平成廿八年水無月 |  鉄屑詩集 -Junk Poems-

 鉄屑詩集 -Junk Poems-

   俳句とは、人間の真のブルーソングである。(by ジャック・ケルアック)

雨粒落ち続く空襲の日

紫陽花の満開ひとり見ている

見晴るかす水田にさざ波

籠の兜虫足掻く雨夜

月隠れ小さな蜘蛛逃がす

雨やんで黄昏て夏の虫

悪夢覚め月の膿んでいる

月が出た出た壁にゴキブリ

音たてて月下甲虫翔ぶ

落ちゆく太陽に睡蓮閉じる

炎天に砂色の飛蝗跳ねる

作業機械の音のなか汗汗汗