北島秀一さん

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 大切な友人でもあり、先輩でもある北島秀一さんが本日1日未明の00時08分にお亡くなりになりました。朝一番にご連絡を頂いてからこの数時間、まったく頭が回っておらずまだ実感も湧きません。先ほどから多くの友人から電話がかかってきて、何だか感情が入らないまま対応してしまっている自分がいます。享年51歳。いくらなんでも早過ぎるよ。

 最後にお会いしたのは一昨々日、29日の夕方お見舞いに行った時。その時は検査などでお疲れの様子ではありましたが、冗談も言って笑ったりしていたのに。土曜に容態が悪くなった旨のご連絡を頂いて、ただただ祈ることしか出来ず。何も出来なかった自分が悔しくてなりません。


 僕がラーメンの食べ歩きを始めた時、北島さんはすでにテレビや雑誌などで情報発信をされていたプロのラーメン評論家でした。言わば雲の上の存在のような方でした。初めてお会いしたのは、2000年の夏。新横浜ラーメン博物館でのレセプションに呼ばれた時の事でした。まだ食べ歩きを始めて間もない僕のことを知って下さっていて、声を掛けて下さった時の笑顔は今も忘れられません。

 北島さんは、ラーメン評論家の中で格段に文章の上手な方でした。そして己の知見と考察をもって、自分の言葉でラーメンを語れる唯一の方でした。僕も北島さんに負けない文章を書いてやろうという気持ちで、いつも原稿に向かっていました。安易な表現や浅い考察に流されてしまいそうな時は、いつも北島さんの顔が頭に浮かびました。彼が見て唸るような文章を書いてやろう。そんな一心で文章を書いていました。


 一昨年の秋に腫瘍が出来て手術され、退院した後にお会いして、その時は「良性か悪性かは分からないけれど、腫瘍は全部取ったから」と説明を受けた時に、腫瘍を取ったのであれば良性か悪性か分からないはずがないわけで、これは悪性なのだなと思いました。そこで僕はいつもの憎まれ口で「いつ死ぬか分からないんだから、生きてるうちにたくさん文章残して下さいよ。北島秀一の書いた本が無いってのはラーメン界にとって不幸ですよ。本を書きましょう、本を」と言いました。北島さんは「書きたいねぇ。書いたことないからその時は手伝ってよ」と言っていました。

 ちょうどその頃、北島さんがずっと情報発信していた携帯ラーメンサイトのサービスが終了し、パーマネントな情報発信の場がなくなることが決まっていました。北島さんにはたくさんの文章を書き続けてもらいたい。その一心で、僕は「ラーマガ」というラーメン情報チャンネルの立ち上げを決めました。そこでコラムなどを書き溜めて頂いて、まとまったタイミングで本にまとめて出版するつもりでいました。


 入院する直前の17日夜、北島さんの家の近くのファミレスで山本さんと3人だけで1時間ほど色々なお話をすることが出来ました。8月の頭に癌の再発と余命宣告をされ、その数日後に大切なお母様がお亡くなりになって、北島さんの気持ちは想像もつかないほどに落ち込まれていたと思います。

 その時に北島さんは「正直、もう心が折れちゃったんだよね。戦う気力がなくなっちゃった」と言いました。そんな憔悴しきった北島さんを目の前にして、僕は「頑張れ」とか「負けるな」なんて無責任な言葉は言えなかった。ただ「僕らに出来ることはありますか?」と聞きました。北島さんはしばらく考えたあと、僕らにこう言いました。

「これで僕が死んだら、北島はラーメンのせいで死んだと言われてしまうだろうけれど、僕の病気とラーメンはまったく関係無いということを、僕が死んだ後に必ず伝えて欲しい。」最後の最後までラーメン愛を貫く人でありました。


 後にも先にも北島さんほどラーメンに愛を持って文章を書き続けてきた評論家はいないと思います。そして多くのラーメン屋さんに慕われ愛された評論家もいないと思います。これからも北島さんに笑われないよう、一歩でも近づけるよう、僕も頑張っていきたいと思います。

 今日の昼、北島さんが大好きだった支那そばやのラーメンを食べに新横浜ラーメン博物館に行って来ました。そこで偶然佐野実さんの奥様と娘さんにお会いしました。北島さんが亡くなる一日前に、支那そばやのスープを口に触れさせてあげたのだそう。最後に食べたラーメンが佐野さんのラーメンで本当に良かったです。


 北島さんのお別れの会は以下の予定で行われます。告別式は身内の方たちだけで執り行うそうですので、ラーメン好きの方はぜひこの日に足をお運び下さい。皆で賑やかに見送りましょう。

【お別れ会 日程】
日時:平成26年9月5日(金)18:00~19:00
   〒222-0033 横浜市港北区新横浜1-7-5
喪主:北島竜二(弟さん)
※生花・供物 葬儀に関するお問い合わせは「くらしの友 新横浜総合斎場」までお願いします。
TEL:045-472-5550 
FAX:045-472-5578

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 昨年、北島さんの食べ歩き30周年お祝いの時のツーショット。何でこの時、僕は髭生やしてたかなぁ。僕にとって北島さんは本当に大先輩だったので、結局最後まで北島さんのことを「しうさん」とは呼べなかった。

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