下北沢の夜
2009-08-31 19:46:18
テーマ:プラスマイナスゼロ
別居を始めて約半年、妻の指定してきた待ち合わせ場所は下北沢
自宅から歩いて至近距離だ。
話が終われば久しぶりに家に帰ろう
そう思いながら待ち合わせ場所に向かった。
年上の女房であったが、会うと少々老けたようにも感じた。
よく見ると多少白髪が混じっている。
「ああ、これ染めるのやめたんだ」って彼女は笑っているが
どうにも突っ込めず、聞き流した。
弁護士としての仕事は順調のようだ、英文の資料がバッグから覗いている。
「で、あなたはどうしてるの?」
「何とか仕事を見つけて再出発をしてる」
「あなたがそれで良いなら、それも良いじゃない」
って喜ぶわけでもなく、褒めるわけでもなく、まあ想定の範囲内のジャブ程度の挨拶だ。
仕事では極力結論が先に来る話方に終始する俺も
迷惑をかけていることを自認する妻の前では、そのように振舞えず
やり直しを提案するはずなのに、微妙な妻の雰囲気から思わず黙りこくってしまった。
焼酎が好きな俺は、二人でよく行った居酒屋で焼酎を呑み
「この焼酎おいしいね」
などと、つまらない、本題と程遠い話を切り出した。
後でわかったことだが、この切り出し方に妻は幻滅したそうだ。
本題から入らない俺に、昔仮にも惚れた男の面影が見えなかったそうだ。
そうとも知らない俺は、焼酎の香りがどうだとか、軟骨の歯応えがどうだとか
馬鹿な世間話を延々と並べて、ただ久しぶりに妻と過ごす時間を楽しむだけの
惨めな負け犬だったのかもしれない。
別居して久しく、会ってもどう自分の思いをぶつけて良いかわからない
それが本音だった。
妻がニコニコして聞いてくれているのでマズイと思いながらも流れに身を任せてしまった。
「で、お前はなんか話でもあったんじゃない?」
ますます馬鹿な俺は自分のことを棚に上げて妻に話を促した。
「今日のところは、いい」
「話はまた今度、明日も早いからもう帰る」
数時間たって、妻は席を立った。
妻の気性からやってはいけない振る舞いをしていることに気づきながらも
とりあえず今日は帰りたい気分に俺もなっていたため、その日は素直に別れた。
まあ別居を元に戻すにはそれなりに時間もかかるさ
そう自分に言い聞かせ、家に着いたら緊張から疲れて眠り込んだ。
決定打を与えているとも知らずに、その後非常な宣告が待っていようとも思わずにだ。
自宅から歩いて至近距離だ。
話が終われば久しぶりに家に帰ろう
そう思いながら待ち合わせ場所に向かった。
年上の女房であったが、会うと少々老けたようにも感じた。
よく見ると多少白髪が混じっている。
「ああ、これ染めるのやめたんだ」って彼女は笑っているが
どうにも突っ込めず、聞き流した。
弁護士としての仕事は順調のようだ、英文の資料がバッグから覗いている。
「で、あなたはどうしてるの?」
「何とか仕事を見つけて再出発をしてる」
「あなたがそれで良いなら、それも良いじゃない」
って喜ぶわけでもなく、褒めるわけでもなく、まあ想定の範囲内のジャブ程度の挨拶だ。
仕事では極力結論が先に来る話方に終始する俺も
迷惑をかけていることを自認する妻の前では、そのように振舞えず
やり直しを提案するはずなのに、微妙な妻の雰囲気から思わず黙りこくってしまった。
焼酎が好きな俺は、二人でよく行った居酒屋で焼酎を呑み
「この焼酎おいしいね」
などと、つまらない、本題と程遠い話を切り出した。
後でわかったことだが、この切り出し方に妻は幻滅したそうだ。
本題から入らない俺に、昔仮にも惚れた男の面影が見えなかったそうだ。
そうとも知らない俺は、焼酎の香りがどうだとか、軟骨の歯応えがどうだとか
馬鹿な世間話を延々と並べて、ただ久しぶりに妻と過ごす時間を楽しむだけの
惨めな負け犬だったのかもしれない。
別居して久しく、会ってもどう自分の思いをぶつけて良いかわからない
それが本音だった。
妻がニコニコして聞いてくれているのでマズイと思いながらも流れに身を任せてしまった。
「で、お前はなんか話でもあったんじゃない?」
ますます馬鹿な俺は自分のことを棚に上げて妻に話を促した。
「今日のところは、いい」
「話はまた今度、明日も早いからもう帰る」
数時間たって、妻は席を立った。
妻の気性からやってはいけない振る舞いをしていることに気づきながらも
とりあえず今日は帰りたい気分に俺もなっていたため、その日は素直に別れた。
まあ別居を元に戻すにはそれなりに時間もかかるさ
そう自分に言い聞かせ、家に着いたら緊張から疲れて眠り込んだ。
決定打を与えているとも知らずに、その後非常な宣告が待っていようとも思わずにだ。




