2010-02-01 21:59:47
posted by yonebor
機関妖精P3/消された乗車記録
テーマ:小説
機関妖精P3/消された乗車記録
ともに青いボディに流星のデザインがされた、「青星罐」と呼ばれる新鋭機である。
「まったく、501のアレには久々に嫌な汗かいたな」
「ああ。仙ココ(仙台支社小牛田運転区)がD51 498の溶栓溶かしたのにつづき、また恥をかいちまった」
機関士たちが口々にそうぼやきながら、なにかをくわえて吸っている。
「場内禁煙!」
そこに入って先輩たちを咎めたのは雪井零子機関士だ。
この機関区の紅一点、女性機関士で、機関区ではみなから「イインチョ(委員長)」と密かにあだ名されている。
「ざんねーん。これは電気タバコ。火に見えるのはLEDランプで、煙はカートリッジの揮発性ハーブオイル」
「もうっ、どうしてそこまでして吸いたいんですか!
やめればみんなお小遣い増えて、カンパすれば社宅のまわりに庭園鉄道ひけちゃうじゃないんですか。
社宅の管理組合で子どもたちを載せようって計画して頓挫してるのに」
「まあそうだよなあ」
機関士たちは笑った。
だが、その一人が言った。
「雪井くん、君もわかるよ。こうして吸いたくなる気分」
「なんですかそれ」
そこに放送がかかった。
「雪井機関士、所長がお呼びです」
雪井が所長室に入ると、所長は二人の制服の男性を紹介した。
「北急系列の米田車輌と、尼崎の奇車会社で、北斗星・カシオペア仕業EF81後継機を試作していたのは知っているな。
米田車輌のH級のEH510、奇車会社のEF510の500号機。
ともにオーバースペックのため、我がJRでは制式採用せず、代わりに501・502・503を導入した。その経緯は君も知っていると思う」
「はい」と答えたものの、雪井は見当もつかない話であった。
「実は、501号以下の制式「青星罐」に、不安がある」
「本当ですか!」
「ああ。501号の事故は交直切替装置の故障だったが、実は501号を調べたところ、溶断した主回路とは別に、運行制御システムの一部に我がJRの検車が気づいたんだが」
所長は言葉を選ぶ一瞬、胸ポケットのタバコを探したが、所内は全面禁煙である。
どうしてこうもみなタバコが断ちがたいのかと思う雪井だったが、その次の言葉に耳を疑った。
「内密な話だが、「青罐」501・502・503の運行制御システム、とくに主回路制御装置の補助システムに「ブラックボックス」があるらしい。現在JRシステムで解析しているが、メーカーはなにかを偽装した。しかも」
雪井ははっとした。
「わかっているな。1ヶ月後の特別仕業。上野発札幌行のBCE充当によるお忍びの国賓お召。
すでにEF81牽引でカシオペアE26や北斗星24系25形で何回か実施している。
カシオペアや北斗星編成の個室には、どの部屋かは秘密だが、防弾装備を設けている。
これは全国の鉄道に警察庁警備局が密かに通達した条項で、お召専用車輌の利用不可能な場合に備えてA個室あるいはグリーン席相当の車輌に防弾装備をもたせるものだ。
そこで」
所長は所長室の液晶テレビをディスプレイモードにした。
「奇車会社の江崎と申します。本来なら警察庁警備部が説明するべき事項ですが、我々に託された事項となりました」
「まさか」
雪井は口にした。
「ああ。1ヶ月後、その国賓は皇居を訪問したあと、上野から札幌に移動するが、それには新幹線やE655、新1号編成が使えない。虫が見つかった」
「虫、ですか」
「ああ。まったく、JRも恥ずかしいこと続きだ。警備部は公安部情報で、JRの貴賓仕業セクションに裏切り者がいることを察知した。貴賓仕業に充当される新幹線、お召車輌は使えない。
これでわかっただろう」
雪井はちょっと考えたあと、言葉にした。
「1ヶ月後のその国賓の御一行の秘密のお召を、カシオペアE26と下り北斗星、そしてブラウンコーストエクスプレスの3列車で同時に運転する。
しかも、ブラックボックスのある501・502・503では不安があるため、牽引機に0号機とEHとEFハイフンを充当する」
「さすが我がJRの機関士養成所貴賓運転特修科首席卒業だな。全くそのとおりだ」
所長は、言葉を区切り、命令した。
「1ヶ月後のその3列車の運転計画を、この来嶋くんと江崎くんと検討し、なんとしても国賓を札幌まで無事にお連れするんだ。
これはJRの業務命令というだけではない。日本国の国家としての命運がかかっていることでもある。厳命だそうだ」
雪井は背中に汗を少し感じた。
「運行計画について、本社企画部が特別チームを作った。EH、ハイフン、0号を充当した輸送計画を急いでくれ」
「でも、EHも0号も、まだ我々と途中運転所の貴賓運転資格を持たない機関士は運転について未体験です。彼らに任せるには性能確認が必要ですが、その試運転はいつ?」
「時間に余裕が無い。それは、今夜だ」
そのとき、運転所の表で汽笛が鳴った。
相模大川からEH510とハイフン、そして尼崎から0号の3機を無動力回送で牽引してきたEH500の汽笛だった。
<続く>
IMG_0287b posted by (C)YONEDEN
EH510(もとEH200)に手摺をつけました。
一応模型に後付パーツとして同梱されているのだけど、こんなのつけるの無理だよと思う。
小さいし、しかも素材がプラ製。普通こういう物は金属パーツではないのか。 と言いつつ、自分で銅線を曲げて作ってみました。
素材選びは模型の要だと思う昨今です。
100201BCE編成図 posted by (C)YONEDEN
↑クリックするとフォト蔵のページに飛びます。他のサイズ>元画像で細かく見ることが出来ます。
まだ仕上がりではありませんが、ちょっとお見せしたかったり。
クリックありがとうございます。いつも励みになります。
- Nゲージ EF510-1/カトー
- ¥7,140
- Amazon.co.jp
ともに青いボディに流星のデザインがされた、「青星罐」と呼ばれる新鋭機である。
「まったく、501のアレには久々に嫌な汗かいたな」
「ああ。仙ココ(仙台支社小牛田運転区)がD51 498の溶栓溶かしたのにつづき、また恥をかいちまった」
- KATO D51-498号機 オリエントエクスプレス ’88 タイプ(ラウンドハウス) 200.../カトー
- ¥2,625
- Amazon.co.jp
機関士たちが口々にそうぼやきながら、なにかをくわえて吸っている。
「場内禁煙!」
そこに入って先輩たちを咎めたのは雪井零子機関士だ。
この機関区の紅一点、女性機関士で、機関区ではみなから「イインチョ(委員長)」と密かにあだ名されている。
「ざんねーん。これは電気タバコ。火に見えるのはLEDランプで、煙はカートリッジの揮発性ハーブオイル」
「もうっ、どうしてそこまでして吸いたいんですか!
やめればみんなお小遣い増えて、カンパすれば社宅のまわりに庭園鉄道ひけちゃうじゃないんですか。
社宅の管理組合で子どもたちを載せようって計画して頓挫してるのに」
「まあそうだよなあ」
機関士たちは笑った。
だが、その一人が言った。
「雪井くん、君もわかるよ。こうして吸いたくなる気分」
「なんですかそれ」
そこに放送がかかった。
「雪井機関士、所長がお呼びです」
雪井が所長室に入ると、所長は二人の制服の男性を紹介した。
「北急系列の米田車輌と、尼崎の奇車会社で、北斗星・カシオペア仕業EF81後継機を試作していたのは知っているな。
米田車輌のH級のEH510、奇車会社のEF510の500号機。
ともにオーバースペックのため、我がJRでは制式採用せず、代わりに501・502・503を導入した。その経緯は君も知っていると思う」
「はい」と答えたものの、雪井は見当もつかない話であった。
「実は、501号以下の制式「青星罐」に、不安がある」
「本当ですか!」
「ああ。501号の事故は交直切替装置の故障だったが、実は501号を調べたところ、溶断した主回路とは別に、運行制御システムの一部に我がJRの検車が気づいたんだが」
所長は言葉を選ぶ一瞬、胸ポケットのタバコを探したが、所内は全面禁煙である。
どうしてこうもみなタバコが断ちがたいのかと思う雪井だったが、その次の言葉に耳を疑った。
「内密な話だが、「青罐」501・502・503の運行制御システム、とくに主回路制御装置の補助システムに「ブラックボックス」があるらしい。現在JRシステムで解析しているが、メーカーはなにかを偽装した。しかも」
雪井ははっとした。
「わかっているな。1ヶ月後の特別仕業。上野発札幌行のBCE充当によるお忍びの国賓お召。
すでにEF81牽引でカシオペアE26や北斗星24系25形で何回か実施している。
- KATO カトー Nゲージ EF81+24系25形〈北斗星〉 4両基本セット 10-804/カトー
- ¥12,679
- Amazon.co.jp
- Nゲージ車両 EF81 寝台特急 カシオペア 基本セット (3両) 92251/トミーテック
- ¥10,290
- Amazon.co.jp
カシオペアや北斗星編成の個室には、どの部屋かは秘密だが、防弾装備を設けている。
これは全国の鉄道に警察庁警備局が密かに通達した条項で、お召専用車輌の利用不可能な場合に備えてA個室あるいはグリーン席相当の車輌に防弾装備をもたせるものだ。
そこで」
所長は所長室の液晶テレビをディスプレイモードにした。
「奇車会社の江崎と申します。本来なら警察庁警備部が説明するべき事項ですが、我々に託された事項となりました」
「まさか」
雪井は口にした。
「ああ。1ヶ月後、その国賓は皇居を訪問したあと、上野から札幌に移動するが、それには新幹線やE655、新1号編成が使えない。虫が見つかった」
「虫、ですか」
「ああ。まったく、JRも恥ずかしいこと続きだ。警備部は公安部情報で、JRの貴賓仕業セクションに裏切り者がいることを察知した。貴賓仕業に充当される新幹線、お召車輌は使えない。
これでわかっただろう」
雪井はちょっと考えたあと、言葉にした。
「1ヶ月後のその国賓の御一行の秘密のお召を、カシオペアE26と下り北斗星、そしてブラウンコーストエクスプレスの3列車で同時に運転する。
しかも、ブラックボックスのある501・502・503では不安があるため、牽引機に0号機とEHとEFハイフンを充当する」
「さすが我がJRの機関士養成所貴賓運転特修科首席卒業だな。全くそのとおりだ」
所長は、言葉を区切り、命令した。
「1ヶ月後のその3列車の運転計画を、この来嶋くんと江崎くんと検討し、なんとしても国賓を札幌まで無事にお連れするんだ。
これはJRの業務命令というだけではない。日本国の国家としての命運がかかっていることでもある。厳命だそうだ」
雪井は背中に汗を少し感じた。
「運行計画について、本社企画部が特別チームを作った。EH、ハイフン、0号を充当した輸送計画を急いでくれ」
「でも、EHも0号も、まだ我々と途中運転所の貴賓運転資格を持たない機関士は運転について未体験です。彼らに任せるには性能確認が必要ですが、その試運転はいつ?」
「時間に余裕が無い。それは、今夜だ」
そのとき、運転所の表で汽笛が鳴った。
相模大川からEH510とハイフン、そして尼崎から0号の3機を無動力回送で牽引してきたEH500の汽笛だった。
- Nゲージ EH500 3次形 3037-1/カトー
- ¥10,290
- Amazon.co.jp
<続く>
IMG_0287b posted by (C)YONEDEN
EH510(もとEH200)に手摺をつけました。
一応模型に後付パーツとして同梱されているのだけど、こんなのつけるの無理だよと思う。
小さいし、しかも素材がプラ製。普通こういう物は金属パーツではないのか。 と言いつつ、自分で銅線を曲げて作ってみました。
素材選びは模型の要だと思う昨今です。
100201BCE編成図 posted by (C)YONEDEN
↑クリックするとフォト蔵のページに飛びます。他のサイズ>元画像で細かく見ることが出来ます。
まだ仕上がりではありませんが、ちょっとお見せしたかったり。
クリックありがとうございます。いつも励みになります。
同じテーマの最新記事
- こんなのつくってみた。 01月15日
- クリスマスに長編小説新作公開 12月24日
- 防空巡洋艦〈綾瀬〉秘められた勇姿(3) 11月12日
- 最新の記事一覧 >>
















1 ■米田さんおはよん♪
本当だ小さな手すりが付いてる♪
(*´Å`*)
そこに見習いの人が車体を磨いたタオルをかけっぱなしで怒られるのですね♪
小説の続き楽しみにしてます。