2008-02-05 01:38:27

邦画好きのお気に入り/「チーム・バチスタの栄光」

テーマ:映画・映画批評・レビュー

今回はミステリーの内容に過分に触れている記事ですので、

  これからご覧になろうという方は絶対に読まないでください!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『チーム・バチスタの栄光(日本) 公式サイト:こちら


○配給:東宝

○監督:中村義洋

○脚本:斉藤ひろし、蒔田光治

○原作:海堂尊

○出演:竹内結子、阿部寛、吉川晃司、佐野史郎、国村隼、玉山鉄二、井川遥、平泉成、ほか

○評価★★★★★★☆☆☆☆

○劇場:ヤクルトホール(試写会)

 

 


冒頭でもお断りしましたが、

ミステリーについて(しかも公開前なのに)かなりネタバレてしまいます。

十分にご注意ください。

よろしくお願いいたします。

 

 

さて、こんだけ書いたのでいいでしょう。

いよいよ書き始めよう。

ここから先は責任を負いかねるので。

 

 


【物語】
 チーム・バチスタとは成功率60%の心臓手術をことごとく成功させた手術チーム7人のこと。

 7人を引っ張るのはMr.パーフェクトと呼ばれる天才外科医の桐生(吉川晃司)だ。

 残りのメンバーは、第一助手(佐野史郎)、第二助手(玉山鉄二)、病理医(池内博之)、

 麻酔医(田中直樹)、工学技師(田口浩正)、そして助手(井川遥)。

 

 ところが26連勝の成功続きだったチームが、3回連続で手術を失敗してしまう。

 心療内科医の田口はその件について調査するよう院長(国村隼)から依頼されるが、

 実はこの調査を依頼したのはなんと桐生なのであった。

  

 聞き込みをするものの、彼女はこの件に事件性はないと判断して院長に報告する。

 すると、診療中の田口のもとへ謎の男(阿部寛)が乗り込んできた。

 「これは殺人事件だ」と言いきるその男は、厚生労働省の役人、白鳥だった。

 強引な白鳥とともに田口はチーム・バチスタへの再調査に乗り出すのだった。

 

 

 

ミステリーの設定として、限定された空間におけるトリックにドキドキするのが密室の醍醐味だ。

緊張感のある手術室のさらにほんのわずかな10センチの空間で行われる殺人。

必ずそこにヒントは隠されている。

しかしなんかこう曇りがかっている気がした。

 
 

殺人事件に穏やかなどという言葉はふさわしくないが、これは静なる殺人でそこに恐怖感はない。

命を救う場所が命を奪う場所になるという、その転換が尚更殺人という負の印象をぼやけさせる。

観たことのない医療機器類も日常的現実感を奪っている。

でも、メスや心音計の無機的な音が心を不安にさせたのもまた確かだ。

 

 

そんなわけで、設定が抜群に秀でている。

これはおそらく(原作を読んでいないのだが)、脚本よりも原作のおかげだろう。

 

 

しかし、疑問や不満に思う点もいくつかあった。

まず、竹内扮する心療内科医田口はそんなことをしている余裕があるのか?と不思議に思う。

チーム・バチスタの手術現場には調査と称して毎回立ち会うが、けれど何をするわけでもなく。

いくら院長の命令とはいえ、それでいいのか、どんだけ暇なんだ?と言いたくなる。

 

 

そしてトリックの謎解きに関して一緒に観たS先輩がこぼしていて、確かにと思ったことがある。

なぜあのタイミングで殺人が始まったのか、が説明されない。

想像はできるが、解説不足の感は否めない。

トリックそのものは専門的なところをうまく利用していてよかったのに。

 

 

また違う観点ではあるけど、人物への迫り方にミステリーであるがゆえの物足りなさも感じた。

チームは全員で7人、他にも関係者はいて、当然それぞれを探っていくわけだ。

けれど探りすぎると犯人は明確になりすぎる。

ミステリーは多くを語りすぎてはいけない。 

 

 

が、そこを気にしすぎて、というより時間的な問題で個々の特徴の描きが足りなかった。

もっとそれぞれを深く掘り下げて欲しかったし、互いの関係性をみたかった。

ただしそれは映画の枠では現実的にはかなり厳しい。

 

 

その中で、白鳥役の阿部寛はいい味が出ていた。

登場場面が多かったこと以上に、彼の個性がはっきりと表れていたからだろう。

エリートならではの皮肉たっぷりの話し方と、それに似合わぬ非スマートな行動。

憎まれそうだけど、隣にいたらやっぱり憎ましい存在だけど、傍から見ると実にユニークだ。

阿部寛は、この役とか「魍魎の匣」の榎木津探偵のような、勢いのある男が似合う。

 

 

他には、竹内結子はやっぱり演技が上手で、ちょっと鈍い女医が似合っていた。

途中で彼女がソフトボールを行う場面が、突如現れる。

それは無理やりストーリーに当てはめたのがもろにわかる。

きっと、手術室という狭い空間だけで進んでしまう映画に、日の光を浴びせてバランスをとったのだ。

でも、それよりも竹内結子にあの格好をさせたかっただけじゃないかと思えてしまう。

 


そして最大のタブー、犯人について触れる。

(さんざん断ったから、恐れず書いてしまうよ)

あんだけ豪華な役者で固められたチームで、犯人はまさかの・・・。

物語上のあやしさも、でもそれはないだろうとキャスト面で否定していたのに。。。

狙いとしては、犯人の殺人に対する無感覚な部分を、彼の演技と重ねたかったのだろう。

でも個人的にはどうも・・・

もっと練り出した演技での犯人像が欲しかった。

犯人が暴かれるシーンに満足感がなかったのは、シーンの短さだけではないはず。

 
 

ふつうに(そんな言い方は変だが)、十分楽しめる作品だった。

原作がおもしろいのだから無茶なことをしなければこれくらいになるだろう。

手術シーンの映像もなかなか手が込んでいたし、及第点はクリアしている。

それでも、やはりミステリーは小説で読みこんでこそ楽しいんだなぁと、

再確認してしまうのは、時間に限りのある映画では仕方ないのかもしれない。

 

 

原作の力が大きい、と言う意味で本当なら7点のところを1点差し引いてこの評価に。

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