一面がうかがえる。まだ、バックナンバーが購入できると思う。

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2005-11-15 16:14:55

「日出処の天子」 山岸凉子

テーマ:漫画

信仰の告白。


そんな大げさな話じゃないけど。。。


実は二十歳頃からの夢がある。ひとつはバリ島に住むこと。場所はウブドゥの外れか、もしくは空港のあるデンパサールから見ると島の真反対側にあるビーチ。あともうひとつが夢殿を建てること。法隆寺にあるやつを模してね。八角形の院を建てて瞑想(凡人にとってはただ、ぼうっとすることかもしれないけれど・・・)するプライベートな空間をつくる。


まるで夢には遠くて「はじめの第一歩」すら出来てないのが現状だけど、決してあきらめたわけではないし、いつかは・・・と思ってる。誰も本気にしてくれないのが哀しいけどね。


京都という土地に生まれてからずっとしがみついてるせいか、祖母がお寺に住んでいたせいか、寺院という場所はとても心落ち着く場所だ。幼い頃の懐かしさをともなってね。たしかに夕暮れ時の延暦寺なんかは宗教的な空間を感じる。そういう崇高な匂いも嫌いではないけれど、あれは今いる場所ではない異世界って感じに思えるんだな。それよりも本堂に漂う線香の匂いや中庭の木々にとまる小鳥のさえずりや卒塔婆に文字を書く墨の匂い。そんなものの方が気持ちがやわらぐ。


「日出処の天子」。聖徳太子(厩戸皇子)が主人公のこのマンガを読んだのはちょうどこの連載(80年~84年)が終わった直後ぐらいかな。まとめて一気に読んだ。奇跡のような作品だと思う。このマンガ読んでなかったら、もちろん夢殿なんかに憧れなかった。


ライステラスの見える場所に夢殿。中にはバリでつくったソファとかベッドの調度品。救世観音も置いたりして。


いいと思うんだけどな・・・。


完全な自己満足。

夢なんてそんなもの?


「日出処の天子」の画像、アマゾンにないや。今なら白泉社文庫が出てる。でも、これまた文庫だから小さいんだよね。


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山岸凉子。他の作品。すべてがOKというわけではない。もちろん個人の主観としてね。
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「汐の声」。これ、絶品。もし日本恐怖漫画傑作集なんてアンソロジーが出されて、これが入ってなかったら絶対バツ。もう絶対バツ。例えば、これの漫画版。

紀田 順一郎, 東 雅夫
日本怪奇小説傑作集1

ちなみに「汐の声」が入ってるのは「わたしの人形は良い人形」(文春文庫)あたりが手に入りやすい。 これも画像なし。ふむ・・・。

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恐怖漫画傑作集。今度、考えてみようかな。もし自分が編集したら・・・。
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「化野の・・」。不思議な感じの作品。化野は京都の地名に実在する。有名なのは化野念仏寺。
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京都といえば山岸凉子のお話で比叡山でのタイムスリップした実体験がある。同じ体験はないが亡くなった曾祖母が東山で狐に化かされて同じ道をぐるぐる回ったことがあると言っていた

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聖徳太子。不思議な人だ。だって、人かどうかも謎なんだもんな。何冊か聖徳太子に関する本は読んだけどそのなかで読みやすかったの聖徳太子本はこれ。

藤巻 一保
厩戸皇子読本
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2005-11-12 22:31:07

「4/4カトルカース」 萩尾望都

テーマ:漫画

地味かな?


ふつう萩尾望都を選ぶなら「ポーの一族」「トーマの心臓」「11人いる!」「スター・レッド」「メッシュ」「残酷な神が支配する」・・・・他にもいくらでもある。そのなかでこれを選ぶのは。


基本的に萩尾望都の作品はSF系の方が好きなので、「トーマの心臓」「メッシュ」「残酷な神が支配する」などよりは「銀の三角」「スター・レッド」「マージナル」や一連のブラッドベリ物の方が印象に残ってる。


「4/4カトルカース」。50ページほどの短編。主人公モリは続編のような「X+Y」にも出てくるけどね。ネタは超能力と一角獣種。この作品が心に残るのはきっと一角獣種の女の子トリルの存在。こういう設定は急所をつく。もう急所のど真ん中。


「4/4カトルカース」。家に2冊ある。萩尾望都作品集(第二期)の第17巻「A-A’」に収録されているもの。これは巻頭がカラー。手元のは86年発行になってるけど、実際は古本屋で手に入れたのでおそらくそれよりは4、5年は後に買ったと思う。もう1冊は小学館文庫から03年に出た「A-A’」。萩尾望都の文庫版はすべて買ってるが、やはりここは前者の方がぜったにいい。文庫はどうしても全体が小さくなっているせいか線が繊細に見え過ぎな感があって。


長編はもちろんのことだけど、比較的短いものでも「半神」や「訪問者」なんかは「う~ん・・・」と唸らせる作品もいっぱいあるもんな。


まあ、よく考えてみれば1冊だけ選ぶのがムリなんだよね。この御方の場合。

萩尾 望都
A-A’―SF傑作選
※萩尾望都作品集も小学館文庫も画像がないので別のやつで仕方なく。ちなみにこれは持ってない。

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萩尾望都のファンサイト。ここまでくるとすごい。「少女漫画ラボラトリー【図書の家】」。その名称は正しいと思う。LABORATORY。ちょっと前に順番に読んでいって・・・・断念した。記事もすごく面白いし。
http://www.linkclub.or.jp/~pulse/tosho/
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その昔、萩尾望都が審査員というだけでここに応募したことがある。ミーハーだな。
http://www.prism-net.jp/prism_site/yuki_site/yuki_home/yuki_home.htm
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2005-07-28 20:22:18

「エコエコアザラク」 古賀新一

テーマ:漫画

西洋系の魔術の世界を知ったのはこれ。黒魔術、白魔術、魔術につかう道具類、魔法円、黒ミサ・・・。たぶん初めては別の本だったと思うけど、より身近な存在としての魔術を知ったのはぜったいこれだ。


連載は75年から79年ぐらいなのかな。少年チャンピオン。もちろん当時は毎週購入ってこともなくコミックスで読んでいた。その後、サスペリアで「エコエコアザラクⅡ」を連載していたようだけど、これは追っかけてなかった。やっぱり好きなのは初期のやつ。やたらめったら人が死んでいく初期の最初の方。


黒井ミサ。


この漫画の魅力はこの主人公に尽きる。15歳の中学生にしてはませすぎだし、転校や引っ越しは多いし、いろいろなアルバイトはしてるし、スタイルはいいし・・・2次元憧れの人1号かもしれない。サービスショットには結構ドキドキした。


それに端役の表情や、細かな小道具類がさりげなく怖いんだよね。印象に残ってる話は、3つ目、トランクの赤ちゃん、悪魔のマーク、パンダの毛皮、あたりかな。


悪魔と契約。なかなか魅力的。響きとしてはね。たとえば人生の残りが少ないってことを知らされて、どうするって言われたら、考えてしまうな悪魔との契約。命と引き替えに何を手に入れる・・・ダメだな、物欲がうすくて思いつかないや。世界でも壊してもらおうかな、せっかくだし。


エコエコアザラク エコエコザメラク


古賀 新一
エコエコアザラク (1)

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黒魔術といえば「ミスター・クロウリー(死の番人)」。オジーというよりやっぱりランディ・ローズ。ちなみにアレイスター・クロウリーは「ムーン・チャイルド」(創元推理文庫)だけ読んだことがある。
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週刊少年チャンピオン。当時、絶好調の時代。77年前後かな。連載しているメンツは強烈だった。「ブラックジャック」「ナナハン・ライダー」「ガキデカ」「マカロニほうれん荘」「ドカベン」など。ただ、印象に残ってるのは時代的にはもう少し後の「気分はグルービー」(佐藤宏之)。秋田書店様、文庫化をお願いします。
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♪ Feelin' Groovy
Simon & Garfunkelではこれが好き。ローズの音がたまらない。

Simon & Garfunkel

Concert in Central Park

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「気分はグルービー」に影響を受けてると思われる現在、連載中の漫画といえばこれ。ギターはこの表紙よりも1PUのSGの方が好み。表紙になってるのは18巻かな。かっこいい。これも「コユキモデル」とかで発売されるのかな。

ハロルド作石

BECK 23 (23)

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