私の備忘録(読書・映画・TV)

日々接した情報の保管場所として・・・・


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You Can Fly-ナイフ


「ナイフ」 重松 清


「ワニとハブとひょうたん池で」
中二で突然クラス全員からハブ(村八分の略)られたミキ。原因は判らないが、サエコが画策してクラスをまとめ上げ、それは突然始まった。
ちょうどその頃、家の近所のひょうたん池にワニが居るという騒動が起きていた。延々と続くイジメ。

ある日この事が教師の耳に入った。ミキは何も言っていないが誰かがチクったのだ。更に責められるミキ。
その夜、ワニが居るという池に立ち寄り、ワニにエサを投げているおばさんに出会う。亭主の爪や毛を混ぜ込んだ肉で味を覚えさせて、いつかワニに亭主を食ってもらうのだという。亭主は浮気をしているのだと言う。
延々と続くハブの末に、例の密告をした者が判った(ホナミ)。


ナイフ
中学二年の真司。両親は学校でのイジメの形跡を見つけるが父親は詳細を知ろうとする妻を止める。父親も背が低く多少のコンプレックスを持ちながら中学時代を過ごした過去があった。
心配のあまり担任教師に相談に行った妻は、逆に部活で下級生にシゴきを入れる真司の行動を告げられる。
会社の帰りに露店で買った貧弱な折り畳み式のサバイバル・ナイフ。
ナイフをポケットに仕込んでいるだけで微妙に意識を強く持てる自分を感じる。
真司は駅前でたむろするバイクの不良グループからも脅迫を受けていた。その連中が真司を暴行した話を聞いてしまう。彼らに向かって行く父親。ポケットのナイフを握り、精一杯立ち向かうが、軽くいなされてしまう。去って行く不良たち。
家に戻り真司に「自分が守ってやる」と宣言し、これを持って学校に付いて行くと言ってナイフの刃を出そうとするが、自分の指を傷つけてしまう。
少しの間笑った後、声を上げて泣く真司。


キャッチボール日和
高校野球のチームメイト。お互い就職、結婚の後偶然公団住宅の住人として再会。その当時彼らを熱狂させた早実の荒木大輔。息子が出来たら大輔と名付けると言われて生まれて来た小川大輔、方やもう一方は娘の内藤好美。
好美の父はその後亡くなるが、大輔の家族とは交流が続いた。
そして好美が中三の夏。二学期が始まってから大輔の不登校が始まる。大輔はクラスメイトから辛らつなイジメを受けていた。幼なじみの好美は関わる恐ろしさから傍観者の位置付け。イジメを認めたくない大輔の父。
大輔の父は好美の父親的存在であり、幼少の頃はキャッチボールなどをして遊んでもらっていた。方や運動神経のまるでない大輔。
9月の末に大輔の父が息子を連れて学校に乗り込む。前夜にクラスメイトのだれかがいたずら電話をしていた。犯人をつるし上げようとする父親。

限界に達する大輔。
「やめて、おじさん!」と好美が叫んだ瞬間、大輔は嘔吐する。

呆然とする父親。
結局大輔は祖父母の家がある長野へ転校する事になった。
転校最後の日、好美は大輔親子のために粋なはからいをする。


エビス君
小六の相原ひろし少年。妹が重病になり、病院へ見舞いの毎日。そんな夏休み明けの二学期に戎(えびす)君が転校して来る。
先生から仲良くするようにと頼まれて関わろうとするが、それを逆手に取られてしつこいいじめを受ける様になる。体格の良いエビス君。
相原はクラスでも「ガンジー」と呼ばれるほど争いの嫌いな子供であり、相当ないじめを受けても我慢していた。それを見て歯がゆく思う浜ちゃん。
毎日妹の見舞いに行くひろし。話のネタにエビス君の話をする。エベっさんは縁起がいいという話から、いつか会わせてやると安請け合いしてしまう。
その後も延々と続くエビス君のイジメ。
妹の容態が悪化し、妹はエビス君に会いたいとうわごとの様に言う。
翌日の朝、クラスの女子から、日頃のふがいなさについてつるし上げられ、その時のトラブルで学校を飛び出すひろし。エビス君に見つかり追いかけられ、もみ合ううちに絶妙のカウンターパンチがエビス君の顔面に。
学校に戻れずとぼとぼ歩くひろしの後を付いて歩くエビス君。
ひろしは全てを話す。自分の事を「哀れやなあ」と自虐するひろしにエビス君のビンタ。
さっさと歩き出すエビス君「道、どう行くんだよ。教えろよ」。


ビタースィート・ホーム
子供二人を持つ家族。長女の奈帆は小四。担任の女性教師は指導熱心で、生徒の日記を提出させて添削する毎日。奈帆の書く日記の内容があった事の羅列のみのため、教師は毎回それを指摘し、母親のストレスが溜まっていた。母親も教師だったが、子育てのために退職した経緯があった。
教師は給食を食べられない子供にも厳しくしつけをしていた。同級の母親たちから情報を集めて抗議の準備をする母親。
ある日、給食の時間におかずを無理に食べさせられていた女子が倒れる事件が起きる。
結局教師は退職することになりそう。
奈帆の日記の原因はクラスで流行している「白魔術」だった(願いが叶うまで本当の気持ちを字に書いてはいけない)。



彼の本をまず最初に読んだのがこれだった。
実は、すごく印象が強くて彼の小説を続けて読むきっかけになった筈なんだけど、悲しいかなその内容をほとんど忘れていた。
今回、久しぶりにダンボール箱から引張り出して再読した。
一言で括ればテーマは「いじめ」。1990年代から表面化し始めたこの現象について、徹底した当事者目線でていねいに追っていく。自分自身もかつて被害者側だったり、加害者側だったりしたエピソードをフッと思い出しては少しハートがつねられる様な感じ。
特に印象が強かったのが「エビスくん」。
転校して来た者にやさしくしようと思ったら、ドツボにはまってイジメの標的にされてしまう。子供というのはいつの世も残酷なもの。
ただ、ひろしの病気の妹の願いを叶えるために一肌脱ぐエビスくんが一瞬輝く。


圧倒的な読みやすさが彼の強みなのか弱みなのか…まあいいか。


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