死刑囚の部屋の写真が新聞記事に載りました。
http://mainichi.jp/select/news/20130114ddm010040034000c.html

私たちの八木さんとの面会には時間制限が課せられており1回あたり30分程度です。
八木さんが居室から接見室に来るまでの移動時間や待機時間を含めてもせいぜい1時間。
これに週に2回から3回とされる15分の入浴時間や、
週に1度の2時間程度の娯楽時間等を除くと、
1週間・168時間のうち160時間くらいはこの部屋にいることになります。

死刑制度を維持する以上、死刑囚の生活等は公共の関心事のはずですが、
新聞社が情報公開制度を利用して取得した情報がちょっとしたスクープになるくらい、
拘置所は全くオープンにしようとしません。
犯罪情報については積極的にリークがされますが、
受刑者の情報については全くリークされません。

例えば刑務所や拘置所に関する情報をオープンにするべきか否かについて、
法務省以外の第三者機関等がチェックすることすらできません。
法務省は記者会見にも非協力的です。
ほとんどの場合、カメラが入ることはできません。


ライファーズという本を読みました。アメリカの刑務所事情を描いた本です。
http://p.tl/bJ7L
「ライファーズ」とは終身刑受刑者のことです。

終身刑受刑者が著者のインタビューに応じ、
刑務所中で、自らの罪の内容を語ります。
登場人物はみな実名で、顔写真が掲載されている者もいます。

著者はビデオジャーナリストで、本書と同題のドキュメンタリービデオを制作しています
登場人物の生き生きとした様子を肉声付きで見ることができます。

このようにアメリカでは、
日本人の著者が刑務所の中でビデオを回し、
終身刑受刑者にインタビューをし、
映画として公開することができます。
著者は、受刑者に殺された遺族が同席する、
終身刑受刑者の仮釈放審議をビデオ撮影することも許可されています。

プライバシーや国家機密情報は確かに大事です。
しかし、どこかで明確に線が引かれなければなりません。
法務省の線引きの基準は、過度に広く、漠然として不明確です。

法務省は、情報を隠すことで受刑者を社会から排除しようとしているのでしょうか。
情報を独占することで権力性を維持しようとしているのでしょうか。
オープンにすると批判されるようなことをしているのでしょうか。
もしそうでないのであれば、
刑務所や拘置所に関する情報はもっともっとオープンにされなければなりません。
議論はそこから始まるはずです。


井桁大介