【個人事業を会社にするメリットデメリット】全10回
の今回は、第4回目です。
前回は儲けた利益にかかってくる税金の個人事業者と会社の違いについて書きました。
今回はもう一つ大事な税金を見ていきます。
「消費税」
私たちにとって、商売抜きにして消費者の立場でも、すごく身近な税金ですよね。個人事業者であっても会社であっても、消費税の確定申告をして納税する必要があります。
では個人事業者と会社、「消費税」についてはどっちがソントク?ってお話です。
まず簡単に消費税の仕組みについて説明します。
例えば、私がスーパーで 105円(税込)の ボールペンを買ったとします。この5円は消費税であって、国に納税してるんだ!って消費者の立場では思いますよね。
でもその時点でその5円はそのスーパーのレジの中にあります。スーパーが消費税を預っている状態なんですね。
その預かった消費税を、そのスーパーが1年に1回、
これだけ売上があったからこれだけ消費税預かってます。だからこの1年間で預かったこれだけの消費税を納税します
っていう「消費税の確定申告」をして納税してるんです。
みなさんは今このスーパーの立場です。
さて、個人事業と会社で「消費税」何か違いがありそうですか?
売り上げたお客さんから預かった消費税を、そのまま(実際は控除などあるけどここでは割愛)納めるだけ、というシンプルな消費税のシステムの世界にでは、個人事業者と会社では違いなんて全くない、違いを設けようもないのです。
では何故 個人事業者を会社にするメリット・デメリットの中で消費税を取り上げたかと言えば、それにはきちんと理由があります。
上に書いた「預かった消費税をお客さんに代わって1年間の預り消費税の合計をまとめて支払うというシステム」はおさえていただいた上で、
お客さんから預かった消費税を国に納付せず、そのまま自分(自社)のお金としてしまうことができる場合があるんです。
少し回りくどいですね、、ご存知の方も多いと思いますが、
それは「2年前の売上が、1000万円以下の場合」です。(最近では1000万円以下であっても納税義務があるケースもありますがここでは割愛)
2年前の売上が1000万円以下であれば、今年の売上に対する消費税は申告納税しなくてもいいんです。堂々と法律でそう決まってるんですね。
もちろんお店にある値札やメニュー表に消費税込の表示をしても全然構いません。お客さんは消費税を支払ったっていう意識はあっても「2年前の売上が1000万円以下のお店」で買った場合は、それは国に届かず、そのお店のお金になってしまうってことです。
このとき一つ疑問がでてきます。
2年前ってまだ商売はじめてなかった、、、サラリーマンだった。
その場合は2年前の売上をゼロとして見ればいいんです。サラリーマン時代の年収が1000万円以上であってもゼロと考えます。
これは個人事業者の場合の話。
では会社の場合はと言えば、実は基本的に同じです。
設立初年度の2年前はまだ会社自体が存在してない、つまり売上自体ゼロなので設立から2年間は消費税を納めなくたっていいんです。
ただし会社の場合は一つ「条件」があります。
それは、資本金が1000万円未満であることです。
資本金が1000万円以上であれば設立初年度からお客様から預かった消費税を原則どおり納めなければいけません。
はい、そうです。
会社を設立する場合、資本金を1000万以上にするか、未満とするかでこの消費税という税金を納める金額、2年間ものすごく変わってきます。
資本金の額に特にこだわりがないのなら、会社を設立するなら1000万円未満で設立すると消費税の面でものすごくおトクなんです。
で、ここでピーンとこられた方は正解です。例えばこんな方法もアリなんです。
最初は個人事業で商売をはじめて、2年前の売上が1000万円を超えた時点、つまりお客さんから預かった消費税を国に納める「義務が発生した時点」で、資本金1000万円未満の会社をつくってしまう。
そうすることで消費税の納税義務がさらに2年後回しにすることができるんです。
ある程度利益が出るまでは個人事業で、そして軌道にのってきたら会社を作って、、というイメージを持たれている方については、すごく追い風な消費税のシステムですよね。
このシステムを利用して、個人事業2年→会社2年→別会社作って2年→また別会社→・・・を繰り返し、消費税の納税義務を逃れている方は実は結構多く、、
それを規制する法律も最近できてしまいました。それについては今回はご説明しませんが、うまく会社の設立を利用することで、あくまで合法的に驚異的な消費税の節税が可能であるのは今も事実です。
まとめますと、
消費税の納税システムや計算方法は、個人事業と会社ではまったく変わらない。
けど、小規模な事業者は消費税を納めなくてもいいという法律上のルールを上手く利用すること、つまり、個人事業と会社の形態をベストなタイミングで切り替えることで大きな節税が可能になる。
というお話でした。