個展「ラブレター」WEBバージョン(2013年4月6日制作)

作 目黒雅也



はじめに


一つ一つのイラストレーションには、意味があったり、無いつもりで描いたけれど
作者の真意がにじみ出てしまうこともあります。

個展というものは、実際に訪れてくださり、ディティールに現れる
ペンや筆の動きを感じ取っていただきながら、
ふと、観察者の思い出や感情にそっと触れるようなことがあれば
製作者として幸いです。

WEB上では、原画の出す雰囲気にはかなわないまでも、
本来のイラストレーションは、印刷や、画像でも浮き出さなければ
ならないという気持ちで発表することにしました。




「ラブレター序文」



出そうか、やめようか、ラブレター出すの。


読んでくれるかな、捨てられてしまうの
ではないか。


もしも読んでくれたとしても、気持ちが
上手く伝わるかしら。私のラブレター。


僕のへたくそな文章じゃ。

私の下手な字がばれてしまう。

もしも伝わったとしても、
ダメだったらどうしよう。
僕のラブレター。


悲しすぎるよ。
耐えられないよ。どうしよう。

でも僕の気持ちをつたえるにはこれしかない。

だって口下手だから私。

何も手につかないよ。
食事ものどをとおらないの。

なんて無力なの、私。

僕はこんなに弱いのか。

教えてください。

教えてお願い。

だれか、出したら良いのかラブレターを。

出さないほうがよいのか、誰か。

何度も何度も読み返した。

書き足したり、消したりしたわ。

でもやっぱり

ああだめだ

こんなもの出したら壊れてしまう

僕の 私の 想いが

いつまでも そう

引き出しの中に

引き出しの奥のほうへ

幾度も出たり入ったり

生き物のような

ラブレター




2013年、三月の末、西荻窪
海南チキンライスの夢飯併設の
ギャラリー「夢卵」にて、
イラストレーターを志してから
13年、初めての単独での個展を
開催しました。
そのタイトルは
「ラブレター」です。





デザインコンビ目黒雅也の作品保管庫



デザインコンビ目黒雅也の作品保管庫



デザインコンビ目黒雅也の作品保管庫



デザインコンビ目黒雅也の作品保管庫



デザインコンビ目黒雅也の作品保管庫



デザインコンビ目黒雅也の作品保管庫



デザインコンビ目黒雅也の作品保管庫



デザインコンビ目黒雅也の作品保管庫



デザインコンビ目黒雅也の作品保管庫



デザインコンビ目黒雅也の作品保管庫



デザインコンビ目黒雅也の作品保管庫



デザインコンビ目黒雅也の作品保管庫



デザインコンビ目黒雅也の作品保管庫



デザインコンビ目黒雅也の作品保管庫



デザインコンビ目黒雅也の作品保管庫



デザインコンビ目黒雅也の作品保管庫



$デザインコンビ目黒雅也の作品保管庫



$デザインコンビ目黒雅也の作品保管庫





初めて異性に手紙を書いたのは中学生の頃でした。
それはラブレターというよりも、神社に来てください。
という誘いの手紙でした。

しかし、好きです、と先に書いてしまったのです。


「好きなのですが、神社に来てください」


という風に。

だからこれはラブレターということになります。
待てど暮らせど彼女は現れず終わりました。

自分で書いたのではないけれど、
学校の先輩が書いたラブレターで、好きだという文字を
小さく沢山書いて、LOVEの形になっているというものがありました。
渡された女子が気持ちが悪いと言って見せてくれたのです。


その次はもともと友達だった女の子に、その子の好きな
ウサギちゃんグッズを沢山買い集め、
それを入れた袋にラブレターを隠しいれて彼女のうちの玄関先に
勝手においてきたこともありました。
手紙にはひとこと

「やっぱ好きだわ」

と書きました。何が「やっぱ」なのか。
結局しばらく口を聞いてもらえませんでした。


最後に展示したのはとある喫茶店で
配られているパンフレットです。
もちろん、これは私の作品ではありません。

(展示では、実物を展示しましたが、
WEBバージョンでは、それぞれの思う
ちょっと小洒落たパンフレットを思い浮かべて
ください)

昨年の十一月に、私はこの喫茶店
でコーヒーを飲みながら今回の個展のテーマを
考えました。なぜこの場所を訪れたかというと、
私の意中の人がこの喫茶店のことを
教えてくれたことがあったからです。


ここで個展のテーマを「ラブレター」ときめました。


しかしどうしても上手い言葉が浮かばないので、
どんな気持ちで彼女はここに来ていたのだろう。
と考えました。

それから毎日このパンフレットをポケットにしのばせて、
彼女に会えたときに、「ここに行ってきたよ」と言って渡すと、
その気持ちがどんな風だったのかを教えてもらうことができました。

誰でももらうことのできるパンフレットですが、
私にとっては唯一のラブレターとなりました。




(おわり)






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