「剣の天地(上、下)」池波正太郎 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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戦国時代。上杉、武田、北条の三代勢力がせめぎあう上州。
新陰流の始祖として「剣聖」と言われた上泉伊勢守信綱の半生を描く長編。

 

時代背景がある程度判っていないとやや厳しい感じではあるが、まあ読み物として面白いので特に気にする事もない。
まず最初に伊勢守の剣術の弟子だった「於富」とのやりとり。
於富は小幡図書之介に嫁ぐ前に伊勢守と結ばれ、数回の交渉を経て妊娠。そのまま嫁して行った。師匠と弟子との関係で次第に想いが募り、愛の形として行動を起こした。後半で「戦国時代の覚悟」という説明で括られていたが、これはいくら何でも「翔びすぎ」かなー。
伊勢守が主役なのだけど、上州の覇権争いが次第に変化して行く中で、その流れに翻弄された地方城主の生き様が活き活きと描かれている。
於富(長野業政の次女:富姫)の劇的な生涯も同列に描かれ、ドラマとして非常に面白い。