観るべき映画です。
監督 クリント・イーストウッド
キャスト
チェズレイ・サレンバーガー トム・ハンクス
ジェフ・スカイルズ アーロン・エッカート
ローリー・サレンバーガー ローラ・リニー
予告編
https://www.youtube.com/watch?v=4Ctk1tZa320
感想
映画で涙を流したのは、相当久しぶり(機長が述べた最後のコメントでやられた)。
与えられた危機、計算するヒマなどない状況で決断し、実行した結果を、調査官が執拗に調べ上げる。追い詰められる中で示した「人的要因」の35秒。
この辺のロジックの追い込み方が素晴らしい。
事実としては、このサレンバーガー氏が罪に問われたなどという事はなく、左エンジンは電源供給程度の出力しか出せない状態で、最初から帰港は無理だったとの事。ただしそこに至るまでの、プロセスとしてのシミュレーションは確かに行われており、機長のストレスも多くあったのだろう。
トム・ハンクス、アーロン・エッカートとも、抑制した演技で非常に好感が持てた。
特にアーロン・エッカートはバットマンの時の検事(悪役)、幸せのレシピでの主役に絡む役(ニック)と、結構アクの強い役者というイメージだったが、今回は徹底して普通の人を演じ、それがいかに普通でないか、という事なのだろう。
飛行機、公聴会というキーワードで「アビエイター」を思い出した。もう11年も経つのね・・・・
原題の「SULLY(サリー)」はサレンバーガー機長のニックネーム。邦題がベタすぎるのは、まあしゃーないか。
あらすじ
事故の経緯は実話通り(世界仰天ニュース)。
管制室では1549便に近くの空港へ着陸するための情報を出すが、返事は「ハドゾン川に降りる」。
事故直後から機長の飲酒、精神状態に関する確認を進める空港関係者。
NTSB(国家運輸安全委員会)に呼び出されるサレンバーガーとスカイルズ。NTSB側の情報では、左エンジンは完全に死んでおらず、その低下した推力でも、コンピューターによるシミュレーションでは最寄りの空港に降りる事が可能だと指摘。
サレンバーガーの行為を、乗客に死の危険を負わせたものだと言った。保険会社も事態の動向を注視。
包囲網がだんだん狭められて行く中で、サレンバーガーは、次第に最悪の状況まで覚悟する。業務外でコンサルタント会社を立ち上げ、また不動産売却も思うように進んでいない。
そんな中、事件をレポートするコメンテーターの話す「全てのタイミングが合ってこの救出劇が起きた」との話に「タイミング・・・」と呟く。
2日後に行われるNTSBの公聴会の場で、実際のパイロットを使った事故のシミュレーションも同時中継出来るよう、関係者である友人に依頼するサレンバーガー。
公聴会当日。出廷するサレンバーガーとスカイルズ。サレンバーガーの希望により披露されるシミュレーション。
コンピューター同様、パイロットによるシミュレーションでも帰港が可能だった。
その結果についてサレンバーガーは、シミュレーションには「人的要因」が考慮されていないと指摘。
そのパイロットは事故の内容を既に知っており、何をどうすればどうなる、という事も承知している。
自分たちが直面したのは全く前例の無い事故。
トライした事とその結果、全ての事象を繋ぐタイミングとしての所要時間が全く考慮されていないのはおかしい。
その声を受け、NTSB側は人的要因として35秒を考慮し、再度シミュレーションを行った。
その結果、機体は空港の手前で墜落した。
サレンバーガーが、このシミュレーションは何回行われたかを聞くと、担当官は17回行っていたと答えた。
そこで公聴会は一時中断。
しばらくして再開された公聴会。
事故当時の機内の会話が再生される。
再生が終わってから話される委員会の見解。
この事故が人的損害なく済むための要因「X」にはサレンバーガー機長が必須だった。
それに答える機長。この事件に関わった副長、客室乗務員、救助してくれた人、また全ての関わった人たちの力で1人の犠牲者もなく助かることが出来た。
最後に副機長のスカイルズにコメントを求める担当官。
もう一度この経験をするとしたら?
「今度は1月でなく7月がいい」。場内に笑いが起きる。