平成廿八年水無月雨粒落ち続く空襲の日紫陽花の満開ひとり見ている見晴るかす水田にさざ波籠の兜虫足掻く雨夜月隠れ小さな蜘蛛逃がす雨やんで黄昏て夏の虫悪夢覚め月の膿んでいる月が出た出た壁にゴキブリ音たてて月下甲虫翔ぶ落ちゆく太陽に睡蓮閉じる炎天に砂色の飛蝗跳ねる作業機械の音のなか汗汗汗