サッカーの世紀
テーマ:ブログ- サッカーの世紀 (文春文庫)/文藝春秋
- ¥520
- Amazon.co.jp
さほど期待もせず、ただヒマつぶしのつもりで100円の古本として買って読んでみると、これは相当に深い。サッカーを触媒にした、ヨーロッパを中心とした世界の近代文化史だね。
イングランドでは、主に労働者の娯楽として発展してきたサッカーがプレミア・リーグの改革によって中産階級まで広がっていった様子、スコットランドにおいては、二つの有力チームの対立が「プロテスタントvsカトリック」、「割合豊かなスコットランド系vs貧しいアイルランド系」といったような、非常に複雑な歴史を背負っていたことなど、興味深い「歴史」が次々と綴られている。
フットボールはイングランド発祥といいつつ、イタリアは、自分たちが昔からやっていた「カルチョ」こそがサッカーの原型と、かたくなに思っているさまも、とてもわかる気がする。
また、「フェアプレイ」の定義が、国によって違い、南米は、レフェリーに隠れて「ハンド」で得点するトリック・プレイを決して恥とは思っていないのに、なぜか試合は荒っぽいのに、イングランドではそういうプレイ
はフェアではない、と嫌われているらしいのも、国民性か。
話はサッカーからしばしば広がって、政治体制にまで行く。場面ごとの個人の判断が不可欠なサッカーにおいては、個人の独断を許さない全体主義国家は強くなれない、など。
スポーツ大会などにおける日本人の運営能力は「世界一」とよく言われている件も、著者はチクリと一刺し。ただ、マニュアル通りに動くのが得意なだけではないか、というのだ。「逆境」や「有事」などせ、マニュアルを超えた事態が起きると、アタフタしてしまう、と。
何か、震災の時の原発事故に対するドジな対処を予言しているようだな。
もともとこの本が出たのは1995年。日本の選手たちが、サッカーを文化として受け入れ、大脳のレベルでなく、小脳のレベルで反射的に戦術判断が出来るようになれば、日本サッカーは飛躍的に進化する、と予言している。
最近の日本代表の試合など見ると、だいぶそうなってきているのがわかる。
同じテーマの記事
- いちずに一本道 いちずに一本道 06月05日
- 貧乏クジ世代 06月04日
- サッカーの国際政治学 05月30日
- 最新の記事一覧 >>







