第0話 スんず区さん
第1話 ponさん
第2話 ファンキーガッツマンさん
第3話 おきゃんTさん
第4話 マッピーさん
第5話 さま'zさん
第6話 クッタスさん
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第7話
2010年11月3日 20時34分
1件の書き込み
『明茶くーん。あーそびーましょー』
野方警察署から転送されたメール。
明茶はその文面を確認してつぶやいた。
『やだ』
~6年後~
『・・・思い出しました?明茶“名”探偵さん』
ニッコリ微笑む溝口マルオ少年、たじろぐ明茶。
・・・お、思い出した。
6年前のイボンヌ大老殺人事件。
事件は密室内で行われ、
確たる証拠もないままで捜査は難航する中、
犯人だと名乗る男が3人も出頭、挙句の果てに
署内での取調べ中に毒殺されるという事態に陥ってしまった。
所詮は5時から男のマグレ探偵、お手上げの状態の中で
送信された『あそーびーましょー』メールで完全にキャパを超えた俺は
事件解決を放棄して逃げ出したのだ。
あれから6年の月日が経過した今も真犯人は特定できず、
もはや事件は迷宮入りの様相を呈していた。
『ふふふ。明茶さん、事件はまだ終わってないんですよ』
大人びた笑みを浮かべてマルオは語りかける。
あのときの「あそーびーましょー」メールは僕が送ったんです。
事件直後、野方警察署に送信した、
「そうだよ。ボクも、あの殺人事件の犯人の1人だよ」メールも僕です。
と言ってもあれはオモシロ半分で送っただけで僕は真犯人ではありませんけどね』
『お、オマエは一体何者だ』たじろぐ明茶。
『ふふふ。溝口マルオ(Mizoguchi Maruo)、Mの意思を継ぐ者です』
『・・・Mの意思?』
『明茶さん、まだわかりませんか。
貴方が今回の事件に導かれたのもMの意思によるものなんですよ。
“M”探偵、明茶マピ朗さん。
明茶さん、思い出してください。
イボンヌ大老殺害現場で貴方が見たものを…』
そうだ、明茶は回想する。
あのとき現場で俺は壁面に描かれたアルファベットに気が付いた。
おそらくイボンヌ大老が死ぬ間際にダイイングメッセージとして残した1文字。
それは・・・。
マルオが畳み掛ける。
『そうです、明茶さん。ようやく思い出しましたか。
ではさらにあの事件のヒントを与えましょう。
いやほとんど真相と言ってもいいかもしれません。
明茶さん、あなたのマグレは一種の超能力なんですよ。
そして・・・・僕もあなたと同じような超能力を持っているんです。
僕の能力はッ!過去の情景をその場に実在するかのごとく体験させる力ッ!
名づけて“スメルズ・ライク・ティーン・スピリット”!!
さあ行きましょうッ!過去の世界へ。
そして知るがいい、あの夜何が起こったかをッ!!
スメルズ・ライク・ティーン・スピリットッ!
時は遡るッ!!
うわああああああッ!
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気が付くと明茶は照明が消された大部屋の隅に立っていた。
こ、ここは・・・。
月の光に照らされて倒れこんだ初老の男。
それを囲む3人の男。
うち1人は虎の仮面を被っている。
「……はぁ…………ハッ…………ハぁ…… …………………ふゥ……」
「…………………………………………………………………………………どうだ?………」
「………はぁ……ハぁ………………あぁ。………終わったよ。………間違い無い。」
「…………………そうか。…………………じゃあ、手早く済ませよう……時間がない。」
「あぁ、そうだな。…………急ごう。」
『おい、ファンガツ。・・・まさか大老は死んでいないよな』
3人のうちの1人の問いかけに虎仮面が答える。
『ありとあらゆるプロレス技をかけたが、失神しているだけだ。死んではいないさ』
『いくらあの方の命令とは言え殺人はごめんだぜ』
もう一人がつぶやいた。
『俺だってそうだよ』
虎仮面が答える。
『とにかく一刻も早くここから脱出しよう』
3人は一部始終を部屋の隅から見ている明茶にまるで気づかない様子で部屋から飛び出していった。
戸惑う明茶の脳内にマルオの声が響く。
『明茶さん、これが僕の能力なんです。
3人には貴方の存在は見えていません。
貴方はあくまで過去を追体験しているだけなんですよ。
そしてこれがあの夜に起こった出来事です』
『マ、マルオ。俺はあの3人を知っている。あいつらは・・・
『そうです、6年前に犯人として出頭した挙句に取調室で毒殺されたのはこの3人です』
『いったい、どういうことなんだ!』
『彼らは真犯人に利用されたんです。
あの夜イボンヌ大老に前々から恨みを持っていた虎仮面ことファンキーガッツマンは
舎弟2人を従えて大老を急襲した。プロレス技をかけて痛めつけたファンガツは
満足して部屋を出た。イボンヌ大老はその時点ではまだ生きていたんです。
だが翌日、大老殺害のニュース報道によりファンガツたちは自分たちが死に至らしめたと思い込み
罪悪感から自首した。そしてその直後に毒殺され真相は闇に葬られた。
真犯人の手によって・・・。すべては前もって計画されていたんですよ。
ファンガツをけしかけて大老を襲わせることも含めて・・・。すべてはMの意思なんです』
『Mの意思とは一体何なんだ!』
明茶の叫びにマルオの声が響きわたる。
『この世の中にはある種の超能力を持った人間が存在する。それがMの意思です。
イボンヌ大老はそうしたMの意思を持つ人間たちを秘密裏に集めて組織化していた。
僕の叔父である溝口巡査もその一人でした。
大老がそうした能力者を使って何を成そうとしていたのかは最早わかりません。
ただ、大老が集めたMの意思を持つ人間たちの中に、大老を亡き者にしようと企てた人間がいた。
明茶の灰色の脳みそがフル回転する。
・・・大老を亡き者にしようと企てた真犯人。
そして
明茶さん、思い出してください。
大老殺害時部屋は密室状態でしたよね。
もしかしたら真犯人は僕の過去の追体験のように、
空間を自由に行き来できる能力者かもしれないですよね。
でもね、
そんな真相だったとしたら推理小説としてはインチキだってなりますよ。
繰り返しますがファンガツらの襲撃時、大老は死んでいなかった。
では大老はいったい何時死んだのか。
なぜ現場は密室だったのか。
わかりますか明茶M探偵!』
・・・・・・・むむむむ。
明茶のMの力が発動した。
そうかッ!
マルオわかったぞ。
ファンガツのプロレス技で失神していた大老はその後いったん意識を取り戻した。
そしてファンガツを操る真の黒幕の正体に気づき、
大老は力を振り絞ってまさかの時にそなえてのメッセージとして
壁に大きく1字のアルファベットを記した。
明茶は思い出した。
壁面に大きく描かれたMの文字を。
そして大老は真犯人の襲撃を回避するため自ら扉に鍵をかけたところで
再び力尽きて気を失った。
『そうです、明茶さん。再び過去の追体験をしていただく手間が省けましたよ』
大老は生きていた。
そして翌朝、大老が部屋から出てこないことに不審を感じた召使いたちは
鍵のかけられた扉を打ち破って室内に入り、床に倒れこんだ大老を発見した。
召使いたちのうちの1人が他を差し置いてすぐに大老に駆け寄った。
そしてそこであまりにも大胆かつ狡猾な犯行が行われていたのだ。
大老、大丈夫ですか!!誰より早く駆け寄ったその人物は、
その瞬間、他の誰にもわからぬ様大理石で大老の頭を殴りつけて死に至らしめたのだ。
『ふふふ明茶M探偵、その通りです』
思い出せ、事件の第一発見者は一体誰だったんだ。
海老原警部とのやり取りを思い出すんだ、明茶マピ朗!
海老原警部の言葉がよみがえる。
『…犯行現場は密室状態にあった。いつもなら朝8時には部屋を出るはずのイボンヌ大老が姿を現さなかったため不審に思った、召使たちが部屋を訪れた。扉には鍵がかかっており、呼びかけても返事はない。扉をぶち破り中に入ったところ床に倒れふした大老を見つけ慌てて、執事が最初に駆け寄ったがすでに大老は事切れていた…』
その執事の名は・・・執事の名は・・・
もっふっふっふ。もっふっふっふ。
喪服前進。
M!!
-To be Continued…
えー、すいません。
無理矢理の無理矢理で書き上げました。
恐れ入りますがアラはご勘弁ください。
出来る限りこれまでの展開を踏まえて繋げたいと思ってましたが
不十分なところもあり、ほんと申し訳ないです。
下ネタも入れたかったんですがそれも出来ずじまいですいません。
ぷれじさん、後はお願いします!!
でも楽しかったー。