これは職業病なんだろうか。
小説を書いていると、ものすごくよく書けたと思うときと、逆に自分の文章は文章ではなく、日本語でもなく、まったく意味の通らない記号列に思えるときがある。
強烈に自分を消したくなる。
波があるのだろう。これが1/30dぐらいの周期でおきる。
病院で主治医に聞いたら、ECTという方法もあるけど、うちに機械ないしなあと言われてしまった。
なかなか苦しい状態です。
嫁の冗談が救いなんだけど。
で、ひとつ周期が一致していることがある。
それが、小説の脱稿。
1ヶ月のうち、今頃ちょうど小説を脱稿したり、ダイナミックアークの仕事が終わりかけたりする。
脱稿ウツと名づけているけど、ほんと、きつい。
まあ、12日、ほぼ回復しました。
で、実はこんな端くれ兼業SF作家にも本の寄贈をくださるありがたい方がいらっしゃいます。
嬉しいし、大変勉強になったので、紹介しておきます。
- 虹のように消えてゆく (COCORO BOOKS)/miyu
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ケータイ小説というと「恋空」みたいなケータイ小説に最適化した文体もあるけれど、
このmiyuさんの本は、横書きの文章で、1行アキなのは携帯小説の基本としても、
実のところ、なんだか昭和末年から平成元年のころの、小学館パレット文庫みたいな感じで、
するする読めて、くどくなく、なんだか水彩のような学生ものの淡い感じです。
実のところ、モエ要素だの何だのというあざとさはなく、それでいて一語一語がよく選ばれて、
それで今の活字好きになっていく子たちには、いい文学の初期の体験になるだろうなという、
じつに風味のいい本です。
つか、某賞受賞みたいな時代設定ぐちゃぐちゃでどんな豊かな闇市なんだと思ってしまい、
頭を抱えてしまいそうな「大人物」と呼ばれる小説の嘘くささになれてしまった私には、
そういうテレビ局とか出版社とかの大人の事情という泥を洗い流せる、
絶好の本です。
恋する女の子のためのケータイ小説と帯で言うけれど、
本当にその通り。なんだかいうなればジブリ「耳をすませば」の平成版のような。
- 耳をすませば [DVD]
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とはいえかなりショッキングなところもあるし、
所々オーバーに少女マンガしているところも今風でいいと思います。
今時、がっちり活字を読むと言っても、そうなるとどんどんカースト制になっていくし。
SFカーストの最底辺にいることを思い知らされた私としては、
なんだか、ちょうどいいときに心洗われました。
原点だよね、こういう世界。
それぞれに危うさがあり、それぞれに楽しさもある。
そして、どきっとさせられることも。
メディアは変わっても、物語は不滅。
それを感じて、少し嬉しくなりました。
で、申し訳ないのですが、
しつこくてすみません。
拙作です。
灰色捜査 (グレーオブグレー) <http://sites.google.com/site/grayofgray/ >
シャングリラ(終章) (グレーオブグレー)
<http://sites.google.com/site/grayofgray/shangurira-shuushou >
これで終わりです。
短い期間ではありますが、ありがとうございました。
いろいろ描けて楽しかったです。
regimoの方の更新が遅れていて申し訳ないですが、今のところgooglesite版の方をお読みいただければありがたいです。
いつも励みになります。ご愛読ありがとうございました。