テーマ:
ヨコオタロウの日記-51QJ18K3ETL.jpg

何かの間違いはあるかもしれないが、別に気は狂っちゃいないさ。
リア王 / ウィリアム・シェークスピア



ゲームのシナリオの質問をまた Twitter で頂きました。
なんで僕に……というキモチはあるんですけど、無職になった事でこれからどんどん時代に遅れて陳腐化していくであろう自分のノウハウを公開するなら今のうち、という気もします。

世の中にはもっと良い先生が居るのですが、タダで手に入る情報はこのブログくらいなんじゃよイッヒッヒ(棒読み)的な。

イッヒッヒはさておき、質問の回答は近日中にしようと思います。
今日はシナリオについて思う事をいろいろ。



僕はシナリオの勉強も全然していないですし、人様に教えられるようなレベルでは全然無いです。多分。実は過去に「シナリオを書く本」的なモノを何冊か読んだのですが、個人的にはほとんど役に立ちませんでした。シナリオを書く上での基本的な教養が何か欠けているんでしょう。

だいたいそんなにシナリオ書いたことないですし、専業の方と違いシナリオだけを書いて食っていける能力もあるとは思えません。
ただゲームでシナリオを使う立場としてはずいぶん仕事をしてきたので、作品とシナリオの関わり方についてはいろいろ学んだ事はあります。いやこの説だけで「シナリオ」って何回書いたか。



映画や小説と違い、ゲームではシナリオが体験に影響を及ぼせる範囲はとても限定的です。

たとえば、村のNPCにいつでも話しかけられるようなゲームの場合だと、ものすごいシリアスな状況展開(たとえば村で大虐殺が起こるようなイベントが発生)をしたあとに村人に話しかけたら妙な話(ウチの旦那が浮気してるの!)をされる……というトンチキな状態が起こりえます。

これは「非シーケンシャル」で「インタラクティブ」であるというゲームの特質によるものですが、この違和感を潰す為にはシリアスな状況が起こった後は街に入れなくしたり、とかそういう処理が必要になるわけです。
ところが、これ、異常にめんどくさいんですよね。

僕個人の感想ですが、RPGとかのシナリオは「面白くする」事よりも「変にならないようにする」事の方がコストがかかります。メインのシナリオをいじり、NPCの台詞をいじり、ルートの穴をふさぎ……という事をやらなくてはいけません。シナリオを見せたい気分が優先してしまうと自由度に制約が大きくかかりますし、自由度を保証しようとするとシナリオの盛り上がりを作るのが大変になります。

ここでこういう事を言うとマズイとか、逆に伝えておかなければいけないとか、そうやって色んなパッチを当てていくうちに「あれなんだかシナリオ面白くなくなくなくなくない?」みたいな状態になったりして。



ニーアは割と最初の段階で「自由にマップを行ったり来たり出来るゲームにしよう」としてしまったので、あとからシナリオバグを潰すのが異常に大変でした。
「ゼルダみたいなマップシステムのアクションRPGってなんで少ないんだろう」と思ってたんですが、作ってみて初めて判ったという……(ちょっと考えれば作る前に判った筈なのに!)

また、アクションだと技量だけでパッとクリア出来てしまう場合があって、体験時間がコントロールしづらい。そうなると「あれ?さっきあんな事が起きたのに主人公立ち直ってるの?」みたいな感覚が発生してしまいます。こっちはどうやって時間を稼ぐのか?みたいな面倒な作業が発生すると。

ということで、ゲームとシナリオはよく考えないと大変な事になる、と学習した訳です。



大変大変と言っていても仕方無いので、シナリオを上手く処理しているなーと思うゲーム(とその理由)を挙げておきます。仕事でやってる人には寝耳に水じゃなくて馬に念仏じゃなくて釈迦に説法……で合ってましたっけ?

・ドラクエシリーズ
   オーソドックスなRPGですが「いつでもどこでも戻れる」
   という鬼のような仕様です。昔のRPGはあまり語るゲー
   ムでも無かったのでそれでも良かったんですが、現代でもそ
   の仕様を引き継いでちゃんと面白く成立させているのは大変
   素晴らしい。街単位で独立したクエストを行う事と、丁寧な
   フロー管理で実現させているんだと思います。失禁。

・GTA3
   内部的には4本くらいのシナリオを平行して進めるような構
   造になっています。意外とシンプルですけど、それなりの自
   由度が確保されているように見える上手な処理方法ですよね。
   他のラインのシナリオとの整合性を取るために主人公の境遇
   をあまり変えられないのですが「街の無法者」という基本設
   定を通す事で乗り切っています。GTA3しかやっていない
   ので4とかでは劇的に変化しているかもしれませんが。

・かまいたちの夜
   ある程度分岐のあるアクションアドベンチャーなんですが、
   周回プレイで分岐構造が変わるという(当時は)変わったゲー
   ムでした。重要なのは「変化を楽しませる」という点に注力
   して様々なバリエーションを用意しているところです。ゲー
   ムを作っているとつい世界観を固定化させたくなるんですが、
   そこを捨ててバリエーションを多彩にしているところがスゴ
   イですね。

・ゼルダの冒険シリーズ
   ドラクエと同じくらい古典ですが、大雑把な設定以外はあま
   り提示せず、世界観的なトコロはプレイヤーが行間を読んで
   楽しむタイプです。リンクが喋れないのもあまり深く会話を
   させない為ですね(ドラクエも喋れませんが)。「ワンダと
   巨像」とかも同じタイプだと思いますが、ついつい沢山喋ら
   せたくなるところをグッと我慢して雰囲気を出しているのが
   素晴らしい。



ということで、ゲームのシナリオっていうのはシナリオとしての面白さよりも仕様的な部分で頑張る必要が多いモノだと思う訳であります。一方で、仕様を重視して端にも棒にもひっかからない話を書いても仕方無いという事もあり、仕様とストーリーのバランスを取る必要が出てきます。それがまたとても難易度が高い。

やーもー大変だなー。

これからゲームシナリオを書かれる皆さんも多いかと思いますが、頑張って超楽しいゲームを生み出して頂ければと思います。
次回は質問回答編!……になるといいなあ。

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□





いいね!した人  |  コメント(4)  |  リブログ(0)

yokota6さんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。