介護職、そして誰もいなくなった | グレースケアのとんち介護教室

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介護職の募集に、希望者殺到! 倍率20倍の難関!


うらやましい。ありえない。

フィリピンの日本人退職者村での求人の話。日本行きも念頭におく。

(NHK『フィリピン介護士がやってくる』3日教育)


対して、私の勤務先界隈。スタッフ不足でいつもシフトに頭を悩ませ、そしてあーまた退職者、残ったスタッフはさらに厳しくなるお仕事、そしてあーまた退職者、の悪循環。連続夜勤に身体もココロもボロボロ…


職安に福祉人材センターに専門学校に折込チラシにホームの壁に近所のスーパーに口コミにスタッフの親兄弟姉妹親戚に辞めたスタッフにもう一度と次々当たり、頭を下げて迎える金の卵(むかし工場いま特養。でもあんまり金にはかえらない)。


2003年の介護の求職者20万6千人が、2年間で3割も減ったとか。介護施設は増えているのに、これだけ担い手が減ったらまわらないのは明らか。都内に加えて中京圏や神奈川、阪神など、景気が回復して、他に好条件の職場のある地域では特にキビシイ。


フィリピンの取材では、特養の施設長の視察に同行して、2つの介護士学校に行く。


最初に訪ねたのは、日本語クラス。日本に行きたいですか?の問いに、「はい、もちろん!」と屈託なく応える生徒たち。併設のホスピスでは90歳のおじいさんを7、8人がかりで介助する場面。「人海戦術」だね、と施設長。これは取材用に、施設のアピールで人材豊富な気がするが、その後の面談で「夜勤は20人にスタッフ1人」と日本の実態を聞かされ、ギョッとしながら「ベリーエキサイティング!」と叫ぶところをみると、現場の介護職の配置はもっと多くてフツーと思われているのかもしれない。(確かにエキサイティングだわよ、毎晩。ホームは9人に1人だけど)


次に訪ねたのは、フィリピンでも1、2を争う評価という介護士学校。そこのクラスで行きたい国を聞くと、カナダ、イスラエル、カナダ、カナダ、米国、カナダ、イギリス、イスラエル、カナダ、カナダ、中国、カナダ…。20数人聞いて、日本はたったの一人だけ。いわく条件が厳しすぎて不人気。「学歴じゃなく介護士としての技術やお年寄りを思いやる気持ちを評価して欲しい」。ごもっとも。


肩を落とし「政治の責任ですね」という施設長。日本語クラスでは強気だったのに…。


<求人案内>

特養 日本ホーム

・四年制大学卒に限る ・さらに6ヶ月の介護士学校卒 ・日本語能力要

・4年以内に日本で介護福祉士取得(試験はモチ日本語)、できなければ帰国のこと。

・交通至便。飛行機で4時間


有老 カナダビレッジ

・2年間介護士として働けば永住権さしあげます

・英語で働けます


番組の情報からはこんなカンジ。

これ日本ホームの条件をもっとよくしないと、スタッフこない。他に流れるのは当然。


冒頭の退職者村介護職は、フィリピン内での人気が濃厚。あと、日本クラスというのも、もっと大胆な労働市場開放を当て込んでフィリピンで開講相次いでいるものの、現状ではそのうち失望が広がるのではないか?(日本に来るより、フィリピンに移住する日本人の介護に応える?)


経済連携協定、看護師もセットになっており、あまり大量に来られても困る、日本人の労働条件まで落ちかねないしっつう業界団体の思惑がらみで、ハードルが高くなっている。(他方、「准介護福祉士」の創設など、怪しい抜け道をつくる動きも)。


でも、現場的には、もうヘトヘト。やりきれない。介護の質も下がる。何より利用者にしわ寄せが。フィリピーナのあの自然にあふれ出るような心からの笑顔、ニッポンジンもう出ませんネー。


とにかく早く好条件での採用をすすめて欲しい。日本ホームの施設長どの…。誰だ?


つづく。

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