「パパラッチ」 | やまたくの音吐朗々Diary

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映画レビューを中心としたバトルロイヤル風味。

パパラッチ

4月に公開される「パパラッチ」のマスコミ試写。メル・ギブソン製作、ポール・アバスカル監督、コール・ハウザー主演。

映画俳優のボー・ララミー(コール・ハウザー)は主演映画のヒットで一躍スターダムへ。しかし、万人がうらやむ成功と引き換えに待っていたのは、極悪非道なパパラッチによる執拗なストーキング行為であった。パパラッチのストーキングは日々ヒートアップしていき、ついにはララミーの家族が犠牲に。怒り心頭のララミーは反撃を開始した……。

スターとパパラッチの対立(抗議や暴力沙汰や裁判)は、欧米ではたびたび報道されるが、その実態を克明に描き、核心を鋭くえぐった作品である。

なにはさておき、パパラッチが恐ろしい。

ララミーが乗るクルマを執拗に追いかけて事故を誘発させたうえ、パパラッチたちは、絶好のスクープとばかりに、凄惨な現場をカメラに収める。その常軌を逸した愚行から連想できるものといえば、腐肉に群がるハイエナくらいなものか。

モラルなきストーキング、言葉による挑発、捏造記事……。あげくの果てには、ララミーの自宅に忍び込み、隠しカメラまで取りつけるありさまだ。

直接的な暴力よりもはるかに身の毛のよだつ脅威がそこにはある。

人気スターに“有名税”はつきものだが、この映画が示そうとしているものは、パパラッチに写真を撮られることが“有名税”か否かという問題提起ではなく、人権侵害を受け続けるスターが、“有名税”を納めたうえで、なおかつどれほど割に合わない代償を払わされているか、という切々たる思いの暴露である。

一方、パパラッチの悪行を描いた前半の空気を逃がさぬまま、物語は確信犯的に、痛快なリベンジ・アクションへと移行。パパラッチが一人また一人と消えていくあたりにミステリー色をにじませつつ、最後は潔いほどの“勧善懲悪”でフィニッシュ!

善きにつけ悪きにつけ、これがハリウッドのエンタテインメント力なのだろう。

エンドロールが流れるスクリーンに向かって拍手喝采を送るハリウッドスターも少なくないだろう。胸くそ悪くて仕方がないパパラッチもまた。

糾弾と皮肉とアンチテーゼを含みながらも、なおかつ、十分に観客を楽しませてもくれる短尺83分。あっという間のジェットコースターだ。

オススメ指数:60%(最大値は100%)

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