人さらいとサーカス 2

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当時、バタ屋と呼ばれる廃品回収業者がいた。

 

彼らは毎日陸橋の西側からやって来た。

 

背中に大きな籐の籠を背負い、古い機械、針金など金目の廃品を探して東側の街を徘徊した。


そして籠をいっぱいにして、重そうな足取りで夕陽の中を帰って行った。


 

子どもをさらうときはああいう籠に入れるんだと噂して子供らは怖がった。

 

当時スズラン街の子供たちにとって、陸橋の西側は異界であった。


サーカスも人さらいもバタ屋も、みな陸橋を越えてやってくると信じていた。

 

 

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