「あ・うん」 向田邦子 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)


You Can Fly-AUN

 

「あ・うん」 向田邦子

 

百年読書会
6月のお題「あ・うん」向田邦子

 

1980年のNHK「ドラマ人間模様」で放映された脚本。
指定では「小説版」との事だったが、入手出来ずに脚本版で代用。

舞台は昭和12年代の、ある2組の家族を描いたホームドラマ。
門倉と水田は戦地を共に戦った中で、復員してからも濃い親交を続けている。
経済的には門倉が群を抜いて豊かであり、常に水田がおごられる関係となっている。


この中で門倉は水田の妻を以前から好いており、微妙な力関係でドラマが進展して行く。

ドラマでの配役は門倉:杉浦直樹、水田:フランキー堺という組合わせ。
確かこのドラマ、リアルタイムで観た記憶がある。

杉浦は嫌いだが、この脚本を読んでいると、彼の小心で中途半端なイヤらしさがありありと浮かんで来て、全くこの向田邦子の力量には驚く。というより、彼の印象ズバリの脚本が書けるという事は、逆に彼が脚本によって作られた人間であるとも言える。

 

妊娠していた水田の妻のお腹の子を欲しいと言う門倉。今までの付き合いを感じて了解してしまう水田。

結局子供は流れるが、医者を見送って2人並んで座っている姿を見て、水田の父が「こま犬だな」とつぶやく。寺の境内にいる阿形(あぎょう)と吽形(うんぎょう)の対の狛犬。


http://www.yumemusubi.com/mori/knowledge/komainu.htm

 

どうしようもなくベタベタした男同士の濃いつきあい。「百年読書会」ではけっこう高く評価している様だが、自分としては「まっぴらごめん」。


以下は投稿内容(これじゃあ、採用されんわな)

 


本回の指定では「小説版」との事だったが、どうしても入手できず脚本版として読んだ。
よって配役の門倉:杉浦直樹、水田:フランキー堺のイメージを感じながら、この面子ならありそうな話だな、と妙に納得。
門倉は、「たみ」に恋愛感情を持っていたが、彼女が水田と結婚した後は友人の妻に対するつきあいに甘んじている。
ただ、そのプラトニックな感情の一方で二号を囲っている。
富める門倉が進んでおごり、水田は常に引け目を感じながらも相手が望んでいる事だからと、自らを騙してそれを受ける。
金持ちに貧乏人がたかる話よりもタチが悪く、そういう意味ではエセ美談としての絶妙なうさんくささを表現出来ている。
あ・うん と言いながらも微妙にすれ違うお互いの感情。男たちの思い入れの強さに対して、ある部分ドライに応対する妻たち。
「こんな話、ないよなー」と思いながらもスイスイと最後まで読ませてしまうのは、脚本としての完成度の高さか。
ただ、こんな親友が居たらまっぴら御免こうむる。門倉も、水田も。

ペンネーム  ヤシマ