本社の山中です。
隠してましたが5年間、自炊していなかったので、炊飯器無しの生活でした。
たまに炊いてもいいなと、古い炊飯器がオークションに出ていたので
五千円で購入しました。
すばらしいカラーリングと、ボディラインが私の目を引いて止まなかったのです。
これ以上、炊飯器だと言う形はおそらく無く、骨董品を買った気持ちだった。
現在の炊飯器は、性能が良いのは非常に高価。小型のものはデザインを無視している。
届くと、思いのほか未使用。
米を主食とする民族が築き上げた最後の造形美が、そこにはあった。
超格好良い蓋を開けると、まだ袋に入ったままの「しゃもじ」と説明書、計量カップ。
おそらく商社が購入時に記したであろう「お買い上げ日」は、
なんと、昭和54年4月15日だった。
オークションの情報として「電源が入る」とだけ記載されていたが、
まさかこんな昔のものとは。
私が昭和53年生まれなので、ほぼ同い年ということだ。
保証期間が昭和55年で切れている。
買った側としては損や・・・
いや、そんな次元じゃないやろ・・・
部屋いっぱいが、不思議な空気に包まれる。
うたい文句は、「ご飯の炊ける炊飯ジャー」
「当り前やないかい!」とツッコミが入りそうだが、
当時はどうも保温ジャーが主流で、ガス火で炊いたご飯を
釜から保温器に移しかえての使用が普通だったという。知らんけど。
丁寧で長い説明書の一部を呼んでみる。
①「なべぶたを図のように持ち、なべぶたの調圧口パイプを外ぶたの調圧口にあわせて、中央の穴をワンタッチピンにきっちり差し込んでください」
→部品名称が専門的過ぎて、誰もついてこれへんし。
②わざわざ別紙で「これだけはぜひご一読ください」には、サンドペーパーの使用方法とある。
「ペーパーを水でしめらせ、かるく磨き、かたしぼり布でふいていただきますと、簡単にお手入れができます」なんて書いてあり、
→何処の家にも何時でもサンドペーパーがあるという想定が、そもそも「簡単」になっていない。 なんせ職人目線。
③「ふた・まわり・底から“発泡トリオ”が御飯を適温ですっぽり包み、
TRSが最適温度を見守る“マルチコントロール方式”です」
→知らんし・・・。
~そろそろ、しんどいので行動に移そう。
前日、石谷が東三国の駅まで、快くタダで米を持ってきてくれたので嬉しかった。
5kg買っても、もし炊けへんかったら困るし。
そして、一合と言ったら、彼は一合ぴったり持ってきた。
とこらが、いざ入れてみると、水目盛線は2合からやないかい!
・・・あ、あいつ、わかっていやがったのか!くそう、騙しやがって!
しかし、中断するわけにいかない。感覚で、なんとも見えない一合ラインまで水を張る。
そして静かに、炊飯レバーを押した。
説明書には、蒸らし15分とか、炊前に1時間米を水につけろとか書くくせに、炊き上がる
までの時間は一切記されていない。どういうことか?
1時間後、保温ランプに切り替わった。
辛抱強く蒸らす。焦るな!
用心深く、15分のところ20分待った。
息を止めて、蓋を開ける。
げー!出来てる!奇跡や!
なんて温かい、・・・30年越しやね(泣)
旨いとかそんなんじゃない、そうなんだ「神の味だ・・・」
30年前にこれを買った主婦が、「どう電気炊飯器の味は?」 「母さん旨い!」となるのか、
30年後はじめて使った一人暮しのオッサンが、旨いと言って泣いているのか、
作った側からすれば、どっちが良いものか。
検査書には3つの楕円形の印がありました。炊飯器に3人の検査員ですよ?
「奥山さん、橋岡さん、仲井さん、聞こえますか!
30年たった今も、ちゃんと炊けましたよ。ご馳走様でした。」