シリーズ「この職種・部署ってなにやるの?」 法務部①(管理部門)

2005年09月20日
テーマ:職種・部署

今日は法務部」です。
 
 法務部を書くにあたり、実はちょっと悩みました。法務部というのは総務部と兄弟部署で、しかも法務部として独立するのは会社がかなり大きくなってからです。

 でも総務部ではあまり専門性に富んだことは書きたくないので、ここでは法務と明確に区分けすることにします。実際には総務部の業務の一部であるというイメージで読んでください。その方が実態に即していますので。
 
 法務部のドメインは「法務に関する業務と会社周知」です。詳細は以下のとおり。

 

 ①契約交渉・契約書作成・審査
 ②各種法令の調査
 ③工業所有権に関する事項・弁理士対応
 ④訴訟に関する事項・弁護士対応
 ⑤社内規程の総括・作成指導
 

 ということがメインでしょうか?

「商業登記手続・司法書士対応」なんていうのも業務としてはあるかもしれませんが、これはルーチンワークではないし、総務部がやっていることも多いので割愛します。

 この辺りの業務の詳しい説明は、いずれ別ブログにして展開するつもり(あくまで予定)。
 
  法務部の業務というのは、当然ですが法律知識が基盤になっています。法律を扱う部署であるがゆえ、お堅いイメージがあると思います。まあそれは間違ってはいないけど。

 実は僕も以前、上場会社の法務部に在籍していたことがあります。もともと法律の素養がなく(理系出身なんです)、でも業務は淡々とこなす必要があり、非常に困った経験があります。でもいまでは、そのころ

体得した拙い法務知識が活きているんだから、人生何がキッカケになるか判りません。

 

 このシリーズでは法務部の業務の詳しい説明はしません。やってもあまり意味がないしね。僕は法務部配属の適性という観点で書いていきたいと思います。

 

 法務部は確かに堅い、これは事実です。しかし経理部や人事部のような堅さとは次元が異なります。経理部や人事部では、決まりだからダメ!っていう文句がまかり通るし、またそうしないとやっていけないということを書きました。

 でも法務部はどちらかというと、合法的ルール違反が出来るヒトが望ましい。少なくとも僕はそう思ってます。合法的ルール違反については「こちら 」をご参照のほど。


 法律というのは文言ですから、ヒトや立場によって解釈が異なってきます。だから六法全書を見ると、各法律条文に「判例」が記載されてます。一つの法律に関して過去、裁判所はどのように解釈して判決を下したか?という記録です。判例には色んなものがあります。なかにはどうみても反対解釈じゃないか?なんていうものもあります。これだけ見ても法律というのは、杓子定規では収まらない代物といえます。
 

 よく、裁判の判決なんかがテレビに映し出されて、「逆転勝訴!逆転勝訴!」なんて言いながら、墨字で『逆転勝訴』って書いた白地の布を両手に持った人が走りながらテレビカメラの前で連呼する光景が流れることがありますが、あれなんかはまさに一つの法律に関する解釈が、例えば地方裁判所と最高裁判所
でひっくり返った実例です。
 訴訟という特殊な環境では、まさに勝つか敗けるかということに関して原告・被告両者が人生をかけて争いますので弁護士というプロを雇って戦います。裁判官も法律のプロ。それでも見解が割れることがある。これは非常に重要です。


 法務部、つまり企業法務に携わる人間というのは、弁護士や裁判官のようなプロである必要はありません。あくまで会社の従業員なので。従業員の必要条件は、会社の利益に貢献することでしたよね? つまり法律というツールを利用して、会社にできるだけ有利になるように導くことが重要です。そこには自分の会社がどのような商品を扱っており、どのような市場優位性があって、どのような組織体で、どのような人々が従事しているのかを理解することが必須です。


会社には顧問弁護士がついている場合がありますが、弁護士の役割は基本的には、


  「これは法的にはうまくない」 「これは違法です」


といった限界線を会社に教えること。弁護士はあくまでも社外の人間だし、法律をメシのタネにしている方たちなので、これは仕方ない。

 問題は法務部の人間がいかにそれを社内事情に翻訳して落としこめるか?ということになります。つまり、「法律を犯さないレベルで、ご都合解釈をする」というバランス感覚です。これには社内コミュニケーション能力や人脈も必要になってきます。法律だけ振りかざしていたらいいという訳では決してない。

 

 会社は色々な戦略を持って成長を遂げようとしています。まさに「法人」という生き物。新たな分野や市場に進出しようとすれば当然既存勢力やまた規制といったしがらみに神経を使うことになります。でも会社としては進出したい。この時、企業法務に携わる人たちの真の腕が問われるんです。
 弁護士と同じになって、それはダメ!それはうまくない!・・・なんて言ってるとすれば、じゃあお前は会社を辞めて弁護士になれと言われるのがオチ。会社が求める法務部はそんなことではありません。どうやったら上手に切り抜けられるのか?もしくは何か言われた時に抗弁できるのか?を提示しなくてはなりません。

 これには何度も言うように、法律体系全般が判っているのが必要だけども、それ以上に会社の裏表が判っている必要もあります。
 
 実はこれは弁護士仕事より難しいんです。弁護士に限らず、税理士や公認会計士なんかもそうですが、外部から問題点を指摘するのはある意味簡単。でも、その問題点をクリアにするために会社の構造を変えていく、しかも成長を阻害しないようにという条件付で行うのは非常に大変だし、泥臭い仕事です。
 

 法務部の仕事は、弁護士なんかと一緒になってバリバリ出来るんだと思っている人がいたら、それは大きな間違い。実際は管理部門の一員。地味で裏方的な業務の方が圧倒的です。

 


次回へ続く。

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