2016-08-29 16:44:23

『死を巡る知の旅』(野村朋弘)を紹介します。

テーマ:イージー・ゴーイング

今日は、編集者としてのぼくの仕事を紹介したい。
神宮外苑にある東京藝術学舎の中に、京都造形芸術大学、東北芸術工科大学共有の出版局があり、これを藝術学舎と言い、ぼくはそこで編集長をしている。『文芸ラジオ』や石川忠司の『吉田松陰 天皇の原像』もここから刊行されています。藝術学舎はこれらの本を発行し、『文芸ラジオ』は日販アイ・ピー・エスから、その他の本は幻冬舎から発売されています。

 

その出版局の最新刊が、『死を巡る知の旅』で、著者は野村朋弘氏(京都造形芸術大学通信教育部 芸術教養学科 准教授)である。

 

 

死を巡る知の旅死を巡る知の旅
1,296円
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なぜこの本の企画を立てたかと言うと、身近な人達の死が相次いだからだ。文学上の師匠だった秋山駿氏、親しい友人だった徳大寺有恒氏、ぼくに芸工大の文芸学科の創立を「命がけでやれ」と命じた徳山詳直前理事長。そして、父親の山川仁。さらに、ボウイとプリンスも逝ってしまった。

 

こうした人々の死に接する度に、癒しがたい悲しみに包まれ、しかし生者であるぼくは飯を食わなくてはならないし、瑣末で雑多な日常生活は続いていくのだ。

 

個別な悲しみと喪失感を乗り越えるために有効なひとつの方法は、「死」を対象化することだ。平安時代に源信によって書かれた極楽行きのマニュアル本とも言うべき『往生要集』から今日に至るまで、日本人は「死」をどんなふうにとらえてきたのか? それは、「病気と戦い勝利を目指す」欧米の死生観とは大きく異なっていたのである。

 

日本人は墓や墓地や葬儀をどんなふうにとらえ、それはどんなふうに変遷してきたのか? 葬儀社はいつ誕生したのか?

 

アルビレオにお願いしたブックデザインは、神道が行う神葬祭の様子を描いた図案が使われているが、複数あった装丁案を決定する際には文芸学科の学生達の意見も参考にしたのだった。

 

死の文化史を辿ることで、ぼくら自身の生を見つめるための一冊。それが『死を巡る知の旅』である。是非ともお読みください。

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