全くいいところが出せず焦っていた。星羅の身体能力の凄さに圧倒されてしまった。
「いくぞ!」
彼女は対角のコーナー から助走し横転とひねりを加え私にソバットをみまった。もう悶絶するほかはなかった。そんな私の腕を取るとも一度反対のコーナーに振った。そして、マットに崩れた身体を起こし水平チョップを胸に入れた。
「とどめだ!」
再び助走した。そして同様に横転とひねりを加えた。タイミングを見計らい彼女の自爆を誘った。今度は彼女が悶絶する番だった。だがさっきのソバットのダメージが残っているから私の意識はもうろうとしたままだ。でもここで反撃を加えないと。彼女はロープをつたって立ち上がろうとしていた。今だわ。私は助走で勢いをつけそのままスライディングタックを痛めた彼女の右足に仕掛けた。右足を抱えマットに倒れる込んだ。右足を狙うしかない。スピニングトーホールド。私は密かにこの技を会得していた。どう?ギブアップ?
もう一回転したら足首がちぎれちゃうわよ。いいの?でも星羅は綺麗。その苦しげな表情が。だけど馬鹿だった。攻撃の手をゆるめるとすかさず左足で私の身体を突き飛ばした。でも左は右ほど強力じゃない。何とか立ち上がった星羅に対しもろ手刈りで脚を奪った。そのまま仰向けに倒れた。そのまま今度は彼女の左脚を捉え足四の字固めを極めた。
両手で顔を覆っていた。相当苦しのね。オペラの舞台でチュチュのスカートを穿いたときだった。正直鏡に写した自分を見て脚やせしなければと思った。でも、足四の字固めでは違った。この太さ故絶対に解けなかった。顔色がかなり青ざめていた。レフリーはゴングを要請した。いわゆるレフェリーストップってやつ。

控室に戻ると星羅がいた。手にはショーツが。黒のレース。同性でもそそられる。そう、彼女がこれを身に着けていると思うと。
「もし、次の対戦があればこれを穿いて来てね。」
「もちろん!でも、返り討ちにしちゃうから。もう一つ奪ってあげる。」
軽口のつもりだった。でも、彼女の目には涙が溜まっていた。
「悔しいのね」
彼女を抱き寄せた。私の肩に頬をあて、泣き出した。羽織ったラッシュガードにみるみる彼女の涙が滲む。
「キスしなきゃよかった。唇を重ねたあまり、貴女にのまれたわ。綺麗だった。心を奪われては勝てないわね。」
「星羅、綺麗よ。ぎらぎらしているときも素敵だけど、こうやっているのも。」
「お願い!」
彼女は、羽織っていたラッシュガードを脱いだ。そうして全裸の姿を露にした。それを見、身に着けているものすべきですを脱ぎ、同様にした。互いに抱きしめ合い肌の感触を確かめた。もう言葉なんていらない。分かっていた。美を競い、プライドをかけて健闘したのを。美しく闘え、昇華できたことも。
(完)
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