「臓器農場」 帚木蓬生 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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zoki

 

短大の看護学科を卒業し、近くに出来た総合病院「聖礼病院」に就職した天岸規子。新任看護婦の目が廻るほどの忙しさ。聖礼病院は臓器移植に関して有数の実績を誇っていたが、そんな中で規子はある妊婦の事を知る。
「無脳症児」と判っていて妊娠を継続し、出産しようとしている女の存在。
先端医療の陰でうごめく暗い陰謀…・・

 

実は相当ぶ厚かったので、出張時の時間つぶしにはキツいなーと思っていたが、丁度1泊の出張が入り、一応完読出来た。

作者自身が精神科医である事もあり、規子を始めとした病院に勤務する人たちが活き活きと描かれている。
無脳症児の事を的場に話し、彼は調べを進めるうちに深入りしすぎて不慮の死を遂げる。またこの秘密を知っていた同僚の優子も自殺。いずれも秘密を明かされないために仕組まれた殺人。
ただこの辺りの構築、たたみかけ方は、松本清張には及ばない(まあ較べるのが酷か)。

しかし、妊娠初期にビタミンAを過剰服用した婦人から無脳症児が生まれる、という社会問題からこのプロットを考え付いたところは斬新。

 

女性にとって子供を作るという事は様々な我慢を強いるものではありますが、これも「一大事業」と考えて、出来うる限り良い環境で誕生させてやりたいものです。