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当ブログ【桜咲く頃】は大正・昭和を生きたわたくしの実祖母・桜子の

美しく悲しき生涯を描いた昼ドラ風長編小説もどきです。

主に実話ではありますが、かなりの脚色を加えますのでフィクションとさせていただきます。

尚、登場する人物名、その他の名称すべて仮名で表記しておりますのでご了承ください。

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※【桜咲く頃】内の文章・イラストすべてにおいての無断転記を固く禁じます。 

 もし発見した場合は直ちに通報させていただきますのであしからず。

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2011年06月28日(火)

252.エピローグ(最終話)

テーマ:エピローグ

前回までのお話はコチラから→【Contents】





・・・・さとみ。


・・さとみ。



また

誰かが私の名を呼んでいだ。



「さとみってば!!」



突然、大きな声とともに目に飛び込んできたのは

私の顔を上から覗き込む兄だった。



「・・・・・あれ?お兄ちゃん?」



きょときょとと

周りを見渡した。



目の前には

買ってもらったばかりの大事な大事なエレクトーン。


その上には

大事な大事なクマのぬいぐるみ。


左を向けば窓にはピンクのカーテン。


足元には

ベージュの絨毯。



そして今まさに握り締めているのは

お気に入りの花柄のタオルケット。



・・・・どうやら


いつのまにか

私は自分の部屋で眠っていたらしい。




その時

プンといい香りが鼻をついた。



ぐー!!


条件反射のように

お腹が盛大に音を立てた。



カレーライスの匂いだ。




「おなかすいたーー!!」

「オレもーー!!」



私は4つ年上の兄と

まるで仔犬のようにじゃれあいながら

我先にと台所へ向かった。



「よく寝てたねー。

 お腹すいたでしょ?」


食器をテーブルに並べながら

母が微笑んだ。



「うん!・・・・あれ?」



着ていたはずの白いワンピースが

いつのまにか部屋着へと変わっているではないか。



「・・・・お母ちゃん。

 さとみのワンピースは?」



恐る恐る聞いてみた。



だって。


あの素敵なワンピースを作ってもらったのは

実は夢だったのかと思ったから。


しかしそれは杞憂。



「ああ、それならそこにあるでしょ?」



カレーをよそいながら母が指差した先には

ハンガーにかけられているそれがあった。



良かった!


夢じゃなかったんだ!!




・・・・・・じゃあ。



あれは?



あれも現実?




「お父ちゃん・・・・・。」



「なんだい?」



「あの・・・・・、あの人・・・・



一瞬言葉に詰まる。



いつもの優しい笑顔で

私が何を言い出すのかと待っている父の顔を見たら

なぜだか聞けない気がした。



いや。



聞いちゃいけない気がした。




「ううん、いいや。なんでもない。」


私は笑った。



「なんだよ、おかしなヤツだなぁ。」


父も笑った。




「さあさあ、いただきましょう。」


母も笑った。



「いっただきま~す!!」


兄も笑った。




私はカレーをほおばりながら

すっかり薄暗くなってしまった窓の外を見た。





ひらひら。


ひらひら。



ひらひらと

桜が舞い散っていた。





そう。


これは幼い日の記憶・・・・


時と共に忘れ去られていた遠い日の・・・・優しい記憶。





                                                   ・・・完・・・                                       ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

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