2005-12-02 15:42:17

「戦場のメリークリスマス」 大島渚

テーマ:映画

すごいキャストだ。いまみても。デビッド・ボウィ、坂本龍一、ビートたけしなど。


はじめて観たのは高校生。目当てはデビッド・ボウィがメインだったのだけど、本編が終わってスタッフロールが流れるとき、もう頭からあのメロディが離れなくて、客電がついてからも寒気のようなぞくぞくとした鳥肌がたってた。


あの感動というか、琴線の揺さぶりは、何だったのだろう?


この映画のことを説明するのはすごく難しい。言葉で説明してしまうと、相手に何かものすごく大切なことが伝わってないような気がして仕方がない。いつも、そうだった。他の映画なら、あそこの科白がかっこよくて、とか、オープニングの映像が素晴らしくて、とか、あの女優さんがものすごく魅力的で、とか、何らかの形容詞やら副詞やらで説明できるんだけど、これはダメ。たぶん、それが映画と呼ばれるものなんだろうと思ってる。出演する俳優のキャストから、大道具小道具にいたる映像、照明、演出、音楽、編集・・・。すべてが有機的にまじわってひとつのスクリーンに映し出される。どれひとつ欠けても、どれひとつ監督の意図する方向でなければ、その違和感が映画館にすわる観客に伝わってしまう。


当たり前だけど、強烈な個性がぶつかりあった結果でおもしろいものができあがることもある。ただ、映画というものが最終的に監督のものであるという理想からいえば、優秀な監督がその美意識のもとにすべてを組み立てたときの味わいは、たまらなく芳醇な匂いを醸し出すはずだ。もちろん、個人の好き嫌いは別の次元の話。


それじゃ、この映画を誰にでも勧めていいかっていうと微妙なところだと思う。


あの頃、そう83年。大島渚はATGから、「愛のコリーダ」(76年)でなにかと世間を騒がして頃。ボウィはベルリン三部作から「Scary Monsters」を経て「Let's Dance」を出した頃。ビートたけしはまだ北野武ではなく「オレたちひょうきん族」でタケちゃんマンをやってた頃。坂本龍一は世界の・・・なんて冠はなく、前年に清志郎と「い・け・な・いルージュマジック」で化粧して、その後YMO散開の頃。この雰囲気が味わえるのはたぶん83年だったからなんだと思う。今、これを観ても(今の世代がね)、このニュアンスは伝わりにくい。


そう、


いちばん好きなシーンはセリアズ(デビッド・ボウィ)の回想シーン。弟が新入生の儀式から救うことが出来ず自責の念にとらわれてしまうってとこ。弟の歌(「Ride, Ride, Ride」だったっけ?)が映像に緊張感を与えてるとは思うのだけど。なぜか印象に残るのはセリアズが壁に片足を曲げてもたれかかってるシーン。よく分からないのだけど、すごく残ってるんだ。それほど印象的なシーンではないと思うのだけど。


ポニーキャニオン
戦場のメリークリスマス


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サントラ。これだけは日本版のジャケットの方がいい。高いけど。

坂本龍一
戦場のメリー・クリスマス


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ピアノだけのバージョンもなかなか。ストイックな弾き方がなんとも。

坂本龍一
Coda


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あの、いわゆる「戦メリ」のテーマを元にした「Forbidden Colours」を同じ年(83年)にデヴィッド・シルヴィアンと共作で出してる。シングルも出てる。たしか英国のチャートで結構上の方までいったような記憶があるんだけど。アルバム(デヴィッド・シルヴィアン名義)に収録されてるのはこれ。最後の曲。

David Sylvian
Secrets of the Beehive


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このふたり他には「Bamboo Music」とか。03年にはひさしぶりに「World Citizen -I won't be disappointed-」とかでもやってる。でも、教授のアルバム(「CHASM」)では少し浮いてるような気がして・・・。
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戦メリの音。使われてるシンセはSequential Circuit 社のProphet5。使いまくってるらしい。で、最近これのソフト版が出てる。Native Instrumental 社が出してるソフトシンセ。ほしい。。。。
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Prophet5。当時、他の人で使っていたのは日本で言えば・・・オフコースあたり。例えば「Yes-No」のイントロとか。

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「戦場のメリークリスマス」。原作はヴァン・デル・ポストの「影の獄にて」。 内容は「影
の獄にて」「影なき牢格子」「種子と蒔く者」という三部作。「種子と蒔く者」の原題は「The Seed and the Sower」。与える者、与えられる者・・・それよりずっと深い感じがする。手持ちは「戦場のメリークリスマス 影の獄にて 映画版」(新思索社)。絶版。

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2005-11-30 15:41:12

「さびしんぼう」 大林宣彦

テーマ:映画

日本の映画監督で唯一、追いかけていたのが大林宣彦。映画館で観たくなるっていう意味でね。そのなかで一番好きなのは「さびしんぼう」。このノスタルジー&センチメンタルな匂いは嫌いじゃない。


はじめて大林監督の映画を観たのは「ハウス/HOUSE」。たぶん土曜日の昼間とかで、テレビで観た。確か上映時の宣伝ではホラー映画っぽい印象だったのだけど、中身はここまでバカなことするか・・・と羨ましくもなるB級映画(褒め言葉)。


たぶん映画館で観たのはこれだけ。このあたりは記憶が定かでないので自信がないけど。最低これだけは大画面で観たと思う。あとはテレビやレンタルで。


「転校生」(82年)
「さびしんぼう」(85年)
「日本殉情伝おかしなふたり」(86年)
「異人たちとの夏」(88年)
「青春デンデケデケデケ」(92年)


男の子映画。大林監督の映画は明らかにそう。「さびしんぼう」なんかがその典型。男ではなく男の子ね。ピーターよりは少しばかり年齢が上で、でもピュアな気持ちに充ち満ちた感じ。それを前面に押したのが男の子映画。


ただ、この映画、惜しむらくは最後の引き際がもうひとつだと思ってる。悪くないけど今ひとつ物足りない。ラストに至るクライマックスでの雨のシーンなんかは最高にいいんだけどな。たぶん、これは「転校生」との比較としての評価だと思う。「転校生」のラストシーンは日本映画のなかでも絶品だと思ってるから。


大林監督の映画を観て、映画館の外に出る。両手でふたをする。誰にも見られないように、壊れないように。外気に触れるとすぐにでも壊れそうなんだよね。両手でつつんだものが。中に入ってるものが何かはよく分からないけど、大切なもの。そんな気分にさせてくれるんだ。


東宝
さびしんぼう

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ベストを3本。となると「さびしんぼう」「転校生」「異人たちとの夏」。
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尾美としのり。大林監督作品では重要な役回り。この存在感は日本映画では希有。
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「ハウス/HOUSE」。Nはこれを映画館で観てる。音楽担当がGODIEGOだったからだ。当時、GODIEGOの追っかけをしていた。
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富田靖子。うまいと思う。「さびしんぼう」での演技はとてもいい。このあとの「BU・SU」(市川準)の演技も好きだな。
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市川準。初監督作品の「BU・SU」から「つぐみ」までの4本はしっかりと観た。理由はこのうちの3つの音楽が板倉文だったから。
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板倉文はチャクラのメンバー。ちなみに「つぐみ」の主題歌は小川美潮。「おかしな午後」。小川美潮さん、「ノーライフキング」では出演までしてる。で、家にはこんなサントラがあったりする。

アニプレックス
老人Z HDマスター版
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2005-11-27 15:22:03

「VIDEODROME」 David Cronenberg

テーマ:映画

クローネンバーグの映像、ものすごく好み。で、はじめて観たのがこれ。「ヴィデオドローム」(82年)。他にもいろいろとあるけれど好みの路線としては「スキャナーズ」(81年)、「戦慄の絆」(88年)、「裸のランチ」(91年)、「クラッシュ」(96年)、このあたり。何が好きって、世界観みたいなものもあるけれど、それ以上に小物にこだわるところ。たとえば「戦慄の絆」の真っ赤な手術着と奇妙な形の医療器具、「裸のランチ」のタイプライター、「クラッシュ」にいたっては全編がフェチに満たされてる。それほど自分がヘンな趣味があるとは思えないけれど、このあたりの映像にはなにやら普段はあらわれない自分のなかの琴線がものすごく刺激される。


気分が悪くなる。不快感。頭が痛くなる。信じられない。・・・・。意味わかんない。


そんな感想が妥当なところだと思う。実際「戦慄の絆」や「裸のランチ」を映画館でみたときも一緒に観たNはほとんど絶句に近かったように記憶してる。一般的にはそれが「ふつう」なんだろう。でも個人的にはすごく気持ちいいんだよね。現実のすぐ隣にある異様な空間というか、ふつうと思われる日常からほんの少しの非日常に変容していく様が。頭のなかが「んにょ」とか「ぷにょ」って感じでぬめぬめと軟らかくなっていく感覚が嫌いじゃないんだよね。


もちろん、同じような作品でも(映画に限らず)不愉快になるものもある。どちらかというと全体的にはそちらの方が多い。つくった人(自分のではなく)の美意識が貫かれていない作品に出会うといつもそう思うし、そういう作品をみてしまうと、どういうわけか少し哀しくなる。


キミが思う現実は、ホントに現実なの?


映画館からでたとき、外の風景が以前とはちがうような感じ。そういう感覚がなければ、意味がないような気がして。すべてがそんなふうにうまくはいかないし、それぞれの感覚は同じではないけれどね。もちろん、それは映画に限らないこと。




ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
ビデオ・ドローム
キングレコード
戦慄の絆
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
クラッシュ


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ジェレミー・アイアンズ。「戦慄の絆」での存在感がたまらなくいい。「Mバタフライ」は作品じたいがちょっとダメだったけど。「フランス軍中尉の女」「KAFKA」「ロリータ」など。
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「裸のランチ」。ウィリアム・バロウズ。ぶっとんでる。生涯も作品も。カットアップ。この手法はたしかに魅力的だ。言葉の、文章の、カット&ペースト。シュルレアリスムの自動記述よりはずっと面白い。
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「クラッシュ」。J・G・バラード。やっぱり今度読んでみることにしよう。興味惹きそうなのに読んでない作家リストのトップ。どれからにしようかな・・・。
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哀しくなる。あまりに不愉快で、なぜそんなものをつくったのかと哀れに思えてくるんだ。ホント、いっぱいあるよ。いっぱい。
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苦手な映画。上記の意味ではなく単純に苦手な分野。戦争、アクション、など。暴力系はダメ。これって現実そのものでしょ。それに痛いのイヤなんだ。小さな頃、注射ぎらいだったし。

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2005-11-11 16:14:23

「時計じかけのオレンジ」 Stanley Kubrick

テーマ:映画
2005-11-09 18:49:13

「未来世紀ブラジル」 Terry Gilliam

テーマ:映画

その昔、大阪毎日ホールの地下に映画館があった。大毎地下劇場。大阪の堂島にあった。2、3本立てを学生なら格安の値段で観られた。おそらく、本数でいうと一番観たのはこの映画館だと思う。


「未来世紀ブラジル」(85年)を観たのもそこ。たしか「時計仕掛けのオレンジ」との2本立てだったように記憶してる。濃い組み合わせだな。


テリー・ギリアムは言わずとしれたモンティ・パイソンのひとり。TV版の「空飛ぶモンティ・パイソン」なんかも今ではDVDで観れる。モンティ・パイソンの映画としては次の通り。


「モンティ・パイソン・アンド・ナウ」(71年)
「モンティ・パイソン ホーリー・グレイル」(75年)
「ライフ・オブ・ブライアン」(79年)
「モンティ・パイソン 人生狂騒曲」(83年)


最近DVD化された「モンティ・パイソン・アンド・ナウ」は観てないが、あとはまだDVDなんて規格がない頃にビデオで観た。この3つについてはどれも捨てがたいが、あえて1つを挙げるなら最後の「モンティ・パイソン 人生狂騒曲」。THE MEANING OF LIFEね。ミュージカル仕立てのやつがやたらと頭にこびりつく。それにやっぱりこの3つのなかでは最もテリー・ギリアム臭が濃くて。


モンティ・パイソン以外のテリー・ギリアム作品はこんな感じ。


「バンデットQ」(81年)
「未来世紀ブラジル」(85年)
「バロン」(87年)
「フィッシャー・キング」(91年)
「12モンキーズ」(95年)
「ラスベガスをやっつけろ」(98年)
「ブラザーズ・グリム」(05年)


惹かれるのは「こだわり」の部分かな。「未来世紀ブラジル」での不思議な空間をつくりあげた美術セットをはじめとして、すべての映画に流れているのは「こだわり」。このあたりの映像美についてはティムバートンにも似た感覚がある。ただ、ティムバートンの場合はアメリカのおたくって感じだけど、テリー・ギリアムはそれに英国のひねくれた様式美みたいなものを加えたように感じる。実はモンティ・パイソンで唯一のアメリカ人らしいのだけどね。明るくない笑い。そんなモンティ・パイソンのエッセンスが染みついてるのかな。


「未来世紀ブラジル」の出演者でかっこいいのはテロリスト&修理工役のロバート・デ・ニーロ。数少ない出番だけれど、しっかりと美味しいところをいただいている。


あとは、ジョナサン・プライス。「エビータ」でのベロン役が渋いジョナサン・プライス。最新作でも出てるみたいだし、結構お気に入りなんだろうな。 「ブラザーズ・グリム」はぜひ観てみたい。


あっ、

思い出した。この映画を観たとき、休憩時間にトイレに行っていて最初の方のシーンを見逃したんだ。そう、最初の名前を取り間違えることになったとりあえずハエのシーン。思い出した、思い出した。映画館のなかやトイレの場所、売店、そして匂いまで、思い出してきた。


とりあえず、

大毎地下劇場。すべてを過去形でしか語れないことが寂しいよ。


ジェネオン エンタテインメント
未来世紀ブラジル スペシャルエディション


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原題は「Brazil」。内容とはまったく関係ない。音楽からとられてる。以前の記事 にもでてきたザビア・クガートの「Brazil」から。


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