イギリス人のEU離脱の選択の背景を考える | yohsの落書き帳

イギリス人のEU離脱の選択の背景を考える

「なぜなんだ? イギリス人!」と叫んだ英紙ジャーナリストの嘆き…EU離脱派も本気で脱退を望んではいなかった?
「なぜなんだ? イギリス人!」――イギリスの「EU離脱」が決まった6月24日、英紙「ガーディアン」東..........≪続きを読む≫
最近、どこのニュースを見ても話題になってる、イギリスのEU離脱という国民投票の結果について、いろいろ分析されてますね。上の記事をみても、こんなことが書かれています。
ポーランドなどEU域内の東欧諸国から大量の労働者が入ってきたせいで仕事を奪われたとか家賃が高騰したとか、そういう不満が多いのは事実です。ただ、誤解してほしくないのはイギリス人が人種差別的になったわけではなくて、そこには別の背景があるんじゃないかと僕は分析しています。

つまり、移民問題はあくまで表層的な部分で、離脱派の根本には経済政策、社会福祉政策、賃金問題などに対する政府への不満がある。そうした様々な不満を離脱派の政治家たちが巧みに利用し、移民問題に収斂(しゅうれん)させた。シンプルなメッセージとして力を持ってしまったのではないか。
…どうでしょうw 果たして彼のいうような「別の背景」があるのかどうか。

そもそも「ポーランドなどEU域内の東欧諸国から大量の労働者が入ってきたせいで仕事を奪われたとか家賃が高騰したとか」という不満は、それ自体、かなりオブラートで包まれていて、彼らの不満をストレートに記したものとは言えないでしょう。今回の結果が出た後、ロンドンのポーランド社会文化協会の建物に書かれた落書きを、どう説明すればいいのでしょうか?

憎悪犯罪が増加=英
EU離脱が決まった国民投票以降、英国内で移民に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)が増えている。写真は2..........≪続きを読む≫
要は、こういうことなんです。

だからこそイギリス人たちは、こんな歪んだ感情を東欧の人たちに持ってることを素直に認めることなど到底できなくて、なんとか言い訳しようとして、へんな理屈を作っているわけです。その結果、出てきた理屈も矛盾だらけとなります。テレビのニュースでは、東欧移民がイギリスの手厚い社会保障をタダ乗りしてるとか非難する人もいたけど、そもそも労働者として移民してるわけで、むしろイギリスの社会保障の原資となる税金を負担してる側であり、まったくあべこべな非難としか言いようがありません。まずは歪んだ感情があって、それをなんとか正当化しようとするから、こんな矛盾した理屈しか出てこないのです。

今回、離脱するイギリスに対してEU諸国は冷淡です。

「早期の離脱通告」要求=英抜き首脳会議で結束確認-EU
 【ブリュッセル時事】英国を除く欧州連合(EU)27カ国は29日、ブリュッセルで非公式首脳会議を開き..........≪続きを読む≫
日本人の目からは、なんでこんなにEU諸国はイギリスに厳しいんだろう、とふしぎに思うかもしれませんが、彼らは、今回のイギリス人の選択の背景を知っているからこそ、「イギリス人ふざけんな」の怒りで一致しているのでしょう。イギリス人には、これを自らを省みるいい機会にしてほしいと思います。