2007年04月29日

バベル

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 ブラッド・ピットが出てるからエンターテイメントでしょ?でもなんかサスペンスもの?みたいなミーハーなノリで観に行くなかれ。

 「21グラム」のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督作。てゆうか、基本パターンは一緒です!

 モロッコを旅する米国人夫婦、サンディエゴでその夫婦の子供を預かるメキシコ人家政婦、そして米国人妻を偶然撃ってしまうモロッコの羊飼いの少年、そしてその銃をモロッコ人に渡した日本人は妻をなくした男、聾唖の一人娘とは心を通じ合えていない。

 日本公開版だからなのか、ブラッド・ピットと役所広司や菊地凛子がデカデカとしたポスターだけど、実際、カラミはありません。基本的に別々のロケーションは独立したエピソードとして展開する。特に日本編は他のシーンとほとんど絡まず。

 で、話題のキャストはこんな感じ。

ブラッド・ピット:介抱夫。この人相変わらずこういう癖のある映画に出るのがスキだね~。くたびれ度合の絶妙さはキャラなのか、地なのか?電話のシーンは、シナリオのつなげ方の妙もあるが、演技もうまい。ちょっとだけ泣かせます。

ケイト・ブランシェット:撃たれ妻。正直演技は撃たれるまでの短い間です。本人は当初セリフが少なすぎたのか、やんわりとお断りモードだったそうですが、出て良かったんじゃないかなあ?ピットを相手に、序盤以降は殆んど倒れて介抱されているだけですが、存在感はあります。

ガエル・ガルシア・ベルナル:いや~陽気なメキシカン。こういうひと、いそうだな~!と感じさせるってコトはジャストフィットなキャスティングなんでしょうきっと。陽気な彼が真顔になるメキシコ・アメリカ国境でのやりとりが、中米の現実感をつきつけます。

アドリアナ・バラッザ:家政婦は見た!息子の結婚式という晴の日にとんでもない事態に巻き込まれることに。そつのない演技です。

役所広司:抑鬱独り身男。妻を亡くし、聾唖の娘との間の壁をなくせない。閉塞感たっぷりの中年男の表情の演技は絶妙。ただしセリフは意図的になのか?棒読でわざとらしい。

二階堂智:役所広司の影であまり話題にのぼらないが重要な役どころ。佇いも渋いし、演技も渋い。意外な発見でした。

菊地凛子:日本編の主役です。ヌードシーンなど結構そういうところに話題が集中しがちだが、アカデミー賞ノミネートだけあって表現力はすばらしい。今後に注目。得てして、セリフのあるフツーの役がかすんでしまったりするんだな、最初にこういうスゴイのやっちゃうと。

モロッコの人たち:公開情報だと役者の名前すら出てきませんが、けっこう出番も多いし印象的な演技をする人たちです。最初アフガニスタンだと思ってました。


 全編通じて、要するにコミュニケーションがうまくできないというのは本当に不幸である、というテーマ。

 銃弾がもたらす不幸のみならず、全てのエピソードにコミュニケーションのちぐはぐさがビルトインされており、チクチクと絶え間ない感じで、心に刺さります。

 イタイ。イタイよ2時間ずっと。

 よく、日本編だけ関連が薄く、娘が聾唖である必然性もよくワカラン!という意見などがありますが、この映画を1つの物語として観ようとすると、そういう感想が出るのも確か。

 でも、あくまでこの映画が表現しているのは、言葉がバラバラであるが故、人々のコミュニケーションがバラバラになり、不幸が不幸を呼ぶ(でもそうした不幸や言葉の壁をなんとか乗り越えて、理解しあえることもあるよ)、ってことなんでしょう。
 聾唖ってのも、言葉が通じないという状態の1シチュエーションとしてとらえてください、という感じか。

 エンターテイメント派はきっとNG。クラッシュや、トラフィック、シリアナなどが好きなひとは好きになれると思います。ちなみにわたしはシリアナのラストシーン、ジョージ・クルーニーの必死さと哀しみがごちゃまぜになった一瞬の表情が最高に好きです。


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2007年04月01日

【小説】行きずりの街

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志水 辰夫
行きずりの街

 シミタツ節を初体験。「このミス」1992年国内1位だったり、テレビドラマ(主演:水谷豊)になってたりして、結構有名らしい。

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内容(「BOOK」データベースより)
 女生徒との恋愛がスキャンダルとなり、都内の名門校を追放された元教師。退職後、郷里で塾講師をしていた彼は、失踪した教え子を捜しに、再び東京へ足を踏み入れた。そこで彼は失踪に自分を追放した学園が関係しているという、意外な事実を知った。十数年前の悪夢が蘇る。過去を清算すべき時が来たことを悟った男は、孤独な闘いに挑んでいった…。日本冒険小説協会大賞受賞作。
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 いったりきたりする東京の街中の描写が東京在住でない読者は???という感じでしょうけども、それなりに「行きずり」感というか、場末っぽいリアリティが感じられ、雰囲気はいいです。

 が、プロットとキャラについてはちょっと不満。ご都合主義っていうか、漫画チックじゃないすか?
 学園ものだからなのか、教師が主人公だからなのか、ビミョーに立ち回りが良くて出来すぎなキャラ達と、これまた綺麗過ぎる展開に、予定調和を感じたりもする。

 確かに、ストーリーにはミステリ要素がちりばめられていて「どうなるんだろう?」感をかもし出しておりそれなりに楽しめる。ただ、本格ミステリによくある「どんでん返し」はなくて、予想の範囲内でした。

 文体は割と馴染めるほうですがね。

 Amazonの書評には「短編がいいよ」と書いてあったりしたので、今度は短編を読んでみます。


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2007年03月25日

いちのや 神泉店

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いちのや 本もろくすっぽ読まずに鰻ばかり食っている印象になりそうで、ちょっとだけ恥ずかしいですが、今年の鰻目標を達成するためには、月に2~3度は行くイキオイでがんばってます。

 で、いちのや。川越の有名老舗とは兄弟店(何代目かでのれんわけしたらしい)です。

 入るなり、かなりおしゃれな内装。いわゆる料亭とか割烹とか小料理屋って感じではなくて、和のテイストを持ちつつも、アーティスティックな感じの雰囲気をまとっています。

 山手通り沿いなんで、JRの駅からは遠く(井の頭線の神泉駅)、不利な立地だと思うのですが、流石は老舗なのか、混んでて並んだり、予約がいっぱいで入れないことも。

 で、滅多にこれないんで、かなり奮発してしまい、弐段¥3,900-をチョイス。

 当然注文を受けてから仕込むので時間もかかります。予約していったほうが無難でしょう。

 タレは甘めです。焼きはまずまずですが鰻の身はちょっと自分には柔らかすぎかな…

 山椒を多めにかけて、ご飯のナカからも出てくる鰻をゴージャス気分でパクつきます。

 お店の雰囲気といい、甘めでヤワい鰻といい、デートにはいいかも。

 でもお値段は張りますけどね。


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2007年03月21日

小福

テーマ:
小福

 知る人ぞ知る名店、小福に行ってきました。

 実は1月に一度訪れたのですが、長めの年末年始休業中だったため、今回はリベンジ。

 お店の2階はU字型のカウンターになっていて、真ん中に水槽があり錦鯉が泳いでいます。

 うな重¥2,000-を注文して待つこと20分。待ち時間はちょっと長めですが、注文を受けてからじっくり焼きを入れているとのことで、期待十分です。

 うなぎはちょっと小ぶり。な割には身がしっかりしていて、自慢の焼きも十分。タレは甘すぎず辛すぎず、ツボをおさえたいい感じです。

 お値段もこの雰囲気と味を考えたら、リーズナブル。

 さらに、仲居さんのサービスが良い!プチ料亭気分を味わえます。(ちょっと大袈裟かも)

 気のおけない友人や、少し親密になりかけているお客様なんかとくると、良いでしょう。

 錦鯉の泳ぐ水槽に流れ落ちる水の音を聞きながら、旨い鰻を食う。

 普段でないような、本音が聞けるかもよ?


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2007年03月18日

【小説】真夜中のマーチ

テーマ:Book Review


奥田 英朗
真夜中のマーチ

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内容(「BOOK」データベースより)
 自称青年実業家のヨコケンこと横山健司は、仕込んだパーティーで三田総一郎と出会う。財閥の御曹司かと思いきや、単なる商社のダメ社員だったミタゾウとヨコケンは、わけありの現金強奪をもくろむが、謎の美女クロチェに邪魔されてしまう。それぞれの思惑を抱えて手を組んだ3人は、美術詐欺のアガリ、10億円をターゲットに完全犯罪を目指す!が…!?直木賞作家が放つ、痛快クライム・ノベルの傑作。
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 小学校や中学校のころ、男女3~4人の仲良しグループで学校を抜け出して遊んだりとか、いろんなイタズラの記憶がよみがえりました。

 あのころのアイツ、何してるかな~なんて、同窓会でも企画したくなっちゃうような読後感です。

 この物語は、10億円強奪をプロットの中心にしてはいるものの、もうひとつの主題は、生い立ちの全く違う個性的な3人の若者がお互いを利用しようと接近したのちに、チームを組むことになり、やがてかすかな友情とも言えるような人間関係を構築してゆくプロセスなのであります。

 3章構成で、1章はヨコケン、2章はミタゾウ、3章はクロチェの視点になっていて、それぞれの内面描写があるために、主役3人のキャラに深みがあります。

 やくざのフルテツや、ヨコケンのちょっとまぬけな舎弟アキラ、そしてクロチェの超まぬけな弟であるタケシ、孤高の美女クロチェが唯一愛するドーベルマンのストロベリーなど、脇役陣もいい味を出しています。
 この人の描く脇役はホント少ない出番であるにもかかわらず味がある人たちが多い。

 また主要登場人物を、あだ名でカタカナ表記することによって軽いタッチを出しています。ネーミングセンスがいい。黒川千恵=クロチェ、だもんね。

 さすがはアノ「伊良部」を創り出した奥田英朗。キャラ作りに関しては匠の技を感じさせます。


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