自分の幸、不幸を人まかせにしない。 | SC神戸中国語スクール 京都校

SC神戸中国語スクール 京都校

全くのゼロから、ビジネス会話、通訳レベルまでしっかりと学べる中国語スクール、SC神戸中国語スクールの京都校のブログです。

「自分の幸、不幸を人まかせにしないということ、自分の一生涯というものを、人まかせにしない。」

「ひと」として大切なこと

 

この言葉、まるでアドラーが言っているように感じます。

 

アドラーは、例えばひきこもりになった人に対して、トラウマが原因でひきこもるようになったということを認めません。

トラウマそのものも認めていません。

何らかの目的が自分にあって、その目的を達成するためにひきこもっていると分析するのです。

全て自分が選んだこと。

とても厳しいのですが、この考え方が人間らしいと思いますし、渡辺和子シスターの「ひと」として大切なことのいたるところにアドラーと同じ考えがあるように思います。

 

さて、この中国語ですが、

 

「自分の幸と不幸を他の人に渡す、自分の一生涯を他の人に託す。」

 

を中国語にすることから考えましょう。

 

動詞に注目するのでした。

 

「渡す」「託す」ですが、これは“交给”“托付”です。

 

「自分の幸と不幸」は“自己的幸与不幸”。

 

「自分の一生涯」は“自己的一生”。

 

・・・・・・

 

“交给”の後に何が来るのかがポイントです。

 

「あなたにあげる」は中国語で“(我)给你”。

 

「手渡す」という意味を込めて“(我)交给你”という表現をどこかで見たことのある人なら

 

“交给别人”

 

という表現が浮かぶかもしれません。

そうなると、何を渡すのかというと「自分の幸と不幸」。

 

中国語は普通なら動詞の後ろに「~を」に当たるものが置かれます。

でも、

 

“交给他人”

 

となっているので、そのまた後ろに、

 

“交给他人 自己的幸与不幸”

 

となる(つまり二重目的語をとるか)かというとあまり自然な表現ではありません。

(このあたり、清原先生の中文教室「〜に」は必ず“给〜”?(二重目的語をとる動詞)に詳しいです)

 

ではどうするのか?

 

こういう表現、自然な中国語表現は“把”を使います。

 

中国語の“把”。

日本語では「把握」の「把」。

古川先生の「イメージでスッキリわかる中国語文法」に詳しいのですが、「握る」というイメージです。

 

 

「自分の幸と不幸を人に渡す」

 

“把 自己 的 幸 与 不幸 交给 别人”

 

「自分の一生涯を人まかせにする(人に託す)」

 

“把 自己 的 一生 托付 他人”

 

ここまでいいでしょうか?

 

“把”構文。

私は“把”は動詞だとイメージしています。

実際に手で「握る」イメージです。

 

例えば、「カギをあなたに渡す」という時に、まず「カギをイメージで手に握る=“把 钥匙”。

「あなたに渡す」=“交给 你”。

この手に握ったカギをあなたに手渡す。

だから、

 

“把 钥匙 交给 你”

 

“把”と“交给”、二つの動詞がある(連動)しているとイメージしています。

 

このようにイメージしていると、これを否定文。つまり、「~じゃない」という表現をするときには、“不”で打ち消すのですが、その場所は動詞の前。

 

ということで、

 

「自分の幸、不幸を人まかせにする、自分の一生涯というものを、人まかせにする。」

 

は、

 

“把 自己 的 幸 与 不幸 交给 别人, 把 自己 的 一生 托付 他人”

 

これを「否定文」いやさ違うと「打ち消す」“不”を最初に出てきた動詞の前に置けばできあがりです。

 

“不 把 自己 的 幸 与 不幸 交给 别人, 不 把 自己 的 一生 托付 他人”

 

いかがでしょう?

 

「自分の幸、不幸を人まかせにしないということ、自分の一生涯というものを、人まかせにしない。」

 

という意味を表現したいと思った時に、

 

“不 把 自己 的 幸 与 不幸 交给 别人, 不 把 自己 的 一生 托付 他人。”

 

という表現を口にするためには“把”を動詞としてイメージした方がいいと思うのですがいかがでしょう?

 

こういうことをご自分で体得するというか気付くというかそういうことが楽しい学習だと思います。