「半パン・デイズ」 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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hanpan

 

東京から、父のふるさとである瀬戸内海沿岸の街に引っ越して来たぼく(ヒロシ)の小学1年から6年までの暮らしを描いたもの。
自分も小2で引越しを経験しているので、この作者が言っている「一人の少年が、よそ者として移り住んだ街をふるさとにしていく物語」という部分にそのまま共感してしまい、かなり厚い本だったが一気に読んでしまった。

 

「ぼく」という1人称で書かれており知識・情報水準はその時期のものだが、思考・文章表現はオトナのもの。読んでいて時々違和感を感じたが、少年時代を振り返るものを書く場合、思考まで当時に合わせていたら「児童書」になってしまうし、これはもう、どうしようもない。多分作者はそこまで見切った上で意識してそうしているのだろう。

 

万引きの話、女友達の話。それに何より、よそ者がそこに溶け込むためのハードルの越え方。自分にも思い返せば「ギャッ」と叫びたくなる様なエピソードはヤマほどある。確かにそいつらを集めれば誰でも一冊の小説は書ける、そんな気にさせる本。でもこんなにはウマく書けんよなー。