2013年08月06日(火) 07時20分23秒

「リーン・イン」(シェリル・サンドバーグ 著)

テーマ:一夜一冊
 フェイスブック社COO(最高執行責任者)シェリル・サンドバーグの著書「リーン・イン」が出たと知って、日本発売前にすぐに予約と思ったが、GW前で既に多くの書籍が目の前に積ん読状態になっていたこともあり思い直す。

$山野ゆきよし日記-リーン・イン


 GW後、ふらった入った本屋さんで購入。どうでもいいことだが、後付けに「1版1刷」とあって、なんとなくほっとした。発売前から読むと決めていたのに、「2刷」なんてあったらなんとなく悔しいもんな。

 一気に読む。すぐに書評をと思ったが、長くて重たい(質量ともに)「日露戦争、資金調達の戦い―高橋是清と欧米バンカーたち―」を書き終えてからと思っていたので遅くなった。

 目もくらむような学歴、旺盛なチャレンジ精神、それらの成功に裏付けされたまばゆいばかりの経歴、そして誰もが羨む美貌。既に、多くの日本のビジネス雑誌やネットにも取り上げられていたこともあり、私の中で、サンドバーグ像が勝手に作り上げられていた。

 その彼女がこの著書にあるようなフェミニスト的(この言葉自体にいくらか侮蔑的な感じもするが、著者自身も激しく逡巡しながらではあるが、自らもそうであると認めていた。もっとも、そう認めざるを得ない社会状況に対する義憤から、この著書となったのであろう)な考えを持っていたとは、私の”サンドバーグ像”にはなかった。否、ないことはなかったが、ここまではっきりと講演や著書にして顕にするとは思いはしなかった。

 この著書においては、米国といえども、女性が社会で活躍することの厳しさを実体験に即して触れられている。その具体的な体験の一つで、私も身につまされたことをあげる。

 「女性は自信を持って自分を売り込んだり手を上げたりできないだけでなく、女性自身その弱点に気づいていない」

 ということを、彼女自身がよくわかった上で、女性ももっと自信を持つべきと強く訴える。そんな講演をした際、講演の後、ある若い女性から会場の外で待ち構えられて、次のように言われたという。

 「私は今日いい勉強をしました」

 「あら、なあに」サンドバーグは気分よく聞き返す。

 「私が学んだのは手を上げ続けなければいけないってことです」続く言葉で、サンドバーグは打ちのめされる。

 「質疑応答の時間が残り少なくなったとき、あなたは後2問だけ質問を受け付けますと言ったでしょ?」

 その女性は、その言葉を聞き手を下ろした。手を上げていたすべての女性がそうした。一方、手を上げていた男性は何人もそのままで、なかには、目立つように手を振る人もいた。

 「そうしたらあなたは、手を上げ続けていたすべての人の質問に答えた。つまり、男性からの質問だけにね」

 この私が、それもジェンダーについて講演をしておきながら、自分のやっていることに気づいていなかったのだ・・・。

 それだけ、根が深いテーマなのであろう。

 ただ、この著書、純粋な経営書としてもすぐれて読み応えのあるものであった。そりゃそうだ。マッキンゼー、財務省首席補佐官、グーグル、フェイスブック、この経歴だけでも充分想像できよう。

 徹底的にリスクを取って大胆に挑戦することを言い続けている。もちろん、女性にもだ。

 変えたい、変えなければいけないと切実に思っている人は読んでおきたい。

 ちなみに、”リーン・イン”とは、この本の序文を書いた川本裕子氏いわく”一歩踏み出せ”というメッセージだそうな。そうかな?既に、先に私が取り上げたサンドバーグの例と同じ陥穽にはまってはいないか?

 とまあ、そんなことも考えながら読んでみてもいいかもしれない。
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