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++  エピソード日本史 ~人物で繋ぐ日本の歴史~ 
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.010━2007.01.11━…‥*



 ◆◇ 神功皇后 《ジングウ・コウゴウ》

 三韓征伐伝説の中心人物。14代天皇・仲哀の皇后とされる。
 仲哀天皇が熊襲を討つ為に九州に赴いて筑紫の橿日宮で急死すると、
 妊娠中にも関わらず、武内宿禰と共に海を渡り新羅の都城に攻め込み、
 国王を降伏させたというが…

 《*三韓征伐:サンカン征伐》
 《*熊襲:クマソ(当時の九州地方の部族など)》
 《*橿日宮:カシヒ(の)ミヤ》
 《*新羅:シラギ(古代朝鮮の一国)》


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■ 日本神話のジャンヌダルク、神功皇后
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クマソ平定に向かう仲哀天皇と神功皇后は筑紫に着いた時、
神の神託を受ける為、天皇が琴を弾きます。
そして時の大臣・武内宿禰が庭に立ってお告げを請うと、
神功皇后が神懸り始めます。

「西の方に宝の国(=新羅)がある。これを与えよう」

すると、仲哀天皇は不服そうにこのお告げを信じずに、
「西のほうを見ましたが、海しか見えませんが…」と口答えします。
そして、ついには琴を止めてしまうのです。

慌てて武内宿禰が天皇をなだめて、天皇はしぶしぶ琴を弾き始めますが、
かなりいい加減に弾いているのです。

そして、ぷっつりと音が聞こえなくなったかと思うと、
仲哀天皇は息絶えていたというのです。


突如、最高司令官を失ってしまったのです。
しかし、この後を神功皇后自ら指揮を執ることになります。

そして、着々と準備を進め、新羅へを軍を進めます。


この時に、神功皇后は産気づいてしまいます。
実は、皇后は仲哀天皇の子を身篭っていたのです。
さすがに産気づいたまま、指揮を執ることは出来ません。
しかし、ここで神功皇后は驚くべき行動に出ます。

なんと腰に石をくくりつけ、呪いをかけ、出産を遅らせたのです。

こうして、新羅に到達した神功皇后軍は、新羅の国王を屈服させ、
その勢いで、百済《クダラ》、高句麗《コウクリ》を攻略し、
朝鮮半島を支配下に置いたというのです。

そして戻ってくると、遅らせていた出産を迎え、無事子供を生むのです。


これが神功皇后の三韓征伐伝説です。


日本書紀には、丁度3世紀ごろのお話と記されています。
3世紀ごろといえば、女王・卑弥呼が浮かびますが、
どうも日本書紀の作者は、卑弥呼は神功皇后だと暗示しているのです。

しかし、卑弥呼の時代、日本は倭国大乱の時代で、
いくら強大な力を持っていたとしても、
朝鮮出兵が出来たかというのは、かなり疑問が残ります。

しかし、もしこの出来事が100年後位の4世紀ごろだとすると、
一概に否定できなくなるそうです。


現在でも中国吉林省に残る高句麗広開土王碑文に、
倭国が侵攻してきた事を記しているのです。
この頃であれば、大和王朝の原型などが出来始めているはずなので、
確かに、侵攻出来た可能性は否定できませんね。

《*広開土王碑文:コウカイド王碑文》

ただ、その時に神功皇后がいたかどうか?になると、
またしても疑問が残ってしまいます。


その為、現在、三韓征伐神話は、史実とは考えられていません。
神功皇后自体の存在が否定されているのではどうしようもないですからね。



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さて、この三韓征伐の最中におなかの中にいた子が、
どうも一寸法師と似ているという話があります。

実は、仲哀天皇が死んでしまった後、神功皇后は別の神託も受けています。
「国はおなかの子が治めるだろう」と。

この神の神託により、国を治めるといわれた人物。
後に倭の五王の一人とも呼ばれ、
神話と歴史を繋ぐ役割を担う重要な人物です。
彼を応神天皇と呼びます。



┏━◇ 次回の予告 ◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

  住吉のご加護で生まれた一寸法師と応神天皇

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━━[編集後記]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今回の神功皇后は、架空の人物と言われています。
皇后が超人的過ぎるという点が大きい理由の一つでしょう。
しかし、仮に神功皇后が架空の人物だとしても、
日本にはアマテラス、神功皇后、そして邪馬台国の卑弥呼と
女帝らしき存在がいる点は見逃せないと思っています。
外国のおとぎ話なら、男性であるはずの部分が、あえて女性。
日本は男尊女卑の国だという方が多いのですが、
こういった伝説などを知ると、むしろ女性信仰があったのではないか?
と感じてしまいますが、どうでしょうか。
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 ◆ 発行者 :yatarou
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