やまたくの音吐朗々Diary

フリーライターのやまたくが綴る、

映画レビューを中心としたバトルロイヤル風味。


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トンマッコルへようこそ

2005年に韓国映画界に旋風を巻き起こしたパク・クァンヒョン監督の「トンマッコルへようこその試写。

幸せな映画を観た。

宮崎駿の映画を観たあとような温かい感動と、三谷幸喜の映画を観たあとのような爽快感。

この映画の音楽を『もののけ姫』や『ハウルの動く城』を担当した世界的な久石譲が担当し、製作・脚本・原案を“韓国の三谷幸喜”と呼ばれるチャン・ジンが担当していると書けば、なんともこじつけっぽくて嫌なのだが、少なくとも、この映画には、宮崎駿や三谷幸喜の作品に漂っているのと同質の、人間観察眼と奥深い感動が潜んでいることはたしかである。

笑える。ほのぼのとする。温かい…。

それだけで終わらないのが、この映画のスゴいところである。

せつない、苦しい、怖い、哀しい…。

人間についてまわるあらゆる感情が呼び起こされ、そして、そのひとつひとつの琴線に、カクジツに、“なにか”が触れてくる。

大笑いした次の瞬間には、恐怖に戦慄し、さらに胸がせつなさで押しつぶされそうになる…。

微細なものも含め、人間の感情が数百も数千もあることに気付かされる。

そして、あらゆる感情を、観客から引き出したうえで、この映画はこう問うのである。

人間のあるべき姿はなんですか? と——

舞台は朝鮮戦争さなかの1950年代。人里離れた山奥にその神秘的な村——トンマッコル——はあった。子供のように純粋な村人は、畑を耕し、食べ物を分かち合いながら自給自足をしている。自然と共に暮らす彼らは、いつも笑顔で笑っている。争いのないユートピア(理想郷)がここにはあるのだ。

そんな村に、連合国軍、韓国軍、人民軍の3組の兵士が迷い込んでくる。はじめは敵意むき出しで一触即発の状態であったが、そんな彼らに、憎しみ争うことのバカバカしさを教えてくれたのが、トンマッコルの村人であった。兵士たちは、村人との交流を通じて、心の絆と豊かさを取り戻していく…。

思わず吹き出してしまうユーモアあふれるシーンと、シリアスなシーンを交互にくり返しながら物語は進んでいく。喜劇と悲劇は表裏一体。

韓国軍兵士のリーダー役のシン・ハギュンや、人民軍リーダー役のチョン・ジェヨンらキャストの演技力の巧さにもうならされるが、時折パク・クァンヒョン監督がふるうファンタジックな演出も秀逸である。

ある意味、荒唐無稽。しかしながら、そこに嫌らしさが微塵も感じられないのは、やはり、トンマッコルというユートピアの魔力のせいだろうか。

いつしか笑顔さえ浮かべるようになった兵士たちと歩を一にしながら、観客の心も少しずつトンマッコルへと近づいていく。そして、自由奔放に笑い暮らす村人の生き方を通じて、人間のあるべき姿に気づかされるのである。

ラストには感動が待ち受けている(以下ネタばれ度・強)。

それは、その瞬間にポっと湧き出た一過性の感動ではなく、それまでの紆余曲折を前提とした、心の底に深く残る感動と言っていいだろう。

戦火がトンマッコルに近づきつつあることを察知した兵士たちは、いまや“心の故郷”になったトンマッコルを守るために、死をもかえりみることなく、ある“おとり作戦”に打って出るのである。

作戦は見ごとに成功し、トンマッコルは戦火を逃れた。が、兵士たちはその代償として、激しい空爆を受けて最期を遂げてしまう。

そのとき(爆弾が投下され、地上に到達するまでのわずか数秒間)、兵士たちの顔が、笑っているのである。

満足そうな笑顔。

死の数秒前だぜ?

それを表情を凝視しながら、恍惚となった。

人間はかくも美しく笑いながら死ねるものか、と。

そして、同じような表情で、自分も人生の最期を迎えたいものだと、心から願った。

トンマッコルは架空のユートピアである。ゆえに実際に訪れることはできない。

でも、心の持ち用によっては、ボクらはすぐにでも、その住人になれるのだろう。

子供から大人まで多くの人に観てもたいたい傑作エンターテインメントである。

オススメ指数:90%(最大値は100%)

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