テーマ:
ヨコオタロウの日記-41ufcbhridL._SS500_.jpg


絶対に失敗しない人というのは、何も挑戦しない人のことです。
/ イルカ・チェース



Twitter の DM で「ヨコオの企画書ページを参考にしてゲーム会社受かった」というメッセージをもらいました。どのくらい役に立ったか判りませんが、やってて良かったです。褒められるといろんな部分が伸びます。ビローン!

あと、島国さんところに関連記事が
http://dochikushow.blog3.fc2.com/blog-entry-1769.html

MMOのサブシナリオの制約が書いてあって面白いので是非。



という事で、前回・前々回は

 「落ちても気にしないんでイインジャナイ?」
 「ゲーム業界のシナリオライター像」

とか書いた気がします。
「いくらなんでもそれだけでは応募するのに役に立たないだろう」そうですそうですそうなんです。実は応募に役立つ書類の書き方なんて判らない訳です(ここまでひっぱっといてコレ)。

でもまあ、やります。考えるのはタダですから。
今回は、

 A・「相手」
 B・「面白さのレイヤー」
 C・「アピールする部分」

という3つについて説明します。
今日の話は眠いと思います。が、なんとなくついて来てください。



A・「相手」

企画書でもそうでしたが、相手が何を望んでいるかで見せるべき仕事は異なります。
もちろん「シナリオ募集」という要件だけでは相手が何を望んでいるのかは判りません。しかし、相手先の作ろうとしている製品から類推する事はある程度は可能です。

たとえば大作RPG。
大作RPGの制作環境を考えると「キャラ設定」「根本的な世界観」などのオイシイ作業は内部のスタッフが既に作っていると予想されます。ここで要求されるのは「プランナーの書いた駄目文章をリライト」「NPCのサブイベントなどを書く」などです。

たとえば携帯やソーシャルアプリ。
アップデートを常に続けなければいけないゲームでは「文字数や状況の制約のある中で書けるか?」「大量にバリエーションを生成出来るか」などのスキルが求められる……気がします。

こうした相手の状況を鑑みて、

 ・予想製品の方向性
 ・文章全体の長さ
 ・分かり易い起承転結があるか?
 ・複雑で奥深いテーマがあるか?
 ・レジュメを付けるべきか
 ・キャラ表を付けるべきか
 ・グラフィックを付けるべきか
 ・世界観(オーソドックスor独自性)
 ・会話だけで構成すべきか?
 ・一文の長さは?
 ・キャラ名は分かり易いか?
 ・キャラ名は特徴があるか?
  etc...

みたいな様々な要素を考える必要があります。

……とここまで書いておいて言うのも何ですが、相手の事なんてなかなか想像出来るもんじゃないです。でも、自分の好きなストーリーを書くだけではなく、受け手の事を考える事は職業作家としてはとても大切な事だと思います。上記を客観的に見る事で、何かの修正のヒントになれば幸いデス。



B・「面白さのレイヤー」

これは僕が作った勝手な理屈なんですが「面白さの理解にはレイヤーがある」という理論があります。理論っていうほどのもんじゃないですが。
たとえば「ストーリーが面白い」という認識には複数の階層があると。
ゲームを作るプロセスに於いて、シナリオがどのようなレイヤーで評価されるか?ですが、

 レイヤー1 「概略」 ←ヒトコトで言うと?
 レイヤー2 「プロット」 ←あらすじ
 レイヤー3 「シナリオ」 ←台本
 レイヤー4 「ゲーム本体」 ←ゲーム体験

このぐらいの階層に分かれて人は「面白さ」を認識します。
あらかじめ書いておきますが、上記レイヤー全ては違うものであり、それぞれを「面白い」と認識させる事はかなり難易度が高いです。さらに言うと必須でもありません。

たとえば「ワンピース」。
大人気である、という事は多くの人が「面白い」と思っている訳です。あのマンガの概略(ヒトコトで言うと?)どんなマンガなのでしょうか?ちょっと考えてみてください(出来れば紙に書いてみて欲しいです)。

……
…………
……………………
…………………………………………

もういいでしょうか?
皆さんはどのように書きましたか?

 「海賊王を目指す少年の心の成長譚」
 「主人公と個性溢れる海賊達の織りなす群像劇」
 「仲間と共に強敵に立ち向かいながら『ワンピース』を求める物語」

という感じでしょうか?
じゃあ今度は、自分で書いたその文字列をじっと見て「面白いかどうか」を考えてみてください。出来ることなら「ワンピースの存在しない世界」を想像して、その世界で作った文字列を見て「面白い!」と思えるかどうかです。


誤解を恐れずに書きます。
ワンピースの概略の文字列だけを読んでも「面白い!」と思えなくないですか?

 「主人公と個性溢れる海賊達の織りなす群像劇」

なんて、少年漫画にありきたりなキャッチコピーです。
抽象的で、頭の中に具体的なビジョンを描くことは出来ません。
この説明だけで「面白い」と思う事はほとんど不可能だと思います。

上記を面白いと理解する為には、ルフィが血まみれで奮闘する様子や、周囲のキャラクターが如何に魅力的な表情をしているか?どんな台詞でどんなシチュエーションで助けに来るのか?などの細かいディティールによって積み重ねられる事で初めて判る事です。
つまりワンピースという作品は、概略だけで読者を喜ばす構造にはなってない。


では、別のサンプルで「デスノート」を考えてみます。
「デスノート」の概略は

 「『名前を書いたら人を殺せる』というノートを手に入れた高校生の物語」

です。
これは面白そうじゃないですか?自分が手に入れたらどうしよう?高校生はどうするの?という気持ちになってワクワク出来ます。
これは概略の中に人を惹きつける謎めいた構造が組み込まれているからです。


それでは「ワンピース」は「デスノート」よりも劣っているか?
もちろんNOです。
これら二つは、違うレイヤーに面白さの構造を持っているからです。

他のレイヤーにも言える事で、シナリオを読んでも一向に面白く無いけれど、映像になり声が入った瞬間に劇的に面白くなる台詞、というものも存在します。
複数のレイヤーに面白さがあるものもありますし、一カ所にしか無いものもあります。
よく

 「企画は一言で魅力が伝わらないとダメ」

という人が居ますが、それは面白さの一面しか表していません。
面白さには様々な形態があり、一言では伝わらない面白さも世の中には存在するのです。
全てのレイヤーが面白さで満たされている必要はありません。

この構造を理解した上で、次の項目に進みます。



C・「アピールする部分」

なんかもう書くのが疲れてきたよパトラッシュ……的な気分になりつつありますが。
皆さんも眠くないですか?てっとり早くまとめていきたいと思います。

前項の「面白さはレイヤーに分かれている」という部分ですが、前にも書いた通りこれを全部面白くするのは至難の業です。
そもそも、それら全部を面白くする事は、ほとんどの場合必要ありません。
本当は最終的なゲームさえ面白ければ良いのです。

たとえばワンピースみたいな物語を「レイヤー1・概略」だけで伝えるのは困難です。
ワンピースで真っ先に伝えるべきは物語の全体骨格ではなく「レイヤー3・シナリオ」のディティールですから、そこが伝わるようにキャラクターの必死で生きる姿を切り取る事が必要になります。

台詞のディティールが大事なら概略に書いちゃえ、とか僕は思います。
だって「関西弁の女子が活躍する物語」と説明されるよりも、

 澪 「好きになってまうやんかっ!」

って書かれる方がグッときませんか?
きませんか。じゃあいいです。

ともかく、アピールするのに適した部分を抽出して概略にする必要がある訳です。
概略を書け、と言われた時に「物語を要約する」事に腐心してアピールする部分を忘れると「何が面白いの?」と言われてしまいます。

また、概略を書く時に「せっかく考えたシナリオだから」とアレもコレも面白要素を書いたりすると伝えたい事がボヤけるので止めた方がいいと思います。
駅弁フェアで人気なのは「イカめし」「牛肉弁当」みたいな一発芸的なモノです。幕の内弁当は美味しいですが、フェアでは目立ちません。ボヤけるっていうのはそういう事です。

幕の内弁当は旨いですけどね。



今回の長文日記。
パッと見「うわめんどくせー」とか思いませんでしたか?

実はこういうノウハウ系ブログも、ある程度短くして書いた方が読んでる方が「判った」気になれるんです。たとえば「ゲームシナリオを面白くする10の方法」とか箇条書きで書くとか。

今回は「シナリオライターになろうとする人だったらこのくらいの文章読めるだろう」と、あえて長文にしました。この日記は「とっつきづらい」という感覚を持ったと思います。では、この日記の内容のどこを削ってどこをアピールすべきだったか?そういう事を考えてみるのも良いかもしれません。



ということで本日で終了です。
今回は「どうやったら面白さが伝わるか?」にフォーカスしてみました。
「面白いシナリオを書くノウハウ論」では無いのでガッカリされた方も多いかもしれません。

でもまあ、どんなシナリオも面白いところってあると思います。
少なくとも居酒屋評論家になってアレがいいとかコレが嫌だと言ってるくらいだったら、一本書いた方が良いんじゃないでしょうか。

皆様の楽しいシナリオが世に出ることを祈っております。

それでは。

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

いいね!した人  |  コメント(8)  |  リブログ(0)

yokota6さんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。