善知鳥吉左の八女夜話

福岡県八女にまつわる歴史、人物伝などを書いていきます。


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夜話 393 明治天皇最後の写真は八女で


明治44年11月、還暦前の明治天皇の病は重かった。若いころ酒豪・甘党・美食家だった天皇は、そのころ糖尿病と慢性腎臓炎 を併発いしていた。

しかし律儀な天皇は、秋の筑後路の陸軍特別大演習に臨み、生命がけの統監を遂行しょうと11月7日汽車で東京出発。静岡・姫路・三田尻を経て10 日久留米に到着。

現県立明善高校に用意された新築の行在所に一泊した。

校門には『大本営』の大看板が下げられた。
善知鳥吉左の八女夜話
11日朝久留米駅を出発、南下して羽犬塚で下車し、馬車で演習統監場所の八女郡岡山村岡山(八女市)に到着した。

現在、岡山山公園になっているこの丘陵は、そのころ龍頭山と呼ばれていた。頂上が天皇統監の場所だった。長峰丘陵の一角のこの山頂から、八女平野に南北に分かれて戦う陸軍の演習を観るのである。

当時の記録によれば山県有朋、大山巌らの元帥とともに侍医も従った。

ただ小高い丘とはいえ病を抱えた肥満体の天皇が頂上に登ることは困難と思われた。

前夜、急きょ宮内省や福岡県の技師、工夫16名が現場に到着し坂路約60メートルの急こう配に、徹夜で欄干を設け60段の階段を作り上げた。


善知鳥吉左の八女夜話
丘陵頂きに3メートル四方のテントをはり、大テーブルと椅子を置いた。

天皇は馬車からおりて、徒歩で、やっとのことで頂上まで上り詰めたという。

伏見宮、東伏見宮らの親王が付き添った。

約2時間の演習統監は終了した。

その間、明治天皇の写真が撮られた。       善知鳥吉左の八女夜話 ドナルド・キ―ンの名著『明治天皇』下巻によれば「身をかがめて地図に見入る天皇の写真は、この時、陸軍写真班によって撮影され(略)」翌年、天皇の死後この横顔の写真フイルムが90度回転され姿勢を起こして焼きつけられ、天皇の署名複写とともに発表された」という。

まさに八女の竜頭山のそれが明治天皇の最後の写真になった。

明治天皇は写真を撮られるのが大嫌いであったという。

時代とともに威厳をしめす明治天皇の姿図は全部絵画である。

明治6年、写真家内田九一により撮影されて以来38年ぶりの此の時の実写写真がこの90度回転のものだった。

崩御した天皇の最後の姿を全国民に示すためのものだったろう。

しかしこの写真には当時国民が抱いていた「明治大帝」の威厳はない。老兵といつた姿である。

映画『明治天皇と日露大戦争』で天皇に扮した嵐寛寿郎ほどの威厳もない。

還暦前に「明治大帝」は老いていた。

原敬の日記によれば、58才の天皇は明治45年7月29日22時43分に崩御したが、公式発表は30日0時43分となっている。

次の天皇が出現する宮中儀式のための時間操作だった。

さきの90度の写真転回といい、天皇なるが故のつらい最後である。

「明治大帝」が八女岡山に来たその年の3月、この龍頭山のすぐ麓の母の実家で画家青木繁の葬式があった。

彼の死をいたむ郷土人などいなかった。

28才の青木繁もつらい最後だった。

彼も死亡日時が操作され戸籍記載と違う。

青木は福岡市千代の松原での火葬時間(野焼きか?)に合わせるためだつたらしい。

青木が「画壇のアレキサンダー大帝になる」ことを祈願したという天満宮はもと龍頭山頂にあったが「明治大帝」演習統監の邪魔になるので山麓に降ろされた。

画友坂本繁二郎が「ルーブルに出しても恥ずかしくない」と絶賛した青木の自画像残っている。

しかし明治天皇が最後に残した肖像写真は無残である。

此の比較と、「明治大帝」と「画壇の大帝」を夢見た青木との二人が、そろって死歿日時が操作変更されたのはなんとも皮肉である。


青木繁の「望郷歌碑」を明治天皇行幸の竜頭山の頂きに建てたいきさつは夜話55と63ですでに述べた


「大帝」とは文飾のため。(敬称略)  

 上 明治5年の明治天皇写真

 中 明治21年のキヨッソネーの明治天皇肖像画

 下 90度回転の八女の明治天皇写真


八女郡下広川村のお野立所説あり2009/3歴史読本「明治人の肖像』中の「明治天皇写真秘録」にあり研究を要する

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