邪馬台国と日本書紀の界隈

邪馬台国熊本説にもとづく邪馬台国・魏志倭人伝の周辺と、一から始める日本書紀研究について
ぼちぼちと綴っていきたいと思います。


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 「原日本紀の復元004 事績年のみの編年表を作成する〈2〉神武天皇の即位年は?」で、『日本書紀』の事績年のみの編年表を作成しました。

 今回からそれをもとに、歴代天皇一人ひとりの事績内容などを検討しながら、在位年代の確定を目指します。

 まずは、推古天皇からさかのぼれるところまでさかのぼりたいと思います。

 

推古天皇の治世には1年だけ無事績年があります。推古30年です。この1年をどう扱うかですが、古代天皇の在位年代を大幅に古くする目的があったのは明白だとしても、推古天皇でたった1年を調整する意義を見いだすことはできません。よって、推古30年は単なる写本時の欠落か、もしくは聖徳太子薨去が原因だと思われます。

聖徳太子は推古29年二月五日に斑鳩宮で薨去されます。この時、諸王・諸臣から天下の百姓に至るまで国中が悲嘆に暮れた様子が記されています。当然、服喪の期間もあったはずです。それが翌年の無事績年の要因かも知れません。

また、太子薨去の報を受けて高麗の僧慧慈(えじ)は斎会を催していますが、その際、次のような記述がみられます。

 

〈「日本国に聖人がおられた。上宮豊聡耳皇子〔かみつみやのとよとみみのみこ:聖徳太子のこと〕と申し上げる。(略)真実の大聖である。その太子がなくなられた。自分は国を異にするとは言え、太子との心のきずなは断ちがたい。自分一人生き残っても何の益もない。来年の二月五日には、自分もきっと死ぬだろう。(略)」といった。そして慧慈は定めた日に正しく死んだ。(宇治谷孟『日本書紀(下)全現代語訳』講談社学術文庫より)〉*〔 〕内は筆者

 

つまり、慧慈は推古30年の二月五日に亡くなるわけです。こじつけになりますが、これが推古30年の事績であるといえるかもしれません。

 

さて、推古天皇の記事には年齢を確定するための四つの情報がありますが、その情報にはズレが見られます。「18歳で敏達(びだつ)天皇の皇后」「34歳の時、敏達天皇が崩御」「39歳の時、崇峻(すしゅん)天皇暗殺」「推古36年、75歳で崩御」の4記事です。

 これらに関連しては、敏達天皇紀の敏達5年に、豊御食炊屋姫尊(とよみけかしきやひめのみこと:推古天皇)が皇后になったと記述されています。また、敏達天皇が崩御されたのは敏達14年、崇峻天皇が暗殺されるのは崇峻5年です。一覧にしてみましょう。敏達天皇紀、用明天皇、崇峻天皇紀には無事績年がありませんから、年代を調整する必要はありません(表1)。

 

■表1 4つの記事の比較

 

このうち、どの記事を正しいとみて基準年とするかですが、「39歳で崇峻天皇暗殺」と「75歳で崩御」の2記事は年代設定が合致します。それを採用することにします。

 そうすると、敏達天皇の崩御は推古天皇が32歳の時となります。34歳は、敏達天皇を継いだが即位2年で崩御された用明(ようめい)天皇の崩御年にあたります。現在残る原文では「卅四歳渟中倉太珠敷天皇(ぬなくらのふとたましきのすめらみこと:敏達天皇)崩」(*卅は30を表す)となっていますが、『日本書紀』完成時は「卅二歳渟中倉太珠敷天皇崩 卅四歳橘豊日天皇(たちばなのとよひのすめらみこと:用明天皇)崩」であり、それが後世の写本時に錯綜して誤写されたのかもしれません。

 また、18歳で敏達天皇の皇后になったという記事は、敏達天皇の「妻」になったことと「皇后」として立ったことが混同されて生まれたのではないでしょうか。先ほどの年齢を採用すると、敏達5年には推古天皇は23歳のはずです。18歳は敏達天皇が即位する前年ということになります。つまり、推古天皇は18歳で当時皇太子だった敏達天皇の「妻」となり、23歳で「皇后」となったのではないかと考えられます。

 

 では、推古天皇の在位年代と事績を簡単にまとめることにします。(次記事へ

 

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